7年ぶり9回目の鑑賞。
1975年2月に封切られていたが、私はその9月から名画座を巡って4回見た。
(新宿ロマン劇場2回、高田馬場パール座2回)
Blu-rayを購入して見ず終いの内に、ムービープラスで《4K修復》と銘打って放送したので、そちらを先に見てしまった。
Blu-rayと同じヴァージョンであると思われる。
Blu-rayのパッケージ(及びAmazonの記述)には、本篇103分とあるが再生してみれば、101分11秒である。
(ムービープラスと同じ)
オルスタックソフト販売なる会社も、いいかげんなもんである。
さて映画。
ラストシーンに向けてすべて伏線が打たれる。
ナチスから逃れる為にトランチニヤンは、身重の妻ニク・アリギと小さな娘を連れ南へ行く列車に乗り込む。
まず、女・子供用の客車と男用の貨物列車とに分かれ分かれにされる。
こうしてトランチニヤンとロミー・シュナイダーの不倫映画としての歯車は動き出す。
ロミー・シュナイダーの顔が初めて画面に現れる時、フィリップ・サルドの《愛のテーマ》が流れる。
若い頃には無かった、ロミー・シュナイダーの輝き。
ドロンと共演した「恋ひとすじに」も美しかったが。
本作のロミーの役どころは、ユダヤ系ドイツ人。
美しさに哀しみが塗りこめられている。
眉毛のメイクが絶妙。
髪型も・・・。
かなりネタバレになりました。
見てからお読みください。
SLが舞台の流麗なロード・ムービー。
むしろ終盤、列車から降りるとストーリーが若干、停滞する。
身重の妻をトランチニヤンとロミーは病院に会いに行く。
ロミーは彼の妻に会うつもりだったが、トランチニヤンがそれを拒否した。
それが彼女を決心させたと言える。
ここからラストについて。
これは悲劇なのだろうかと考えてしまう。
愛のドラマとしては、むしろ昇華された。
ハッピーエンドか。
しかし、何回見ても涙が溢れるのを禁じ得ない。
天国のジョルジュ・シムノンは「俺の原作を台無しに変更しやがって。」と怒っているんだろうな。