個性が際立つR・ヴァディム、L・マル、F・フェリーニの三者三様の語り口が光るオムニバス。一本の映画としての評点は三作品を平均しての60点。
「黒馬の哭く館」 45点 豪華姉弟共演
えっ、これでホントに終わり、と思ってしまうあっけない幕切れにビックリ。現代的でセクシーな衣装を身にまとい、画面に濃密な色気を振りまくJ・フォンダと、その弟P・フォンダの豪華姉弟共演以外にはあまり見どころのない出来栄えにガッカリ。
「影を殺した男」 65点 因果応報的な物語
ドッペルゲンガーに翻弄された挙句に自死へと至る猟奇的で冷酷な主人公の因果応報的な物語を、様々なテクニックを駆使して禍々しく紡ぎ出すL・マルのこなれた語り口に惹かれる。A・ドロンの端正な美貌とB・バルドーのコケティッシュな魅力が光る。
「悪魔の首飾り」 70点 F・フェリーニワールド
場面を余情豊かに彩るN・ロータの音楽を背景に、のっけからF・フェリーニワールド全開で、撮影や照明、映画美術、カリカチュアされた人物造形など、趣向を凝らしたキッチュでクリエイティブな映像世界が楽しめる。それにしてもさすがは怪優T・スタンプ。こういうエキセントリックな役柄がよく似合う。