43年ぶりにきちんと見た。7,8回目。今までで一番良かった!
23歳、名画座で出会って映画館に何度も通い《ノスタルジア》を見るまでは最愛の映画だった。
ここ数日、映画を見る気力が失せたのか何を見ても終わりまで見通せない。これならどうか?と最高画質でブルーレイに焼いたものを再生したらまったく退屈もせずに一瞬で見終わってしまった。
ラストのグラディスカの結婚式シークエンスはずっと泣きっぱなし。
レックス号シークエンス以降の孔雀、母の死、再びの春、結婚式の流れは完ぺき。ニーノ・ロータの音楽も言うことなし。
レクオーナの「シボネー」のアコーディオン編曲も素晴らしい。
今回初めて気付いたが、特に前半、セリフと口が合ってないとこがかなりある。フェリーニはあまり気にしてないんでしょうね。なんの傷にもなってないし。
もう一つ気づいたのは、映画愛。フェリーニは少年時代、ハリウッド映画にどっぷり浸かっていたのだろうとうかがわせる。ゲーリー・クーパーは、そういうあだ名の地元民が登場するし、映画館でも上映されている。《モロッコ》の1シーンも。『ジーン・ハーロウ!』と叫ぶ男の子やローレル&ハーディやアステア?のポスターも。
ただ映画愛もファシズムもコミュニズムも、すべてサラッと描かれるだけなのだ。親子の愛情、亡くなった母親にさえも耽溺しない。センチメンタリズムとは対極にありながら強烈な哀感をさそう。大人のワザとしか言いようがない。