東京都の生まれ。都立武蔵高校を卒業後、クラシック・バレエとモダンダンスを学び、東京教育大学を中退した1960年代後半より、前衛と伝統の融合を求めてソロダンス活動を開始する。77年、磯崎新、武満徹プロデュースによるパリ秋季芸術祭『日本の間』展に参加し、海外にもデビュー。81年から多国籍の舞踊グループ“舞塾”を率いて、各地で公演を行なう。85年、山梨県に“身体気象農場”を開設して農業と舞踊との同時実践を図り、96年には同じく山梨県に“舞踊資源研究所”を起ち上げて“舞塾”と合体、世界のあらゆる芸能を採集して記録するネットワーク作りを推進する。2000年より“桃花村舞踊団”を旗揚げし、国内外で独自の活動を展開。フランス政府シュヴァリエ勲章、舞踊批評家協会賞、サントリー地域文化賞、日本現代藝術振興賞など、舞踊界において華々しい受賞歴を誇る。02年、山田洋次監督「たそがれ清兵衛」で映画初出演。藤沢周平作品おなじみの海坂藩の後継者争いに巻き込まれて自らの屋敷に立て籠り、清兵衛と死闘を繰り広げる一刀流の使い手・余吾善右衛門を、舞踊で培った豊かな身体表現をフルに発揮して力演し、キネマ旬報賞新人男優賞のほか、日本アカデミー賞では最優秀助演男優賞と新人俳優賞をW受賞する。続いて、山田監督「隠し剣・鬼の爪」04では、主人公に秘剣“鬼の爪”を伝授する剣術指南役を風格たっぷりに好演。犬童一心監督「メゾン・ド・ヒミコ」05では、迫り来る死と向き合いながら、かねてから確執のあった娘や若い恋人の動向を静かに見守るゲイの男性を、圧倒的な存在感で妙演した。その後も、いわくありげな主人公のかつての恩師に扮した篠原哲雄監督「地下鉄(メトロ)に乗って」06、踊りのルーツをたどりにインドネシアを旅する田中の姿を追った油谷勝海監督のドキュメンタリー「ウミヒコヤマヒコマイヒコ」07、東京の街を彩るありふれた音を拾い集める録音技師を渋く演じたイザベル・コイシェ監督「ナイト・トーキョー・デイ」10、現在と過去をドラマティックに交錯させる写真館の主人役で強い印象を残す成島出監督「八日目の蝉」11などに出演。いわゆる役者とは一線を画す個性は、NHK『ハゲタカ』07、『龍馬伝』『続・遠野物語』10などのテレビドラマでも異彩を放っている