血とバラ

ちとばら|Blood and Roses|Blood and Roses

血とバラ

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レビューの数

14

平均評点

83.0(42人)

観たひと

46

観たいひと

15

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ホラー
製作国 フランス イタリア
製作年 1960
公開年月日 1962/3/7
上映時間 0分
製作会社 パラマウント(E・G・E=ドキュメント)映画
配給 パラマウント映画
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演メル・フェラー Leopoldo_De_Karnstein
エルザ・マルティネッリ Georgia_Monteverdi
アネット・ヴァディム Carmilla_Von_Karrstein
ジャック・ルネ・ショーファール Dr._Verari
マルク・アレグレ Judge_Monteverdi
Alberto Bonucci Carlo_Ruggieri
Serge Marquard Giusepp
ガブリエラ・ファリノン Lisa
Renato Speziali Guido_Naldi
Edytee Peters The_Cook
Gianni De Benedetto The Police_Marshal
Carmilla Stroyberg Martha
Nathalie Le Foret Marie

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「危険な関係」のロジェ・ヴァディムが、パラマウントと契約して監督した第1作。イタリアの吸血鬼伝説を題材にした新しいスタイルの恐怖映画。アイルランドの作家シェリダン・ルファヌーの怪奇小説「カーミラ」をもとに、ロジェ・ヴァディム以下4人のライターが現代風に書き直したもの。撮影は「女の一生」「ピカソ・天才の秘密」のクロード・ルノワールで、ローマ近郊の古城でロケが行われた。音楽は「素晴らしい風船旅行」のジャン・プロドロミデスが担当。出演は「戦争と平和」「陽はまた昇る」のメル・ファーラー、「赤い砦」「水田地帯」のエルザ・マルティネリ、「危険な関係」のアネット・ヴァディム、「ローマで夜だった」のガブリエラ・ファリノン、ジャック・ルネ・ショーファール、特別出演のマルク・アレグレ監督など。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ローマ近郊の古城の荒れ果てた墓地。墓に記された名はほとんどカーンシュタイン。第二次大戦も終わったある日のこと、この墓地の近くを2人の美女が馬に乗って通りすぎた。カーミラ・フォン・カーンシュタイン(アネット・ヴァディム)とジョルジア・モンテベルディ(エルザ・マルティネリ)で、ジョルジアはカーミラのいとこレオポルド・デ・カーンシュタイン(メル・ファーラー)と婚約の間柄だった。その日、カーンシュタイン邸に集まった来客たちの間で、この家の伝説が話題になった。200年ほど前、吸血鬼の呪いにとどめを刺そうと領地の百姓たちがカーンシュタイン家の墓をあばき、屍体に杭を打ち込んだ。しかし最も恐れられていた吸血鬼ミラーカの墓だけは探し出すことが出来なかったというのだ。そのミラーカの肖像画がカーミラにそっくりなのを知った一同は不吉な予感におびえた。カーンシュタイン家での舞踏会の夜、カーミラはいつになく酔って、ミラーカの衣装を持ち出して身にまとい、催しの花火の打ち上げ場へ出て行った。やがて花火が始まるとその音に交って爆発音が起こった。すると古い僧院の壁が崩れ、そこからミラーカの墓が現れた。爆発は戦争中しかけた地雷によるものだと分かったが、その時からカーミラの身に不思議なことが起こった。手が氷のように冷たかったり、昔のダンスを踊ったりするのだ。ある夜、カーミラは召使リザ(ガブリエラ・ファリノン)の前に不意に現れた。何事かに驚いたリザは走り出たまま行方不明になった。やがて、首に傷跡が残ったリザの屍体が発見され、人々は吸血鬼の仕業だと言った。そんなある日、カーミラの姿が見えなくなり、意外な所で死体となって発見された。カーミラは吸血鬼か。怪奇な伝説である。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1962年5月上旬号

外国映画批評:血とバラ

1962年3月下旬号

外国映画紹介:血とバラ

1962年3月上旬号

新作グラビア:血とバラ

2022/12/13

2022/12/13

100点

VOD/YouTube/レンタル/テレビ 
吹替


YouTube で吹替え版、分割された10本連続再生しました

70インチで再生、まぁまぁ見れたので、アップ状態は《良》だと思います。
 (私の手持ちの1983年時のエアチェック版と比較しての、お話。)
ただ色彩が退色等で弱いので、モニターの《色の濃さ》を最大限、濃くしました。

10本合計タイム、1時間13分09秒
シネフィル・イマジカ版が1時間13分40秒ですので、ほぼ綺麗に収まってます。

吹替えキャスト
   メル・ファーラー(レオポルド)・・前田昌明 
          NHK・TV「事件記者」で顔より声を覚えている。
          ベルモンドの声を、山田康雄さん以前は担当していた。
   アネット・ヴァディム(カルミーラ)・・上田みゆき
          「エイトマン」の秘書、関サチ子
          「宇宙戦艦ヤマト・新たなる旅立ち」スターシャ
   エルザ・マルチネリ(ジョージア)・・小沢沙季子
          「男と女」のアヌーク・エーメ役が絶品。
   ナレーション(ミラルカ)・・北浜晴子
          「新ジャングル大帝 進めレオ!」ライヤ(レオの奥様)

アネット・ヴァディムは、場面によって顔が変わって見える不思議な女優さん。
本作中、針仕事をしているお手伝いさんのリサの前に来て、「どこに住んでるの」とか聞くシーンのアネットは、分厚い口紅等もあって、ブリジッド・バルドーそっくりでドキッとする。

ヴァディムの妻とドヌーブ
   ブリジッド・バルドー(1952~1957)
         *「素直な悪女」1956  「月夜の宝石」1958
          「何がなんでも首ったけ」1961   「戦士の休息」1962     
   アネット・ヴァディム(1958~1960) 一子を設ける
         *「危険な関係」1959  「血とバラ」1960
           アネット・ストロイベリ 又は ストロイベルグとも表記される。
   カトリーヌ・ドヌーブ  1963年一子を設ける。
         *「悪徳の栄え」1963
   ジェーンフォンダ(1965~1973) 一子を設ける
         *「輪舞」1964 「獲物の分け前」1966
          「世にも怪奇な物語」1967  「バーバレラ」1967
   衣装デザイナー(1975~1977) 一子を設ける
   マリー・クリスティーヌ・バロー(1990~2000)
         *ヴァディムは、2000年に72才で死去
         *バローの作品
            「モード家の一夜」「さよならの微笑」「恐怖の魔力 メドゥーサ・タッチ」

2022/12/12

2022/12/12

100点

その他/1983年9月神奈川TVK放送のもの 
吹替


昨日に続き「血とバラ」を、今度は吹替え版で。

今日は、1983年9月あたりに神奈川TVKテレビで放送した《吹替えトリミング版》を鑑賞。
このヴァージョンは、1973年フジテレビの夜11時20分~0時45分まで放送したヴァージョン。
吹替え制作は、東北新社である。
・・・・・この吹替え版は、YouTube で10本に分けてアップされてます。
     2009年から。

タイトルは「Blood and Roses」で英語版であるが、そのオープニング・クレジットのバックの《絵》が、現在流通しているものと違う。
青と赤の斜め模様のシンプルなもので、アネット・ヴァディムの写真は出て来ない。
ラストにエンド・マークは無く、パラマウントの《山》が出るだけである。
正確に計測した結果、1時間13分32秒であった。
 (シネフィル・イマジカ放送版は、1時間13分40秒)

今日、久しぶりに吹替え版を見て、アメリカ版にさらにプラスしてジャン・プロドロミデスの音楽をたっぷり(フジテレビが?)加えたことを確認した。
もう、ほとんど「男と女」のフランシス・レイ状態ぽく、やや呆れてしまったが、私が1973年から痺れたヴァージョンはこれなのも事実なので・・・文句は・・・言えない。

2013年にキネノートを始めるにあたり、ペンネームをレオポルドとしたのは、それ以前から Amazon のDVD評にそれを使っていたこともあり、特に考えもせず、そうしたのだったが。

今日見てて、アネット・ヴァディムとエルザ・マルチネリがレオポルドと言うたびに「あ~。」という感じで、居心地悪かったです。
恥ずかしい。
この10年で《レオポルド》という名前は、完全に僕の分身になっちゃったから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日、007を全25作を振り返る時、あえて字幕版にして、改めて生声はいいなと思ったが、本作に関しては吹替えの台詞がとても良くて、これはこれで貴重。

*ピアノを弾くカルミーラと、釣り真似をして、はしゃぐレオポルドの直後の真顔の語らいを採録します。
レオポルドとカルミーラは、いとこ同士で幼馴染です。
吹替え版
カルミーラ「今夜のあなたは、昔のままのレオポルドだわ。
      あたしといつも一緒にいた頃の、あなたよ。
      どうして変わってしまったの、なぜ? 」
レオポルド「大人になったから。
      君もさ。
      避けられないことだし、それが当たり前なんだ。
      カーンシュタイン家の人間で幸せをつかんだ者は、いないからね。
      ジョージアに会わなかったら、僕もどうなっていたか。
      彼女は、僕を救ってくれた。」
カルミーラ「あなたを救った?
      何から?」
レオポルド「僕自身から、僕自身からさ。」

シネフィル・イマジカの字幕版
カルミーラ「昔のあなたが戻った。
      なぜ変わってしまったの。
レオポルド「成長したんだ。
      人は変わっていく。
      カーンシュタインは自ら幸せをつかめない。
      僕はジョージアに救ってもらった。」
カルミーラ「だれから?」
レオポルド「自分だ。自分から。」

*オープニングの北浜晴子さんのナレーション
  パリからローマまで、わずか90分。
  同じ旅が、500年前には2カ月近くもかかりました。
  私もその長い旅をしたひとりなのです。
  私の名はミラルカ。
  私は過去の世界に生きていました。
  今も生きています。
  月にロケットが飛ぶ今、霊魂の存在は信じがたいかもしれません。
  現代は新しい世界です。
  そして霊魂の世界は、古い世界です。
  古くても、それは真実の世界です。
  あそこに見える森の中の古いお城は、イタリアの名門、カーンシュタイン伯爵家の館です。
  一緒に中にお入り下さい。
  私の最近の生活を、お話しましょう。

シネフィル・イマジカ字幕版
  パリ~ローマが90分
  500年前は 2カ月かかったものだ
  私は経験したので知っている
  私はミラルカ
  今なお生き続けている
  科学万能の時代に 霊魂の話は信じがたい
  霊魂の世界は 古い世界だ
  しかし実在する
  緑豊かなイタリアの丘に建つこの城
  カーンシュタイン家の城だ
  お入りなさい
  つい最近の出来事を話そう
  

2022/12/11

2022/12/11

100点

その他/シネフィル・イマジカ版と、購入したDVDでフランス語再生 
字幕


ロジェ・ヴァディム

MY BEST MOVIE に掲げている「血とバラ」。
オリジナルは、テクニスコープ(シネスコサイズ)・テクニカラー。
フランス版の題名訳は「そして快楽に死す」だそうです・
ヒロイン(アネット・ヴァディム)の役の名前は「カーミラ」表記が多いが、映画の中では「カルミーラ」と聞こえます。
(同様に18世紀のミラーカはミラルカとしか聞こえない。
 この映画の舞台は、イタリアのようです。)
ミラルカとカルミーラは、アイテムとして「ローズマリーの赤ちゃん」にも出て来ましたがアナグラム(言葉遊びの、ひとつ)です。

以下の文章は、ほとんど映画の内容に触れてません。

1973年フジテレビで初めて見る。
吹替え短縮トリミング版。
 (英語版をアテレコしたもの)
これを、とことん繰り返し見た。
台詞もほとんど頭に入っている。

90年代だったか、東京新宿の輸入ビデオ店の《ビデオマーケット》でVHSを購入したのだが、やはりスタンダード画面で、なぜか3倍速収録という粗悪品。
ただ、これがパラマウント英語版の正規版というのだから泣けた。

英語版は、ほとんど尺数的にはテレビのアテレコ版と同じであった。
シネフィル・イマジカ(現在のWOWWOWプラス)の放送も、この英語版で、1時間13分40秒という短さ、小品である。

今日は、まずこの見慣れた英語版(シネフィル・イマジカ版)を見た。
意外とジャン・プロドロミデスの音楽の音が小さい。
画質も色も、トリミングのせいかポヤポヤである。

次いでドイツ発売版DVDを鑑賞。
音声はドイツ語とフランス語が収録されている。
当然、フランス語を選択。字幕なし。(英語字幕は出せるのですが。)
出演俳優は、みな英語とフランス語を喋れる人のようである。
1時間18分51秒。
 (花火屋とレオポルドの会話は、アメリカ版にのみある箇所あり。)
シネスコ収録でホッと出来る。
色も、今、世界で行われているレストアに比べれば、不満タラタラではあるが、まぁスタンダード・トリミング画面よりは全然、上。
クロード・ルノワールの色彩の一端はうかがえる。
ただ音は、擦り切れたレコード盤のような状態で雑音多し。

さて、このフランス語版だが、英語版とは別に、なんと全篇、撮り直したもの。
おおよそ同じ脚本のもと、同じシーンを撮ってるのだが、人間、同じことを完全には繰り返せない。
細かい動き、表情、全部、違うものである。
カルミーラがドレスを放り投げれば、当然、同じところには落ちない。
 *同じパターンに、アラン・ドロンの「シシリアン」「さらば友よ」がある。
  ビリヤードの球は違う転がり方をするし、紙をふたつにちぎれば、違う切り口になる。

このフランス語収録版を購入したのは2015年頃だったろうか。
英語版を40年以上見続けて来たものにとっては、違和感だらけのものなのである。
加えて、プロドロミデスの音楽は、入れこんでる箇所が少ない、決めのバラの花の変化のショットがないなど、実に居心地が悪い。

これからの鑑賞は、吹替え版を見たあと、フランス語版を見るというパターンが一番、精神衛生上いいのかしら?
自分が望むベスト・ヴァージョンをどうしても見れない、そんな映画も存在するのだと諦めるしかない。

*1962年に日本で公開されたのは、フランス語ヴァージョンであったと思われる。
 1973年のテレビ放送を見た方が、ミラルカ(18世紀の吸血鬼)の吹替えナレーションがやたら入ってて、映画館で見たヴァージョンを台無しにしてるとおっしゃってた。
 フランス語版には、そのナレーションはないのだが、英語ヴァージョンには、ばっちし入っているのである。
 1973年のフジテレビは、その英語ヴァージョン通りにアテレコしたということなのである。
 やたらナレーションがあるというのは「ブレードランナー初公開時の劇場版」と同じみたいなものですな。
 「血とバラ」は《後付け》ですが。

*イーストウッドが、テイクは多くて2つしか撮らないといのは、彼の経験からなのだろうが、よく解かる。
 何回繰り返しても、ダメな時はダメ。
 俳優を信頼して任せるというのも正論なのだろう。

 ワイラーがベティ・デイヴィスに、加藤泰が藤純子に「もう1回」を繰り返し、監督と女優の間が険悪になったと聞く。

 英語版とフランス語版の演技の違いをチェックしながら、そんなことも頭をかすめた。

2021/12/17

2021/12/17

65点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
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元祖耽美的ファンパイア映画

監督は、ロジェ・ヴァディム。
1996年にテレビ放映されたものでの鑑賞です。

第二次大戦終結から程ない頃。
ローマ近郊のカーンシュタイン邸に、古くから伝わる祭りのために人々が集った。
邸の主人は若いカーミラ・フォン・カーンシュタイン(アネット・ヴァディム)。
集った中には、カーミラの従兄レオポルド(メル・ファーラー)とその婚約者ジョルジア(エルザ・マルティネリ)もいた。
ふたりは、まもなく結婚式を挙げる。
そんな中、集った人々の話題は、カーンシュタイン家の伝説のことになった。
かつて、領主であるカーンシュタイン一族は村人から吸血鬼として畏れられ、村人たちは一族の墓をあばいて屍体の胸に杭を打ち込んだ。
しかし、そのとき、一体だけ骸がなく、それは娘ミラルカのもので、その肖像が居間に飾られている、と。
肖像画はカーミラそっくりで、カーミラはレオポルドのことを昔から愛していた・・・

といったところからはじまる物語で、冒頭、女性のモノローグで始まるのだが、観進めると、モノローグの主はミラルカであることがわかる。
その後、カーミラにミラルカの霊魂が乗り移り、カーミラが女吸血鬼と化してしまいます。

全体的に怖いシーンは少なく、ムードづくりに終始しています。
鑑賞したテレビ放送版では左右が切られたスタンダードサイズで、発色も肝心の赤が飛んでいるので、映像の美しさに欠けるのが難点。

冒頭のクレジットタイトルはモノクロで、物語に入るとカラーとなり、カーミラがジョルジアの首筋に噛みつくシーンから再びモノクロ。
ただし、ジョルジアの唇に流れるひとすじの血の赤を残すように、中心部のみカラーです。
この部分カラーの手法は、大林宣彦監督もよく使っていましたね。

ミラルカの魂はジョルジアに移り、レオポルドを得るというのがオチなのですが、ジョルジアが吸血鬼と化したことを示すのに、持っていたバラが枯れる特殊技術も使われています。

やはり、発色が悪いのが残念。元祖耽美的ファンパイア映画ですね。

今回観たのは英語発声版で75分の尺。
フランス語発声版もあるようですが、英語版とともに、デジタル化されていないので、見比べることができません。

2020/08/15

2020/08/15

100点

購入/DVD 


輸入イタリア盤。

すみません、作品評ではなく、ヴァージョン違い等について、ごちゃごちゃ書きました。

今日は、イタリア盤でイタリア語で見る。
音声は、フランス語も入っている2か国語仕様である。
ちなみに字幕はイタリア語が2種・・・。

そして、ここが肝心なのだが、画面は(プリントは)ドイツ版である。
これはタイトルで解かる。
ドイツ語で ... und vor lust zu sterben と出る。
       (そして快楽に死す)

英語トリミング版にくらべ、ジャン・プロドロミデスの典雅な音楽が、フランス語版はめちゃ少ない。
イタリア語版で見ると、フランス語版より少し音楽が多めでマシだが、英語版に馴れた私には、どうにもつらい。
加えて、紅いバラが色褪せていく特撮カットがない!
英語版にあった特撮カットがない!
イタリア語ラストは、ミラルカと思われる女性のナレーションで終わる。
(フランス語版ラストは、男の医者のナレーション)
(英語版は、ラスト=女性で、全編にわたって女性のナレーション入れまくり、これはフジテレビで製作された吹き替えも御同様である)

イタリア語鑑賞後、英語圏から出た「デザート・アイランド社」のDVD(海賊版らしい酷い画質=フランス語で英語字幕)をチラ見したら、終盤の幻想(?)シーンが飛んでいて唖然としたが、ヨーロッパ盤に無いエルザ・マルチネリのカットがあってビックリ。
オープニングで題名は ...et mourir de plaisir と出る。
     (そして快楽に死す)

あと、英語版とフランス語版で演技が違う。
つまり同じシーンを、ことごとく二度撮りしている。
ドロンとギャバンの「シシリアン」はそうで、札を破るシーンから玉突きのシーンまで二通りあるので、見比べると微妙に異なるのが歴然。
役者の細かい表情・手つきも御同様である。

ドロンとブロンソンの「さらば友よ」もそうだった。

「血とバラ」、今は、クライテリオン盤か、英語版のシネマスコープ・ヴァージョン版のリリースを待っている。
ま、目標が達成されないというのは、ある意味、幸せかもしれない。

原題名「そして快楽に死す」とは、しかし、何と意味深で魅力的、あるいは悪魔的な題名ではないだろうか。

2017/09/20

2017/09/21

85点

選択しない 
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耽美派吸血鬼恋愛映画

ロジェ・ヴァディム監督の『血とバラ』は日本でソフト化されていません。DVDどころかVHSも出ていませんでした。TV放送は過去に何度かされていますので、録画されたものは貴重なソースです。

『血とバラ』には英語版と仏語版があります。吹き替えた訳ではなく、英語と仏語で二回撮影しているようです。比較してみたいのですが、今回観たTV放映版は英語版だったので、英語版準拠で感想を書きます。

原作はレ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』です。とは言っても映画はほとんど原型を留めていません。主人公の名前がカーミラで吸血鬼だったカルンシュタイン男爵家の末裔というのが原作との唯一の繋がりです。原作に忠実な映画化であれば、ハマーの

時代設定は現代です。最初と最後のシーンは旅客機で、そこにミラーカと名乗る女性のモノローグが被ります。この物語は吸血鬼ミラーカ(カーミラのアナグラム)による回想の形を取っているのです。

お話はカーミラの従兄弟レオポルドが美しいフィアンセのジョージアを迎えるところから始まります。カーミラはレオポルドとは幼い頃から仲が良く、ジョージアの出現はカーミラの心を搔き乱します。

レオポルドとジョージアの婚約披露パーティーで花火師が仕掛けた花火が大戦中の爆弾に引火して大爆発を起こします。すると隠された霊廟が現れ、カーミラは誘われるように入って行ってしまいます・・・。

カーミラの精神の不安定さによるものか、あるいは本当にカルンシュタイン家の一族は吸血鬼の血筋なのか、明確には示されないのですが、とにかく若い娘が怪死し、使用人達は吸血鬼が甦ったと噂します。

耽美的で幻想的な画作りは撮影のクロード・ルノワールの手によるものですが、ビジュアルだけに頼ることなく、レオポルドのメル・ファーラー、ジョージアのエルザ・マルティネッリ、それにカーミラのアネット・ストロイベルグによる三角関係のドラマが観るものに緊張感を与えて、この作品に魅きつけられます。

アネット・ストロイベルグはこの映画撮影当時はヴァディム監督の三番目の妻でした。やはり自分の愛する人だからですね。この映画だのアネットはとても美しく描かれています。

エルザ・マルティネッリは今年亡くなったばかりです。今回は偲んで代表作の一本が観られたことが嬉しいです。