シベールの日曜日

しべーるのにちようび|Cybele ou les Dimanches de Ville d'Avray|----

シベールの日曜日

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レビューの数

36

平均評点

79.3(161人)

観たひと

226

観たいひと

45

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 1962
公開年月日 1963/6/15
上映時間
製作会社 テラ・フィルム
配給 東和
レイティング
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

フランスの作家ベルナール・エシャスリオーの小説「ビル・ダブレの日曜日」を短編映画「微笑」のセルジュ・ブールギニョンとアントワーヌ・チュダルが脚色し、ブールギニョンが監督した記憶喪失症の青年と少女との純愛ドラマ。撮影は「生きる歓び」のアンリ・ドカエ、音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。出演者は「ハタリ!」のハーディ・クリューガー、新人子役パトリシア・ゴッジ、「ラインの仮橋」のニコール・クールセル、ダニエル・イヴェルネルなど。この映画はアカデミー外国映画最優秀作品賞、ベニス映画祭特別賞、アメリカ・アート・シアター賞などを受賞した。黒白・フランスコープ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

戦争中パイロットだったピエール(ハーディ・クリューガー)は戦線で少女を射殺したと思いこみ、それ以来、みずから激しい戦に加わり、墜落のショックで彼は記憶喪失性となった。恋人マドレーヌ(ニコール・クールセル)の愛情も、友人である芸術家カルロスの友情もピエールの孤独な心を救えなかった。彼はあてもなく町をさまよい歩いた。あるたそがれ時、ピエールは町で一人の少女(パトリシア・ゴッジ)に会った。少女の名はフランソワズで寄宿学校に入れられていた。父親から見捨てられたのだ。二人は日曜日ごとに会い、互に孤独な二人の間には汚れのない愛情が生れていった。日曜日は二人にとって貴重な時間となったが、この日曜日を守るために、彼等は周囲に嘘をいわねばならなかった。マドレーヌもこの嘘に気づき心配して後を追ったが、池の畔で遊ぶ二人の姿は汚れのない美しいものだった。ピエールと少女は父と娘として装ってきたが、そんな嘘はいつまでもつづくはずがなかった。クリスマスがやってきた。いつものように二人は池の畔で楽しいクリスマスイブを過ごしていた。いまはピエールを唯一の友人と思っている彼女は、はじめて本当の名前はシベールだと告げるのだった。一方、マドレーヌはピエールの不在に気づき相談相手の医師ベルナールに助けを求めた。ピエールを頭から変質者扱いにしている彼は早速警察に連絡した。警察もベルナールと同じく父親でもない男が少女と恋人同士のようにしているのに少女の危険を感じた。警官達は二人の楽しいクリスマスの現場に踏み込んできた。彼等はピエールにピストルを向けた。ピエールは死んだ。シベールは池の畔でいつまでも泣き続けた……。ピエールもいなくなった。シベールはまた一人ぼっちになってしまったのだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2011年5月下旬号

第二回 午前十時の映画祭:「昼顔」「シベールの日曜日」

1963年7月下旬号

外国映画批評:シベールの日曜日

1963年6月下旬号

旬報試写室:シベールの日曜日

外国映画紹介:シベールの日曜日

1963年6月上旬号

新作グラビア:シベールの日曜日

1988年

2024/10/20

95点

その他/桜坂シネコン琉映 ロキシー 
字幕


セルジュ・ブールギニョン一世一代の大傑作

ネタバレ

10代の頃、クラシック映画にかぶれていた私はNHK世界名画劇場で昔の映画をよく観ておりました。

が、私が住んでる田舎にも名画座みたいなものができて、その劇場が毎週金曜日、レイトショーで昔の映画を上映するというプログラムを組んでくれました。

当時、高校生だった私は本当にそのプログラムでたくさんの名画をスクリーンで観させてもらったのですが、その一本が「シベールの日曜日」。

これはもう戦争の傷跡というものを描いていて、切なくて苦しくて、しかしとても美しい映画でした。

これ、本当にこの2人と全く関係ない人がはたから見たら、ロリコン変質者が子どもにつきまとっている話に見えてしまうところが、余計に苦しくて切ない。

そしてそういう見えざるところに戦争の傷跡が残っているのだということが、本当に哀しいと感じさせる映画でした。

本作のキャメラはアンリ・ドカエ。

ドカエは「死刑台のエレベーター」「恋人たち」「いとこ同士」「太陽がいっぱい」という、大変素晴らしい作品のキャメラを担当し、どれも見事な撮影で甲乙つけがたいのですが、私はドカエの撮影作品のベストは、この「シベールの日曜日」ではないかと思っています。

映画評論家の田山力哉によると、ドカエは本作の撮影にあたり、日本の墨絵を参考にしたとのこと。

なるほど、あのモノクロームの映像の中で、さらに陰影に満ちた映像を作り上げていたのは墨絵の世界だったのか、と感嘆いたしました。

本作は1962年度のアカデミー賞外国語映画賞を受賞しています。

あの孤独を抱えた2人、バーディ・クリューガーとパトリシア・ゴッジが頬を寄せ合う映像は本当に忘れられません。

セルジュ・ブールギニョンは本作以降、作品に恵まれなかったようですが、これだけの傑作を作り上げたのですから、監督としては本望だったのではないでしょうか。

本作は、大人の男と少女が恋愛関係に陥っているように見えるので、特に現代においては題材的に否定されそうなところがとても悲しいのですが、本作の本質を理解すれば、そのような作品ではないということが分かると思います。

戦争で傷を負い、出会った2人が心を寄せ合い、その結果新たな悲劇が生まれてしまうことで、戦争の傷跡を見事に描いた、セルジュ・ブールギニョン一世一代の、素晴らしい傑作だと思います。

2023/12/31

2023/12/31

83点

選択しない 


美しい映像に溜息

リリカルな作品。湖の表情を捉えたアンリ・ドカエによる詩的な映像が美しい。モーリス・ジャールの音楽がまた作品世界をより際立たせていて魅力的。ドラマは孤独な魂同士の連帯を描いており、その悲劇的展開に胸が痛くなる。静かなる傑作。

2022/03/06

2022/03/06

82点

その他/YouTube 
字幕


気持ちが通じ合う

ネタバレ

 なかなか凄かった。

 ピエール(ハーディ・クリューガー)は戦争で記憶喪失と罪の意識を背負い、フランソワ(パトリシア・ゴッジ)は親に捨てられたという傷を背負い、その共通点が共鳴し合い、お互い気持ちが通じ合ったということなんだろうけれども。

 でも、一般常識から言えば、どうしても、少女誘拐とか、残虐事件かもと思われてしまい、悲劇に終わるということなんだろう。

 ピエールには恋人マドレーヌがいて、でも、彼女とは現実的なやりとりに終わってしまい、癒されないというのも辛い所で、だからこそフランソワに通じる所が大きいと思ったし、そこが絶妙なバランスだろうと思う。

 何十年前に観たので記憶が薄れつつ、どうしてもDVDが探せずに、YouTubeの直訳翻訳で観たので、かなり分かりにくく、細かい所は理解できなかった。

 監督のセルジュ・ブールギニョンの演出よりも、アンリ・ドカエの撮影が素晴らしかったのだろう、それが魅惑的な映像だったように思う。

2011/04/28

2020/07/31

90点

映画館 
字幕


多感な時期にぜひ一度体験して欲しい

ネタバレ

 映画に魅せられて数十年、そんな中、私の中で一番思い入れの深い、ベストな作品と言えば、これ、「シベールの日曜日」でしょう。一番最初にこの作品に出会ったのは、ヒロインのシベールとほとんど年が違わない十代始めの頃だったと思います。見たのはお茶の間のTV洋画劇場。30歳と12歳のプラトニックな愛を描いたこの作品は、内容ももちろんですが、何よりもその映像の美しさに魅了されたのでした。

 純粋な二人の世界を象徴するように登場するさまざまなアイテム、例えばガラス球、氷の上を滑る石、水の波紋、水面に逆さまに映った景色、ワイングラス、フィンガーボールなどなど、その透明で静謐なモノクロ映像は、汚れた大人世界を嫌う多感な年ごろの私にとって、自らの心象風景を具象化したような存在でした。

 それから10年余り経って、再び見たのは映画館でのリバイバル上映です。モノクロの美しい映像を大きなスクリーンで見てみたいと、ずっと思っていた私は、ようやく念願が叶って実に感無量でした。再見して見ると、十代の頃のような研ぎ澄まされた感性はかなり鈍くなっていたものの、それでもこの映画の主人公、ピエールとシベールの、濁った大人たちが決して理解できない二人の世界に共感できる自分を改めて再認識して、嬉しかったのを覚えています。

 そして今、再びこの作品を映画館で見る機会を得ました。戦争のトラウマから記憶喪失になってしまったピエールは、運ばれた病院で世話になった看護師マドレーヌの家に身を寄せています。マドレーヌが仕事に行っている日中、彼はたまに近所に住む芸術家の家で仕事を手伝う他はやることもなく、ぶらぶらと過ごしています。昔ならさながらヒモ、今で言うならニートですね。

 そんな彼は、夕方仕事を終えたマドレーヌを駅に迎えに行くのが日課になっていましたが、たまたまその日は彼女が残業で列車には乗っておらず、そのかわり父親らしき男に連れられた少女が降りてきました。父親はピエールに駅の近くにある寄宿舎への道順を尋ねます。どうやら彼は娘をそこに預けるらしいのですが、娘はそれを嫌がっている様子。どうしたことかピエールはそのことが気になり…というわけで、この12歳の少女と30歳のピエールがどうやって知り合い、特別な間柄になって行ったかが説明されるのですが、それが実に自然ななりゆきなので、今更ながら感心してしまいました。

 主人公のピエールが心に傷を負った引きこもりであるという点も、今の時代に見て古臭さを感じさせないですし、周囲の大人たちが二人の関係を危惧し、過剰な反応を見せるという点も、今の時代ならさもありなん、という感じがして説得力があります。私がこの映画を初めて見た頃の60年~70年始めにかけての日本は、まだまだのんびりしていましたから、この映画の周囲の人間の行動は、大人世界の汚さとかいやらしさの象徴のように見えたのですが、50年近く経った今改めて見ると、彼らの行動もそれなりに理解できる世の中になってしまっていることになんともはや、複雑な思いがした次第です。

 これって、世の中だけでなく、私の中にもいわゆる大人としての常識とか既成概念が出来上がってしまっていて、純粋なものをそのまま、「でも、しかし」という言葉なしに受け入れることが出来なくなったということなのかも知れません。そうした意味で、この「シベールの日曜日」は、まだ心が真っ白で、感性ばかりが鋭敏だった「あの頃」を思い出させてくれる、私にとっては特別な映画なのです。

(2011/4/28 記)

2000年代

2019/04/25

75点

レンタル 
字幕


瑞々しい情景描写

ネタバレ

その昔に一度観ただけなので細部の記憶はあまりない。ただ、モノクロームの諧調豊かな瑞々しい情景描写とともに、ミステリアスな雰囲気を漂わすP・ゴッジのキュートな魅力や、難しい役柄を見事に演じきったH・クリューガーの好演、そして、観る者の胸を衝く悲痛な終幕といったものが印象に残っている。機会があれば再観賞したい映画のひとつ。

2011/06/18

2019/02/19

-点

映画館/神奈川県/TOHOシネマズ海老名 
字幕


感情移入出来ず

午前十時の映画祭
昔からタイトルだけで気になっていた映画が何本かあるが、これもそのひとつ。まさかこういう内容とは思わなかった。強面のドイツ軍将校のイメージのハーディ・クリューガーの少女愛とは意外すぎた。確かにゴッジちゃんのキュートな魅力はわかるが、綺麗ごとは並べられるものの、とても感情移入は出来るものではなかった。