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過去のない男
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なんか映画タイトルからサスペンス物かなと思ってしまった。普通の映画だったらスパイ物とかになるんだろうけど、アキ・カウリスマキの映画だからスパイ物はないだろう、でもサスペンスなら、なんてね。映画の出だしだって、いきなり列車の中のシーンだよ。サスペンスの舞台としては最適だよね。でも、違った。 主人公が夜に列車でヘルシンキについて、ベンチで腰掛けていると暴漢に襲われて、パイプか何かで殴られ、身ぐるみ剥がされて、気がついたら病院。でも記憶をなくしている。記憶をなくした男が主人公と言えばリーアム・ニーソンの「アンノウン」やマット・デイモンの「ジェイソン・ボーン」シリーズを思い出すけど、さすがにアクションは無いよな。 病院で一度死亡宣告をされながら、復活して病院を抜け出し、波止場で倒れているところをその近くに住む貧しい住人に助けられて、コンテナハウスで暮らし始める。仕事は真面目なので徐々に働くことが出来る。自分を助けてくれた隣人と一緒に救世軍の食事提供のところに行って、イルマと出会う。このイルマが常連のカティ・オウティネン。そして自分が溶接が出来ることを知り、溶接の会社に雇われるが、銀行口座を作れと言われ、銀行へ行くと偶然銀行強盗に出くわしてしまう。この銀行強盗事件で新聞に顔が載り、自分が誰か判る。 話の内容はハッピーエンドの内容で、みんな楽しく観られる。もちろん、アキ・カウリスマキ節は満載だ。それにカウリスマキ大好きなジュークボックスも出てくる。ジュークボックスなんて今の人は知らないだろうなあ。ラジオにバンドに酒にタバコ。そうそう、カウリスマキの映画ってなんで皆あんなにタバコを吸っているんだろう。さすがに2000年くらいには世界的にタバコに対する風当たりは強くなっているだろうに。かくいう私だって、2000年に入院して、退院したら職場の机から灰皿が撤去されていた。それと、お酒飲む時に肴はないんだね。 この頃の映画になるとヘルシンキの町は近代的に映っている。ただし主人公たちが登場する舞台は貧しい人達が生活する貧相な場所だ。だけど、主人公が自分が誰か判って、帰る田舎の自宅が立派なんだよな。 映画の後半で、銀行強盗のおじさんとバーで出会うシーンがあるんだけど、後ろの壁にマッティ・ペロンパーの写真が掛かっていたの、気がつきました? あと、田舎からヘルシンキへ戻ってくる列車の中で主人公が寿司を食べる。で、バックに流れているのが小野瀬雅生の”Motto Wasabi”だ。これは寿司のシーンが先か、音楽を入れるために寿司を食べさすシーンにしたのか。だって箸の使い方が下手くそなんだもん。エンドクレジットでクレイジーケンバンドの曲も使っていたらしいのだけど、どこに入っていたか判りませんでした。 駄犬ハンニバルがいい。
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