幸福は何処に。

翔は、普通の高校生。クラスでは空気のような存在で、取り立ててやりたいこともなさそうだが、そんな彼にも友人の泰我とずっと続けている和太鼓がある。しかし、受験が近いからと泰我は和太鼓をやめてしまう。翔の両親は、彼の進路に口を出すこともなく、あなたが幸せならそれでいいと言う。だが、そんな環境に居るからなのか却って彼には幸せが何だか分からない。童話に出てくる幸せの鳥は、青なのか緑なのかも分からないように。

そんな彼が出会ったペット屋の孫らしい都は、ミュージシャンを諦めようとしている。彼女の歌声を聞いて心打たれた翔は、でもギターを彼女に押し付けることはしない。彼はただ、そっとギターを彼女の前に差し出すだけだ。それは、彼女にとっての幸せを選んで欲しいから。

二本煙突が一本になるのを見たら幸せになるのかどうかは分からないが、その場所で一本の煙突を見た記憶は残る。例え離れても心が重なっていれば、二人の心は二本が一本になった煙突のように重なっている。

夜のプール、夏祭りなど掛け替えの無い時間が切り取られた青春映画。