タンジェの景観美と、トラベラーが辿り着いた果ての姿
Shelterig Skyは原作がPaul Bowlesの小説ですが、モロッコにおけるタンジェでの実体験が基になっているとの事。実は似た実体験に基づく小説がもう一つあって、Carol ArdmanのTangier Love Storyがそれです。私は英語の教材で偶然Tangier Love Storyを読んだことがあって、英語素材でしたがその時のタンジェの描写やイメージ、小説の退廃的なモラトリアムな雰囲気が妙に魅力的で惹き込まれた記憶がありました。その小説にCarolの恋人の相手としてPaulが出ていて、そこから関心を持って調べていたらSheltering Skyが実はPaulの原作だったと知り今回の視聴に繋がりました。その小説の世界が映像化されていたので個人的とても馴染みやすく、モロッコの異国情緒あふれる景観に感動しました。ストーリーに派手さはありませんが、愛情だけではなく時に距離ができるその感情の揺り動きは現実的であり、深みがあって色々と考えさせてくれる作品でした。中盤くらいから思わぬ展開を見せてその世界観に圧倒されましたが、果たしてトラベラーはこのような結末を受け入れるために旅を進んできたのか、何のための旅だったのか、と思わずにはいられません。それにしても主演女優のDebra Wingerは本当に美しかった。