日の名残り

ひのなごり|The Remains of the Day|The Remains of the Day

日の名残り

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レビューの数

74

平均評点

76.2(421人)

観たひと

627

観たいひと

67

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸 / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1993
公開年月日 1994/3/19
上映時間 134分
製作会社 マーチャント=アイヴォリー・プロ(コロンビア映画提供)
配給 コロンビア トライスター映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

英国の名門家に一生を捧げてきた老執事が自身の半生を回想し、職務に忠実なあまり断ち切ってしまった愛を確かめるさまを描いた人間ドラマ。原作は、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ(石黒一雄)がTVドラマ用の脚本を改稿した同名小説(中央公論社)。主演のアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソン、監督のジェームズ・アイヴォリー、脚本のルース・プローワー・ジャブヴァーラ、製作のイスマイル・マーチャント、撮影のトニー・ピアース・ロバーツ、音楽のリチャード・ロビンス、美術のルチアーナ・アリジ、編集のアンドリュー・マーカス、衣装のジェニー・ビーヴァンと、92年カンヌ国際映画祭受賞作「ハワーズ・エンド」のキャスト、スタッフが再結集。そのほかのスタッフは、共同製作に「ハリウッドにくちづけ」のコンビ、マイク・ニコルズとジョン・コーリー、エクゼクティヴ・プロデューサーにポール・ブラッドリーら。共演は「パトリオット・ゲーム」のジェームズ・フォックス、「ある日どこかで」のクリストファー・リーヴ、「赤い航路」のヒュー・グラントほか。2017年10月28日より特別再上映(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年。オックスフォードのダーリントン・ホールは、前の持ち主のダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)が亡くなり、アメリカ人の富豪ルイス(クリストファー・リーヴ)の手に渡っていた。かつては政府要人や外交使節で賑わった屋敷は使用人もほとんど去り、老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)の手に余った。そんな折、以前屋敷で働いていたベン夫人(エマ・トンプソン)から手紙をもらったスティーヴンスは彼女の元を訪ねることにする。離婚をほのめかす手紙に、有能なスタッフを迎えることができるかもと期待し、それ以上にある思いを募らせる彼は、過去を回想する。1920年代、スティーヴンスは勝気で率直なミス・ケントン(後のベン夫人)をホールの女中頭として、彼の父親でベテランのウィリアム(ピーター・ヴォーン)を執事として雇う。スティーヴンスはケントンに、父には学ぶべき点が多いと言うが老齢のウィリアムはミスを重ねる。ダーリントン卿は、第一次大戦後のドイツ復興の援助に力を注ぎ、非公式の国際会議をホールで行う準備をしていた。会議で卿がドイツ支持のスピーチを続けている中、病に倒れたウィリアムは死ぬ。36年、卿は急速に反ユダヤ主義に傾き、ユダヤ人の女中たちを解雇する。当惑しながらも主人への忠誠心から従うスティーヴンスに対して、ケントンは卿に激しく抗議した。2年後、ユダヤ人を解雇したことを後悔した卿は、彼女たちを捜すようスティーヴンスに頼み、彼は喜び勇んでこのことをケントンに告げる。彼女は彼が心を傷めていたことを初めて知り、彼に親しみを感じる。ケントンはスティーヴンスへの思いを密かに募らせるが、彼は気づく素振りさえ見せず、あくまで執事として接していた。そんな折、屋敷で働くベン(ティム・ピゴット・スミス)からプロポーズされた彼女は心を乱す。最後の期待をかけ、スティーヴンスに結婚を決めたことを明かすが、彼は儀礼的に祝福を述べるだけだった。それから20年ぶりに再会した2人。孫が生まれるため仕事は手伝えないと言うベン夫人の手を固く握りしめたスティーヴンスは、彼女を見送ると、再びホールの仕事に戻った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1994年5月上旬号

外国映画紹介:日の名残り

1994年3月下旬号

グラビア 《New Release》(新作映画紹介):日の名残り

特集 日の名残り:作品評

特集 日の名残り:アンソニー・ホプキンス論

2024/10/05

2024/10/07

77点

選択しない 


反面教師

自分も主人公の様な人生を送らない様にしよう

2024/07/15

82点

VOD/NETFLIX 
字幕


執事の品格

ネタバレ

与えられた役目をまっとうする人生と、愛のために生きる人生。
どちらが尊い生き方なのだろうか。

本来人はその両方のバランスをうまく取りながら生きているのだが、ダーリントンホールの執事を勤めるスティーヴンスは極端なまでに執務に忠実であり続けた。
彼はこの映画の中で一度も本音を漏らさない。
常に建前のみで生きているのだが、それは常に何かに身を委ねる生き方でもある。

彼の主人であるダーリントンは立派な紳士なのだが、次第にナチズムに傾倒するようになる。
後に歴史が証明しているが、明らかにダーリントンは進む方向を間違えていた。
しかし政治的なことには一切口出しをしないスティーヴンスは黙って主人の側に仕えるだけだ。
ダーリントンに命じられたまま、彼は若いユダヤ人の女中二人に解雇を言い渡す。
本国へ戻れば強制収容所送りになるかもしれないのに。

しかし彼は心の中ではしっかりと痛みを感じている。
女中頭のミス・ケントンは何度も「何故自分の気持ちを隠すのですか」と彼に問いかける。
実はこの作品はスティーヴンスとケントンの恋物語でもある。
ただし明確な二人のラブシーンは一切ない。

ケントンはずっとスティーヴンスに想いを寄せていた。
しかし職務に忠実であろうとする彼はずっと彼女の好意に気づかないふりをし続けている。
そもそも彼がケントンを雇ったのも、前の女中頭が駆け落ちしたためであり、彼は絶対に仕事に色恋沙汰を持ち込まないようにと釘を刺している。

細かなシーンのひとつひとつが印象に残る。
ケントンはスティーヴンスの部屋に花を飾ろうとするが、彼は気が散るからと拒否してしまう。
しかしその後、彼は部屋に花を飾ることを受け入れている。
同じく執事として働く父親のウィリアムが病気で亡くなった時も、彼は執事として役目を果たすことを選んだ。
涙も見せない彼に代わってケントンが亡くなったウィリアムの目を閉じてあげる。
一番印象的なのは読書中のスティーヴンスにケントンがどんな本を読んでいるのかと話しかけるシーンだ。
何故か頑なに彼は本のタイトルを見せようとしない。
やがてしつこく尋ねる彼女に根負けした彼は、読んでいた恋愛小説を彼女に見せる。
「英語の勉強のために読んでいるのです」と下手な言い訳をしながら。
この時の二人の間にある空気感が何とも言えない。
強いて言えばこれが唯一の二人のラブシーンなのだろう。

生活よりも愛を選んだ若い女中のリジーがスティーヴンスと対称的で、これがきっかけでケントンの心は揺れ動くことになる。
彼女は同じくダーリントンホールで働くベンから告白されていた。
彼女の心はずっと迷っていたが、スティーヴンスの態度は一向に変わらない。
何故恋愛小説を読んでいるにも関わらず女心が分からないのか。
結局彼女はベンと結婚する道を選ぶ。

本当はスティーヴンスは全部分かっていたはずなのだ。
ダーリントンを正すべきであることも、ケントンの想いに答えるべきだということも。
しかし、彼は執事であるからと自分の心に蓋をする道を選んでしまった。

結果的に戦争が終わって責任を問われたダーリントンは自ら命を絶ち、ケントンはあまり幸せではない結婚生活を送ることになる。

二人が再会するシーンも切ない。
ケントンはダーリントンホールで過ごした時間が人生で一番幸せだったと告白する。
それはもう取り戻すことの出来ない時間だ。
ラストのダーリントンホールに迷い込んだ鳩が、大空へ羽ばたいていく姿が何かの象徴のようにも感じた。

2024/07/10

80点

選択しない 


ラストは少し救われました

かなり共感できる作品でした。
舞台は第一次世界大戦を終えて、ヨーロッパでナチスが台頭してきた頃のイングランドでした。
主人公は、アンソニー・ホプキンス扮するスティーブンス。
本作ではイングランドの公爵ダーリントン卿に執事として仕えた彼の回想録が展開されるのでした。

見所は何と言っても、宮仕えの辛さであろう。いくら有能な執事であろうと、主従関係がある上では主人公の意に添うようにしなければならない。更に部下を使わなければならない。サラリーマン社会の中間管理職によく似てるなと感じました。
スティーブンスが執事という仕事に忠実なだけに、自分を殺して職務に当たる姿が何だか痛々しかったです。

主人と相談して新たに執事を雇うことになるのだが、採用したのが実の父とエマ・トンプソン扮するケントンであった。
父には親としての情を、ケントンには淡い恋心を、それらを表に出さないようにしたスティーブンスの姿は切なかった。
現在の日本では社内恋愛なんか当たり前になってると思うが、そんな生やさしいことは封建制度が残っている当時のイングランドでは御法度だったと思います。
主人のダーリントン卿が政治家として、各国要人を接待する立場であった。自分の仕事が、国の命運をも左右すると思ったのだろうか?
そのような仕事に対するプライドで、自我を殺すことになるのだから表面に出ない苦しい胸の内が見え隠れしました。
それ故にラストシーンは心に沁みました。人間として感情を出すことも大切だと思いましたので。

1994年

2023/10/20

-点

映画館 
字幕


その当時、私が最も気に入った作品です。DVDも発売されるや否や購入しました。こんなに多くの俳優が出演していたとは気付きませんでした。アンソニー・ホプキンスとエマ•トンプソンに目は釘付けになっていたと思います。

2022/03/26

2022/03/26

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 


愛情が恋愛に変わるとき

この映画の良さって何だろうって考えると、

愛情って何ってのが、良く分かるんだな。

恋愛ではない。恋でなく愛。

執事として、主人に対する愛情。
同じ使命を共有する同僚への愛情。

そこに恋愛を持ち込むことへの怖れと戸惑い。

自らの価値観と、主人の価値観との相違に悩む姿。
自らの価値観と、父親への愛情との葛藤に悩む姿。
自らの価値観と、同僚への愛情。愛情が恋愛感情に変わることを悩む姿。

アンソニー・ホプキンスの人間らしさを感じさせない姿に、人間臭さを感じるんだな。

やっぱり、アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの魅力なんだな。

2022/03/24

2022/03/25

78点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


また観た

アンソニー・ホプキンス、歯痒く哀しいが美しい。