東京都渋谷区の生まれ。父は俳優の渡辺謙、2歳下の妹がファッションモデルで女優の杏。2002年、父・渡辺謙が主演したテレビ東京の新春時代劇『壬生義士伝・新撰組でいちばん強かった男』に、“新晋一郎”の芸名で出演。父が演じた吉村貫一郎の青年期を演じて俳優デビューを飾る。03年の渡邊孝好監督「ぷりてぃ・ウーマン」で映画初出演して以降、04年より芸名を本名に戻し、戦艦大和とともに沈んだ特別年少兵の役で若さをほとばしらせた佐藤純彌監督「男たちの大和/YAMATO」05、連続美女殺人事件を追うエリート軍人を精悍に演じた実相寺昭雄総監督の「シルバー假面」06、敗色濃厚な中で飛び立つ特攻隊員に扮した新城卓監督「俺は、君のためにこそ死ににいく」07など、次々と話題作にキャスティングされていく。07年の宮坂武志監督「県警強行殺人犯・鬼哭の戦場」で映画初主演。戦後の混乱期を舞台に、さまざまな悪に立ち向かう青年をワイルドに熱演した。神山征二郎監督「ラストゲーム・最後の早慶戦」08では、出征した兄の思いを胸に野球に明け暮れる主人公の大学生をひたむきに演じる。滝田洋二郎監督「バッテリー」07、三池崇史監督「クローズZERO」07などを除き、古風で端整なルックスゆえか戦時下やそれ以前の若者像を演じる機会が多かったが、金子修介監督「プライド」09では、ピアニストのアルバイトをしながらミュージシャンを志す今どきの若者を、度肝を抜く扮装で妙演。翌10年には、三億円事件の真相に大胆に斬り込む伊藤俊也監督「ロストクライム・閃光」で、相棒のベテラン刑事の執念に感化されて捜査にのめり込む若手刑事を人間味豊かに好演する。テレビドラマも、デビュー直後のNHK大河ドラマ『武蔵/MUSASHI』03の豊臣秀頼役から、フジテレビ『愛のソレア』04、テレビ朝日『忠臣蔵』04、NHK『功名が辻』06などで順調にキャリアを積み、近年のテレビ朝日『臨場』09・10、『火車』11、NHK『隠密秘帖』11、日本テレビ『QP』11などでは、“二世俳優”から脱却した自身の個性を開花させている。