作家の一ノ関哲弘(矢柴俊博)は小説が書けなくなり、今は全国の書店をめぐりながら書評や書店についてのコラムを執筆している。ある日、哲弘が那須の図書館司書・沙夜(宮本真希)と森の中にある書店を訪れたところ、古書に挟まれていた恋文を見つける。宛先の人へ届けようと京都に向かうが、本人はすでに亡くなっていて、孫の花(遠藤久美子)が後を継いでおばんざいの料理店を営んでいた。花は婚約者を事故で失っており、一歩踏み出せずにいたが、婚約者が助けた女の子と母親に会い、自分の中にあった後悔の念から解放される。哲弘は旅を続けるうちに、港で移動図書館の手伝いをする結城と出会い、彼が店長を務めるBARに寄ったところ、『悲哀の廃村』が置かれているのを見つける。その本は哲弘が書いたベストセラーだったが、小説が書けなくなった根源でもあった。その本を持ってきた漁師の源次(加藤久雄)は本の舞台となった永谷集落の出身だった……。旅の中での出会いや友人たちとの再会から刺激を受け、温かさや厳しさを痛感しながら、書けなくなった原因と向き合っていく哲弘。那須、京都、香川と旅をしていくなか、彼は自分なりの書店を作りたいと考えていた。