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鑑賞日 2025/03/23  登録日 2025/03/25  評点 75点 

鑑賞方法 映画館/東京都/シアター・イメージフォーラム 
3D/字幕 -/字幕
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監督自身のフランス人的な感性に満ちているのでしょうか

 日経夕刊の映画評を読んで拝見してみたくなりました。
 不思議な雰囲気に満ちた、たぶん全編フランス人の感性に満ち、それをあえて見せつけているように思えました。

 アラン・ギロディ監督は2001年の第54回カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出された中編第2作目がゴダールからカンヌの最高作と評価されたといい、今作もフランスのカイエ・デュ・シネマ誌ベストテン第1位なんだそうですね。
 でも、どう言ったらいいんでしょう、なかなか難しい作品で、レビューも書きにくいんじゃないでしょうか。
 思ったのは、ゴダールの「勝手にしやがれ」にしても、当時の映画の概念を打ち破る演出や技法で作られ、その後の映画界に大きな影響を与えたわけで、その意味では、このギロディ作品もテクニックはともかく、映像表現やセリフ、演出には不思議さや不気味さやエロティシズム、お笑いなど、またテーマ的には性やセックス、また宗教や神父、告解など織り込みながら微に入り際に入りこだわっていて、フランス的には衝撃的な作品なんじゃないでしょうか。

 物語は、かつて働いていたパン屋の店主の葬儀に参列するため帰郷するジェレミーが主人公。未亡人となったマルティーヌの勧めで家に一泊だけする予定が長引いていきます。そんな中近くの森で事件が起きるのですが。
 個人的には主人公にも誰にも共感できなかったのですが、晩秋が近づいてくる森のシーンは印象的です。きのこも象徴的ですし。

 それらはあくまでも徹底的にフランス人気質、フランス人感性からくるもで、世界中の万人向けか普遍的なものかどうかはギロディ監督は計算していないように思えます。あくまでもフランス人的な感性を取り込み、映像化し観客に見せつけること。
 もちろん映画ですから世界中の人びとが観るものでしょう。しかし監督はそれよりもフランス人である自分の感受性を大事にしているんでしょうね。映画監督として当たり前のことですが。