路上で古物を売りながら骨董屋を目指し、四畳半のアパートに暮らす青年・大貫大(田中俊介)。ある日、看護師として働く傍ら夜学に通う及川佳奈(山谷花純)と古書店ですれ違った大は、一目で恋に落ちる。人生に新たな意味を見出したかと思ったその矢先、広場で警察の取り締まりに遭い、警棒でひどく頭を殴られ意識を失ってしまう大。それ以降、大の人生の“何か”が狂い始めてゆく……。先輩商人の国男(萩原聖人)に誘われ、山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、大はいつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまう。人の膵臓を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪の女……。夜に輝く月も深紅に染まり、あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める……。