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鑑賞日 2025/03/28  登録日 2025/03/28  評点 68点 

鑑賞方法 映画館/宮城県/MOVIX仙台 
3D/字幕 -/字幕
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題材を深掘りしないミュージカル

 2024年のフランス映画(スペイン語)。ボリス・ラゾンの小説「Écoute」を原作としたジャック・オーディアールのオペラ台本「エミリア・ペレス」の映画化作品。
 楽しいミュージカルでした。ミュージカルなので内容はファンタジーそのもの。メキシコの麻薬組織とか、金持ちは裁判でも無罪を勝ち取れる弁護士を雇えるとか、肌の色で弁護士事務所を持てる報酬が得られるかどうかが決まるとか、性同一性障害の男性が女性化手術を受け新しい人生を始めるが、過去として捨てたはずの家族に対して執着してしまうとか、いろいろな問題を扱ってはいるけどどれも掘り下げたりはしない。一方でミュージカルらしく突然長々とした台詞が歌に変わっていき、周りの人たちを巻き込まない形で歌と踊りが始まったりする。慈善パーティーの席でリタが悪徳政治家などを揶揄しながら歌い踊るシーンは面白かったけど、あくまでリタの心の中のことでした。エミリアをマニタスと認識したジェシーはいったいどんな気持ちだったんだろう。ジェシーの口座が凍結されたのがなぜエミリアの仕業だとわかったんだろう。結構楽しめたミュージカルなので細かい部分は追及しないでおきましょう。

あらすじ:リタ・モラ・カストロはメキシコシティで弁護士をしていた。メディア王のガブリエル・メンドーサの妻殺人容疑の裁判を担当していて、上司から証人が証言を拒否したので妻が自殺した線で陳述書を仕上げるよう依頼され、複雑な思いで陳述書を書き上げ、それを上司が裁判で披露し勝利する。自分の仕事の内容や報酬の低さに納得していなかった。判決後トイレに籠っていると、不明な相手からの電話で、金持ちになりたければ10分後に新聞スタンドに来いと言われる。失うものは何もないと考えたリタは新聞スタンドで待っていると頭に黒布をかぶせられ車に乗せられる。連れて行かれた先で待っていたのは麻薬王のフアン・マニタス・デル・モンテだった。マニタスは女性化手術を受けて女になりたいので安全で秘密裏に出来る手術を手配するようリサに依頼する。報酬は破格で経費も使い放題だった。マニタスは既に2年前からホルモン治療は受けていた。ネット検索や直接バンコクの医師に面会に行ったりしてテルアビブのワッセルマン医師に依頼する。ワッセルマンは思い留まることを主張するがリタはマニタスの経緯などを説明し、最終的には直接面談して決めることとなり、メキシコでマニタスと面会し手術が決まる。マニタスは妻ジェシーと二人の息子を安全なスイスへ転居させることもリサに手配させ、リタは報酬を獲得する。マニタスは外国で別の組織に殺されたというニュースが流れジェシーは泣き崩れる。それから数年後リタがロンドンで仕事仲間と会食している席に同じメキシコ出身の女性エミリア・ペレスがいて話をするうちにマニタスだと気付く。エミリアは息子たちと暮らしたいと言い、リタにジェシーたちをメキシコに戻すことを依頼する。ジェシーたちの危険性がなくなったとしメキシコへ戻ることとエミリアはマニタスの遠い親戚の従妹と偽り三人をエミリアの家に移す。ロンドンに帰ろうとするリタだったが、テラスで食事中に行方不明の息子を探すビラを置いて行った母親の姿に何かを感じたエミリアは昔の伝手を使って収監中の組織の人間から情報を得てその息子が殺された場所を特定し遺体を発掘させる。そしてリタの協力でメキシコで行方不明となっている人たちの遺体を見つけ出し家族の元に返すNPOを組織する。そんな中行方不明だった夫が見つかったと言う知らせを受けたエピファニアが事務所にやって来る。夫が遺体安置所にいると言われ安心したエピファニアは、DV夫が生きていたらナイフで刺そうと思っていたと隠し持っていたナイフをエミリアに見せ、二人は友人となりそして恋人となる。一方ジェシーはかつての不倫相手グスタボと再び関係を持つようになり、結婚してエミリアの家を出ると言い出す。二人の息子も連れていくと言い出したため、エミリアは怒り出す。手下に命じてグスタボを痛めつけ10万ドルを渡して国外へ出るよう言い渡す。しかし翌日ジェシーたちはいなくなっていた。怒ったエミリアはジェシーの口座を凍結してしまう。後日事務所にいたリタに連絡が入り、エミリアの運転手が殺されエミリアが誘拐されたことを知る。さらにリタにエミリアの切断された3本の指が届けられる。身代金を持って指定された場所へ行くリタだったが、カルテルの精鋭部隊を引き連れていた。エミリアを誘拐したのはジェシーとグスタボだった。リタが身代金はエミリアと交換だと叫ぶが助っ人の存在を知ったグスタボとの銃撃戦となる。一時気を失っていたエミリアはジェシーにマニタスが付き合い始めたころの話や結婚式の話をする。ジェシーはマニタスがエミリアだと知るが混乱していた。グスタボがエミリアを車のトランクに押し込みジェシーと逃走するが、ジェシーはトランクには夫のマニタスがいると言いグスタボに車を止めるよう言い、銃を持ち出しもみあいとなるうちに車は道を逸れ崖下に転落炎上し三人とも亡くなってしまう。リタは残された子供たちを引き取り、葬儀の列ではエピファニアがエミリアを讃える歌を歌い、多くの人たちが列に加わるのだった。