彼女について私が知っている二、三の事柄

かのじょについてわたしがしっているにさんのことがら|2 Ou 3 Choses Que Je Sais D'Elle|TWO OR THREE THINGS I KNOW ABOUT HER

彼女について私が知っている二、三の事柄

amazon
レビューの数

17

平均評点

60.7(91人)

観たひと

171

観たいひと

22

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 社会派 / ドラマ
製作国 フランス
製作年 1966
公開年月日 1970/10/3
上映時間 90分
製作会社 アヌーシュカ・フィルム=アルゴ・フィルム=レ・フィルム・デュ・キャロッス=バルク・フィルム
配給 フランス映画社=創造社
レイティング
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

『ル・ヌーヴェル・オブセルグァトゥール』誌で報じられた実話をもとに、“団地生活と売春”をドキュメント的に描きながら、フランスの社会的状況をえぐり出した作品。製作代表にはアナトール・ドーマンがあたっている。監督はジャン・リュック・ゴダール。脚本はカトリーヌ・ヴィモネのアンケート“団地の売春”を参考にゴダール自身が執筆。撮影は「アルファヴィル」のラウール・クタール、録音はルネ・ルヴェール、編集はフランソワーズ・コランがそれぞれ担当。音楽はベートーベンを使用。出演は、「夫婦」のマリナ・ヴラディ、ほかに、アニー・デュプレー、ロジェ・モンソレ、ラウール・レヴィ、ジャン・ナルボニ、ジョゼフ・ジェラール、ブランディーヌ・ジャンソン、ジャン・ピエール・ラヴァルヌ、ジュリエット・ベルトなど。イーストマンカラー、テクニスコープ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

彼女……バカンスの中に気だるく眠るパリ。一九六六年の八月のパリは、バリケードも、投石も、火焔瓶もまだ知らず、やがてくる激動をそのまま負に裏返したように、人気もない、奇妙な静寂の中にいた。このたゆとう眠りの中でいま動いているのは、新首都圏拡張整備計画にもとづく公団住宅地帯の建設を進行する、ブルドーザーの音だけだ。低く聞えてくるゴダールのコメンタリーをぬってジュリエット(M・ヴラディ)の生活が示される。彼女はパリ郊外の公団住宅に住む人妻。夫のロベール(R・モンソレ)はガソリン・スタンドに勤め、月給は八万そこそこ。子供は二人、息子のクリストフ(C・ブルセイユ)と娘のソランジュ(M・ブルセイユ)の幼ない兄妹。夫のロベールは無線好きで、今朝も友人のロジェ(J・ナルボニ)と一緒に、無線の受信に夢中になっていた。ジュリエットは売春をしている。昼間、ジェラール氏(J・ジェラール)のいる売春宿に出かけ、そこを託児所がわりに子供を預け、買物に歩いたり、行きつけのカフェで男を探したりする。若い男(Y・ブネイトン)を安ホテルへつれこみ、一仕事をする彼女。その後で、ヴォーグという店で、気に入ったワンピースを買い、美容院に出かける彼女。その美容院に勤めるマリアンヌ(A・デュペレイ)に、アメリカ人(R・レヴィ)から誘いの電話が入り、ジュリエットも一緒に遊びに行こうと誘われる。マリアンヌと出かけることにしたジュリエットは、夫を近くのカフェに待たせる手筈をととのえて、アメリカ人のいるホテルへ。パリには、ベトナム帰りの米兵やジャーナリストが大勢いて、彼等はジュリエットが想像もしないような大金を彼女たちに払う。ジュリエットとマリアンヌは、頭にトランス・ワールド・アメリカ航空とパン・アメリカンの航空バッグをそれぞれかぶり、室内を歩きまわる。その間、ロベールはカフェで隣のテーブルに座りあわせた女の子とセックス談義。また、近くのテーブルでは、女学生(B・ジャンソン)と作家(J・P・ラヴァルヌ)が、盛んに社会問題などについて論議中。やがてジュリエットとロベールは、そろってアパートに帰還。夜、子供をねかしつけた二人は、ベッドに入る。そして、二人は口論をくりかえしながら、読書をつづけている。静かに、ゴダールの声でナレーションかかぶる。「……私はゼロの地点までもどった。そこから出発するべきなのだ。」

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1970年10月下旬号

今号の問題作:「彼女について私が知っている二三の事柄」

外国映画紹介:彼女について私が知っている二三の事柄

2022/04/27

2022/04/27

50点

選択しない 
字幕


不戦

イノセンスについての大体の結論。

1985/01/01

2021/11/29

100点

レンタル/東京都 
字幕


コーヒーカップのアップはまるで宇宙創生のよう

プロフの「MY BEST MOVIE」に挙げています(奇を衒っているのは承知ですが)。ここをみたら若い人たちの評価があまりにも低いので、この映画がなぜすごいのかちょっと書いておかなければと思いました。

1984年に二十歳でした。当時多摩美芸術学科の一年生で、映像の授業でリュミエールとかメリエスの名前を覚えました。マルクス兄弟の『我輩はカモである』なんかも観ました。当時出たばかりのレーザーディスクをかけるだけで、楽な授業でしたね、先生にとっては。

そのころ佐藤忠男の『ヌーベルバーグ以後―自由をめざす映画』(中公新書、1971年初版)を読んでたいへん影響を受けました。ゴダールがいかに突出していたかを説明しているだけのような本です。古本がまだ安く手に入ります。

小林信彦の『世界の喜劇人』はいまでも版を重ねていますが、これにも影響を受けました。喜劇映画評論家の扱いで、ゴダールの名前が頻出します。

ゴダールは1959年の『勝手にしやがれ』でヌーベルバーグの旗手としてデビューしましたが、だんだん製作予算が減っていきました。この映画は1966年の作品ですが、「予算が少なくても、映画なんてナレーションと挿絵的な映像だけで成立する」ということを証明した、自主映画作家たちにとって記念碑のような映画です。喫茶店でコーヒーカップをかき混ぜて、その泡のアップを撮っていますが、それがまるで宇宙創生のようにみえます。舌っ足らずですがとりあえず。

追記・コーヒーカップのアップは、多摩美で教えを受けた美術評論家の峯村敏明先生が1977年ごろの『美術手帖』誌の座談会の中でピックアップされていました。それがきっかけでゴダールに興味を持ちました。

2021/05/12

2021/05/12

20点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


ゴダール映画は政治向きでない?

 ゴダールが、本格的に政治を扱う映画を作ったのは、この作品あたりが最初だろうか?

 ゴダール作品らしく、映像と音に凝っているが、台詞も大量で、台詞で説明しようともしているので、表現が混雑していて、台詞を追いきれない。
 そして、政治的な事を台詞で説明しようとしているが、映像や音の作風が、政治的メッセージが伝わり易い「簡素でリアルで解り易い」とは真逆の、「感覚的で非現実的で自由奔放」だから、なおさら台詞が入ってこない。

 結局、ゴダールの作風は、政治的メッセージと相性が悪いのではないだろうか?
 彼はこの翌年に『気違いピエロ』とかも撮っているので、ある時を境に一気に政治的になったわけではないが、個人的には思いとどまって『気違い~』の路線に戻って欲しかった。

2020/02/24

2020/02/25

30点

VOD/U-NEXT 
字幕


「都会のスカートをめくりあげればそこにはセックスが見える。」

自分の苦手なゴダールの世界に突入していた。
「気狂いピエロ」の一年後の作品とは思えない。

カラフルなカラー作品というところ以外に魅力がない。
怒涛の眠気が襲ってくる作品。
これを売り物にできるハートの強さが素晴らしい。

2015/08/26

2019/05/09

50点

レンタル 
字幕


スノビッシュ

カラフルな点景を随所に散りばめたポップな画面構成や、工事現場やビル群をフォトジェニックに捉えた無機質な都市風景に見惚れる。そして、政治や文学、映画や哲学や美術といった異分野をポストもダンチックに横断参照しつつ、イメージ映像をブリコラージュよろしく散逸的に積み重ねたアバンギャルドなドラマ展開に引き込まれる。ただ、映画としてはそれ以上でも以下でもなく、JLGならではのぺダンチックかつスノビッシュな作風が個人的趣味嗜好に合わずのこの点数。

あと、こういう作家性の強い映画だからこそ思う。せめてヒロインぐらいは、かつてJLGのミューズだったA・カリーナのように、眺めているだけで魅了されるような俳優をキャスティングしてほしいと・・・。

2019/02/14

2019/02/14

55点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
字幕


めんどくさい男たち

「グッバイ・ゴダール」で白日のもとに晒されたばかりの、厭世的な気取り屋ゴダールの作品です。「彼女」マリア・ヴロディの存在感に目を奪われます。イングマール・ベルイマンの映画に出てくる美しくて大きい女のような存在感。ゴダールのミューズは少女のような華奢な人ばかりではなかったのね。

政治とセックスを同列に語りたがるのがゴダールなのかな。めんどくさいけど、その感じが小さい男の子みたいで、女性が構いたくなるタイプかも。いややっぱり長い間一緒にいるとめんどくさいけど・・・

で、難解というより伝えたいものがない、あるいははっきりしてない不思議な映画だった。マリア・ヴロディをずっと見ているのはいい気分だけど、めんどくさい男たちの絡みは彼女(たち)を引き立てるものでしかないなぁ、私としては・・・。

ゴダールはもういいです。。。