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鑑賞日 2025/04/25  登録日 2025/04/26  評点 66点 

鑑賞方法 映画館/宮城県/フォーラム仙台 
3D/字幕 -/字幕
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子供は宝

 2023年のフランス映画。マリア・モンテッソーリが知的障碍児施設でパートナーと共に働くところから子どもの家を開設するまでを描いた伝記映画。フランス、リリが出産した娘ティナが1歳の頃知的障碍であることがわかると、両家の合意の元離婚、ティナはリリが引き取るが実家に預けパリでクルチザンヌとして人気を博す。しかし母親が亡くなりティナはリリに戻される。障碍を持った娘がいることが知れると評判が落ちると考えたリリはローマへ。そこでマリア・モンテッソーリとパートナーのジュゼッペが働く障碍児の研究施設を訪ねる。寄宿舎はいっぱいだが通いで、と言われティナを預けるリリ。そこでマリアの子どもたちの好奇心を引き出させる方法で、ティナは言葉を話し、字を書き、計算するようになる。マリアはジュゼッペッとの間に二人の子供をもうけていたが、仕事が忙しく農園に預け週に1回面会に行けるかどうかだった。しかしそこで息子はマリアを母と認識せず乳母を母と思い懐いている様子にショックを受ける。ティナの進歩に驚き母親としての意識に目覚めたリリだったが、マリアには給料が出ていないことを知りさらに驚く。リリは女性の自立にはお金も必要だと言い旧知の女性にマリアを紹介。マリアは女子大での講師を経て、子どもの家設立にこぎつけるのだった。しかしジュゼッペは別の女性と結婚、子供たちを認知しマリアとは会えなくなるのだったが、マリアは子供たちの権利を勝ち取るまではという思いで教育に情熱を傾けるのだった。
 20世紀のはじまりの頃は、どこの国でも女性は家庭にいて子供を産んで育てるものということが常識だったんだなあとあらためて思わされました。家庭に入ることでで夫に隷属することになることを恐れ、パートナーからの結婚の申し出にいい返事を返さなかったことからシングルマザーとなりそして子供を取り上げられてしまう。イタリア初の医学博士となりながら医者の仕事にもつけず研究機関では給料も出ないなんてとんでもない話なんだけど、娘は親に、妻は夫に養ってもらうものという当時の常識では致し方ないとマリア自身も思っていたのかな。それに異を唱えたのがリリだったことには驚きです。生まれたばかりの頃は一番の宝と思っていたティナを、いつの間にか厄介者扱いし母親に押し付けてパリへ出ていったリリだけど、リリの母親もティナを育てたのではなくただただ人目につかないように飼い殺しにしていたんでしょうね。そんなリリがティナに母性を抱き、ティナを認めるようになっていった心理変化がいまいち描き切れていなかったように感じてしまった。またマリア・モンテッソーリの、社会進出やシングルマザーの苦悩は描かれていたけど教育法に関するエピソードがあっさりとしか描かれておらず、独創的な教育法がどうやって生まれてきたのかもいまいちわからなかった。