水兵たちの熟睡にある微妙な揺れには予感が含まれる
吊るされている肉も揺れており,その周りに水兵が群れている ウジ虫が軍医の眼鏡によって確認されようとするが,軍医はそれはウジ虫でないと主張する
船の機械が圧倒的に迫り,大きなロープや鎖がいたるところに見えている 砲の筒やらいたるところが水兵にが磨かれている.テーブルも吊るされていて,そこに配置されたスープ鍋も水兵たちに拒否され,揺れている.洗われ,拭かれ,並べられている
ラッパが拭かれ,水兵たちが甲板に集まってきている 艦長はその司令権を使って水兵たちにあれやこれやを指示し,スープを飲んだの飲まないので分断をさせる.つるし首が艦長に叫ばれると,その吊るされた兵の幻影がマストに映し出されている 帆布で覆われた水兵たちがやはり水兵たちによって銃殺されようと狙われているが,そのその銃身も揺らいでいる
掲げられた側が揺れている 仙人のような男が十字架を掲げて甲板に現れる ピアノの鍵盤が踏まれ,蝋燭が踏み躙られ,暴力は加速しようとしている 砲身に逃げた者たちが海へと落下していく
船内で水兵に蜂起を呼びかけたワクリンチュクは後頭部を撃たれ,途中,様々な器具に引っかかりながらも水面へと落下していく
オデッサの港には何艘もの船が黒々と集まっており,水面を反射する光を遮っている.港に設けられた小さなテントの天幕からはワクリンチュクの死体が見えており,そこには蠅がたかろうとしている.群衆が階段を降り,波止場の桟橋を埋め,集まり,歌を歌い始めている.拳が握られ,人々は激烈なスローガンを叫びながら騒ぎ出している.群はゆっくりとであるが大量にその歩を進めている.
港では多くの,しかし小さな帆船が出港していく.戦艦ポチョムキンには甲板から溢れんばかりの人たちが集まっており,それに呼応するように集まった人々は海と戦艦に向かって手を振っている.階段の上方から正規兵たちが群衆を撃ちながら階段を降りてくる.両足のない者,片足のない者も杖や腕を使ってその階段を降りていく.老人,女性,子どもも撃たれ,倒れ,踏み躙られていく.乳母車に乗った赤子も母が腹を撃たれたのをきっかけに,階段を落下していく.コサック兵も階段の下で待ち構え,逃げ降りてきた群衆を撃ち殺していく.
ポチョムキンの砲身や旗がまたも映し出されている.海上は光を低く反射しており,艦上の水兵たちも仮眠すると,サーチライトも目を閉じるようにその光を遮断していく.敵艦隊を認めると,総員出動の指令がかかり,ラッパが吹かれ,パイプが吸われていく.戦艦は黒い煙を吐き,砲弾が準備され,艦内の様々な機械が動き出し,電話などの連絡系統も各所で稼働していく.機関が動き,メーターの針が動き,敵艦に「合流せよ」と手旗信号が送られる.砲口はキャメラに正対し,観客の方へと向けられる.