ドクトル・ジバゴ

どくとるじばご|Doctor Zhivago|Doctor Zhivago

ドクトル・ジバゴ

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レビューの数

80

平均評点

76.3(390人)

観たひと

527

観たいひと

35

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸
製作国 イギリス アメリカ
製作年 1965
公開年月日 1966/6/18
上映時間 197分
製作会社 カルロ・ポンティ・プロ映画
配給 MGM
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 70mmワイド(1.2.20)
上映フォーマット 70mm
メディアタイプ フィルム
音声 4chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ボリス・パステルナークの小説を、「アラビアのロレンス」のロバート・ボルトが脚色、同じく「アラビアのロレンス」のデイヴィッド・リーンが監督した、ロシア革命を背景に1人の男の生涯を描いた文芸篇。撮影はフレッド・A・ヤング、音楽はモーリス・ジャール、美術監督はテレンス・マーシュとジョン・ボックス、装置はダリオ・シモニ、衣裳デザインはフィリス・ダルトン、特殊効果はエディ・フォーリー、第2班監督はロイ・ロソッティが担当した。出演は「アラビアのロレンス」のオマー・シャリフ、「ある晴れた朝突然に」のジェラルディン・チャップリン、「ダーリング」で38回アカデミー女優主演賞をとったジュリー・クリスティ、「クロスボー作戦」のトム・コートネイのほかにアレック・ギネス、シオバン・マッケナ、ラルフ・リチャードソン、リタ・トゥシンハムなど。製作は「クロスボー作戦」のカルロ・ポンティ、製作企画は「人間の絆」のジョン・ボックス。なおこの作品は、第38回アカデミー賞の、5部門(脚色賞、色彩撮影賞、色彩美術賞、色彩衣裳デザイン、オリジナル作曲賞)で受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

19世紀末のロシア。ユーリー・ジバゴ(オマー・シャリフ)は、医学の勉強を続けるかたわら詩人としても知られるようになった。幼い頃両親を失い、科学者グロメーコにひきとられた彼は、その家の娘トーニャ(ジェラルディン・チャップリン)を愛していた。2人の婚約発表のパーティーの日、近所の仕立屋の娘ラーラ(ジュリー・クリスティー)は、弁護士コマロフスキーの誘惑から逃れるため、彼に発砲するという事件を起こした。彼女は帝政打倒の革命に情熱をもやす学生パーシャ(トム・コートネイ)を愛していた。1914年、ロシアは第1次大戦に突入し、ジバゴは医師として従軍した。戦場で看護婦として働らくラーラに再会した彼は、彼女がすでにパーシャと結婚したのを知り、自分もまた家庭を持っていたが、ラーラへの愛をどうすることもできなかった。それにパーシャは戦死したとの報告も入っていた。その頃ロシアは内戦が激しくなり、ジバゴはモスクワの家族のもとへ帰った革命軍の手に帰したモスクワは、飢えと物資の不足にあえいでいた。ジバゴが革命軍のリーダーで、義兄のエフグラフ(アレック・ギネス)に初めて会ったのはその頃だった。義兄の勧めもあって、田舎で休養することにした彼は、旅の途中で白軍のスパイと間違えられ、赤軍の将校に尋問された。この将校は、戦死と報じられていたパーシャだった。彼は変わりはて、今や革命への狂信以外、何もない男になっていた。ラーラとの愛も再燃した田舎での生活、ジバゴにとっては幸せの日が続いたが、ある日突然、彼はパルチザンの1隊にとらえられた。妻に2人目の子供が生まれると知り、ラーラと別れる決心をした直後のことだ。しかし彼は脱走し、ラーラのもとに帰ったが、2人の関係を知った妻が、子供をつれて、パリに亡命したと告げられた。今や亡命者の夫となったジバゴと、すでに追放の身となっていたパーシャの妻ラーラの前に、コマロフスキーが現れた。彼は2人に危険がせまっていると再三話し、ついに身重のラーラをつれて極東に去った。8年後、ジバゴはモスクワの市街電車の中でラーラを見かけ必死に追ったが、かねてわずらっていた心臓発作で倒れ亡くなる。何年か過ぎた。エフグラフはダムの建築現場で働く若い娘(リタ・トゥシンハム)に出会った。彼女は、ジバゴとラーラの間にできた私生児だ。彼は両親のことを話してきかせ、ジバゴの詩集を贈りこう言った。「彼の仕事は党には容れられなかったが、詩を愛する人は彼を忘れない。彼ほど詩を愛した者はいなかった」と。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2011年5月上旬号

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1966年8月上旬号

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1966年7月上旬夏の特別号

旬報試写室特集:ドクトル・ジバゴ

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1966年6月下旬号

外国映画紹介:ドクトル・ジバゴ

1966年2月下旬号

特集 カメラが捉えた66年の洋画攻勢:ドクトル・ジバゴ

2023/02/11

80点

購入/DVD 


ララのテーマが中毒になる。

繰り返し流れるララのテーマが名曲なのだろう、初鑑賞後の当時、頭から離れず、たまに聴きたくなってサントラ盤まで買っちまった。
ロシア革命に翻弄される男女の不倫愛のドラマで、初見の時はとても感銘を受けたが、DVDで再見したらなんだかハマらなかった。奥さんが可哀想。まぁ、ジュリー・クリスティが美しいからなぁ。
 再見でも音楽と美しい自然描写による大作感は健在。ラストのバスでのすれ違いは。これぞメロドラマという感じ。

2021/09/06

2021/09/07

75点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


ロッドスタイガーの男ぶり

ネタバレ

デビッド・リーン監督としては「戦場にかける橋」「ロレンス」に続く大作でその後は「ライアンの娘」につながる。ロシア革命をその時代に生きた個人の視点で、この監督ならではスケールで描き切る。ジャングル、砂漠ときて雪と氷の3時間超。陰々鬱々としたお話で爽快感も楽しさも皆無。ラストにララの娘と力強いダムの風景がいくばくかの希望を感じさせて印象的。赤狩りの後とはいえ、ロシア革命を肯定はしていない。まあ事実ひどい粛清などもあって褒めるところは無いのではあるが。前半悪役とも感じられたロッド・スタイガーが後半見せる男ぶりは切ない。
ジュリー・クリスティは美しく、彼女が後に付き合うビーティーが「レッズ」を撮ったのも本作が影響しているのだろう。ララが最後はどのようになったのか、語られるのみで描写が無いのは勿体なくもあるがどうなのだろう。ララのテーマ、あの音色はバラライカだったのか。なるほど。

2021/02/06

2021/02/06

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


魔導士としてのラーラ

雪や氷が美しい。馬橇がモスクワの街路を駆け巡ったかと思うと、ウラル地方のユリアティンという小都市の郊外ベリキノには、雪と氷に覆われ雪まつりのような宮殿や家屋が見えている。
東へ向かう列車の場面がインターミッション の前後にある。車窓の外側にはやはり氷が張っており、それを割って乗客たちは、外部と通じることができる。列車の中にはストーブが焚かれ、ひとつの車両に多くの者たちが詰め込まれている。またパルチザンの戦いでは氷上で銃撃された馬や人がその上を滑っている。窓についた雪の結晶は、春を告げる日光によって溶けていき、その結晶の模様は、野に咲く花々に重ねられ、花の内部の雄蕊と雌蕊まで寄ったエロティックなクロースアップは、オマー・シャリフが演じるジバゴことユーリと、ジュリー・クリスティが演じるラーラの逢引に重ねられていく。
雪解けは、物語を前後を挟み込む後年のプロローグとエピローグの舞台となるダムのショットに映像としては象徴される。雪解けは、また、ロシア革命とその後のスターリン以降まで続く冷戦下の現状への期待として膨らみ、溢れ出そうとしているようにも見える。
バラライカの三角、八端十字架の伝統的な図像、ラーラが従事する赤十字といった印にも溢れており、雪に照らされた顔、帯状に照らされた目元などで俳優たちとその眼を輝かせてもいる。
ユーリは、林ごしの太陽や鈍く曇る中の太陽に導かれているようにも見える。この太陽は、宗教的な解釈も可能であるが、妻と子とが宿る家とそれらが据わる不動の大地の無辺な広がりに方向性を与えるものとして政治的、社会的な意味も重ねられているようにも感じる。ユーリは、流行のボリシェヴィキにも載らず、帝制ロシアの郷土愛的な心性にもやや同情しながらも、政治的には、ただ生きるとして中立的な立場を貫く。彼には医療という技術があり、芋を愛でる家族も待っている。
しかし、それゆえに、医療の科学を超え、見たこともないような治療法によって看護師として施療するラーラの呪術的な魔導に惹かれてしまう。詩に傾倒してしまう彼の心性は、一貫しているようでいて、揺れ動いている。

2020/12/06

70点

選択しない 


壮大なテーマ曲

 第一次世界大戦から革命に至るロシアの激動期を背景に繰り広げられるジバゴとラーラの悲恋物語。映画は、ジバゴとラーラの間にできた娘を探し当てた兄が、ジバゴについて語って聞かせるという手法だ。

 医師で詩人でもあるジバゴが時代の潮流に飲み込まれ、翻弄される姿を壮大で過酷なロシアの自然と共に描いている。
 ジバゴとラーラは時代の波に抗して愛を貫き、自らの運命を切り開くというような精神はなく、時代の波間に漂うように流されていく。また、ジバゴは政治的な思想も英雄的な行動力をも持ち合わせていない。ごく普通の庶民にすぎない。ただ、ラーラを死ぬまで思い続けていたという純粋さに、美しくも侘しい気持ちを抱いてしまう。

 しかし、これは、兄がジバゴの生涯をその娘に語ってやるのには十分ではなかったか。時代に翻弄された人間たちの等身大の姿だ。いわば、そうした名もなき人たちの生涯を、デイヴィッド・リーンが大河のごとく描き切ったのだ。
 情感あふれるテーマ音楽がいやが上にもジバゴとラーラの悲恋を際立たせる。

2020/08/28

2020/09/01

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


広くて狭いロシア

◎ ロシアは広大だ。ジバゴ一家が田舎に疎開していくのに列車で10日以上もかかる。それなのに、行った先で運命の女性に再々会してしまうなんて、ロシアの世間は不思議に狭い。
◎ 休憩をはさんだ後半に無理が多いような気がする。原作通りなのかもしれないが。

2020/08/07

2020/08/08

75点

レンタル/神奈川県/TSUTAYA/TSUTAYA 日吉中央通り店/DVD 
字幕


革命下の不倫愛

高校時代に劇場で見て感動したが、覚えているのはジバゴのオマーシャリフととにかく美人のラーラのジュリー・クリスティーとラーラのテーマ音楽だけ。今改めて見ると、ロシア革命下での不倫愛ドラマと言える。原作のパステルナークもロシア革命への批判を表現しているが、確かにこの映画もその通り。しかもアメリカ製作映画のためよりそれを感じる。しかし当時のラーラは17歳だったのですね。金持ちのコマロフスキーに言い寄られて、拒めないところは淫乱性を感じてがっかり。
先日間違えてTVドラマ版を借りてしまったが、たしかにラーラのテーマ音楽がなく気が付いたが、TV版の方が悲壮感があり良かった。