沖縄・慶良間諸島、座間味村。耳が良すぎて少しでも音のズレを感じると頭痛がしてしまう9歳の小学生・花島うみ(伊東蒼)は、三線の名手であるおじい(金城実)と二人で暮らしている。ある夏の日、島で開催されるコンサートのためにヴァイオリニストの北川祐子(安藤サクラ)が東京から島にやってくる。祐子がコンサートを催す慶良間小中学校の体育館を訪れた後、音楽室に向かうと、うみと吹奏楽部員が小競り合いをしていた。うみは、部員たちが出す音の“ちんだみ”が狂っていて気持ち悪いと文句を言ってトランペットの幸太ともみ合ううちに机にひじをぶつけてケガをしてしまう。校庭で祐子に絆創膏を貼ってもらううみ。翌日、祐子がコンサート会場の体育館で残響の確認をしていると、うみがそでからじっと見ている。音楽を弾かないのかと尋ねるうみに、バスケットボールの音などがこだまする中、うるさいから無理だと祐子が答えるとうみは祐子の手を取って急ぎ足で歩き始める。向かった先は誰もいない砂浜だった。うみは、祐子が弾くバッハの「G線上のアリア」に聴き惚れ、その後、祐子を自分の家に連れて行く。そこでおじいは「谷茶前」の唄三線を祐子に聴かせるのだった。翌日、うみと幸太の“ちんだみ”対決が行われた。うみが勝ったら吹奏楽部に入ると宣言し、うみが勝ったものの他の部員たちに反対され入部させてもらえない。幸太は祐子に相談し、入部前のうみにフルートを貸して練習させることにする。ヴァイオリン・コンサートの日。ピアノの調律が狂っていることを心配する祐子とピアニストの山田だったが、調律を直してもらえるわけもなく、ちゃんと演奏すれば大丈夫だと自分たちに言い聞かせステージに立つ。だが演奏開始直後、うみが「ピアノのチンダミがおかしいさ」と立ち上がって叫び、校長の高良に体育館を追い出されてしまう。夕方、民宿前には祐子を待つおじいの姿があった。おじいは祐子にうみのことを謝り、砂浜で泡盛を酌み交わす。そして祐子は、うみと離れて那覇で暮らす母親のさんご(山田真歩)のことを聞かされる……。