美しいナポリ湾に浮かぶ小さな孤島。そこには島全体を私有地として、暴君のような隠遁生活を送る、中年の女フローラ・ゴーフォース(エリザベス・テイラー)がいた。絶世の美女とうたわれた彼女も、中年をむかえ、しかも正体不明の病にかかって、恐怖と焦慮の日々を送る。彼女の日課はただ、女秘書ブラック(ジョアンナ・シムカス)相手に、過去の華やかな思い出を回想録につづることだけだった。が、ある日島に、クリス・フランダース(リチャード・バートン)という男が現れた。彼は、フローラのボディー・ガード、ルディ(マイケル・ダン)と凶暴なその飼犬に追われ、傷を負った。フローラは仕方なく、ブラックにクリスを手当てするように言い自分はこの不思議な男の素性を調べるため、カプリの魔術師と呼ばれる男(ノエル・カワード)を呼んだ。魔術師は、クリスを見ると「この男は死の天使だ、この男が訪ねた家の女主人は必ず死ぬ」と言うのだった。しかしフローラは、この言葉を聞いても動揺せずかえってクリスに魅かれていく自分を発見した。自分の気持ちをおさえきれず、大胆にもフローラは、クリスを誘惑した。がクリスは応じなかった。激しい屈辱を受けたフローラは、そのショックから、魔術師の予言通り、クリスに看とられて死んでいった。