紅の豚

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紅の豚

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レビューの数

102

平均評点

79.0(1242人)

観たひと

2449

観たいひと

59

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アニメーション / ファンタジー / アクション
製作国 日本
製作年 1992
公開年月日 1992/7/18
上映時間 93分
製作会社 徳間書店=日本航空=日本テレビ放送網=スタジオジブリ提携(製作…スタジオジブリ)
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督宮崎駿 
脚本宮崎駿 
原作宮崎駿 
企画山下辰巳 
尾形英夫 
製作徳間康快 
利光松男 
佐々木芳雄 
プロデューサー鈴木敏夫 
作画監督賀川愛 
河口俊夫 
撮影奥井敦 
美術久村佳津 
音楽久石譲 
主題歌加藤登紀子 
録音浅梨なおこ 
編集瀬山武司 
ハーモニー高屋法子 
色彩設計立山照代 
木村郁代 
宣伝プロデューサー徳山雅也 
宣伝大野浩 
動画チェック舘野仁美 
中込利恵 
藤村理枝 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演(声)森山周一郎 〔声〕ポルコ・ロッソ
加藤登紀子 〔声〕マダム・ジーナ
岡村明美 〔声〕フィオ・ピッコロ
大塚明夫 〔声〕ドナルド・カーチス
関弘子 〔声〕バアチャン
桂三枝 〔声〕ピッコロおやじ
上條恒彦 〔声〕マンマユート・ボス

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

20年代のイタリアを舞台に、豚に変身してしまった飛行機乗りの夢とロマンを描いたアニメ。原作・脚本・監督は「魔女の宅急便」の宮崎駿。作画監督は賀川愛と河口俊夫が共同でそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

第一次大戦時、イタリア空軍のエース・パイロットだったポルコ・ロッソ。彼はある事がもとで自分に魔法をかけ、豚に姿を変えた。今ではアドリア海にはびこる空賊を捕らえる賞金稼ぎ。その彼を煙たがる空賊達はポルコを倒すため、アメリカのパイロット、ドナルド・カーチスを雇い入れた。腕はやたら立つくせに、どこか陽気で女に惚れっぽい気のいい奴だ。彼は、エンジンの不調に手を焼くポルコを待ち伏せて、まんまと撃墜に成功する。ポルコのかつての飛行機仲間であり、今はホテル・アドリアーノのマダムであるジーナに一目惚れしていたカーチスは、ポルコがいない間に彼女に言い寄るが、私には待っている人がいると、あっさりかわされてしまう。ポルコは壊れた愛機を馴染みの修理工場ピッコロ社へと運び込む。そこで出会うピッコロの孫娘・フィオ。艇の設計改造をやるという彼女に、ポルコは一旦は憤慨するものの、熱意に満ちた彼女に負けて全てを任せてしまう。快活で屈託のない彼女の姿がポルコには新鮮に映った。そして完成したポルコ艇は想像通り完璧だった。やがてフィオはポルコ艇に乗り込み、彼と行動をともにする。蘇った艇を操り、ようやくアジトに戻ったポルコたちを待ち受けていたのは、例の空賊どもだった。地上でポルコを襲う彼らの卑劣さにフィオは激怒し、彼らにポルコ対カーチスの再試合を迫る。そこへ颯爽と登場するカーチス。高飛車に出ようと格好をつけるカーチスだったが、フィオを見るなり再び一目惚れ。彼女を賭けるという条件で話に乗ってしまう。決闘の前夜、ポルコはフィオにせがまれるままに、第一次大戦での体験を語った。そして遂にやって来た決闘当日、大勢の空賊やフィオに見守られながら大空中戦を繰り広げるポルコとカーチス。果ては2人の殴り合いとなりポルコはカーチスを倒すのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1992年8月下旬号

日本映画批評:紅の豚

1992年7月下旬号

特別企画 紅の豚:宮崎駿監督 インタビュー

特別企画 紅の豚:世界に羽ばたく宮崎アニメの世界

特別企画 紅の豚:宮崎駿のすぐれた飛翔感覚

特別企画 紅の豚:日本航空文化事業センタービデオ部長堀米次雄氏にきく

特別企画 紅の豚:加藤登紀子 インタビュー

特別企画 紅の豚:宮崎駿 フィルモグラフィー

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):紅の豚

日本映画紹介:紅の豚

1992年4月上旬春の特別号

特集 紅の豚:ちょっと早目の作品研究と宮崎駿ロング・インタビュー

2024/08/20

75点

レンタル/東京都/ゲオ/ゲオ戸越公園店/ブルーレイ 


飛ばねえ豚はただの豚だ

ネタバレ

ファシスト政権が統治するイタリアという現実的な設定に、ファンタジーの要素が加わったユニークな作品だった。
冒頭の客船を襲った空賊を、賞金稼ぎの豚のパイロット、ポルコ・ロッソが追撃するくだりがとても愉快で楽しい。
人質のはずの女児たちは全く怖がっていないし、空賊も女児に翻弄されっぱなしで緊張感がゼロだ。
そして無事に空賊から金品を奪い返したポルコは、わんぱく過ぎる女児たちに手を焼きながら引き揚げていく。
ここまでの展開を観ると、何となく子供向けのストーリーのように感じるが、これはかなり大人向けのロマンスを描いた作品だ。

ポルコがなぜ豚の姿に変えられてしまったのか、劇中では明かされない。
そして空軍のエースと呼ばれた彼がお尋ね者としてマークされている理由も。
戦時中でも敵のパイロットを救けるなど義侠心に溢れた彼は、戦争ではないから決して殺しはしない制約を自分にかけている。
見た目は豚だが惚れ惚れとするような男前の要素を持ったポルコ。
そんな彼の人間時代の姿を知るのが、ホテル・アドリアーノを経営する未亡人のジーナ。
二人は互いに想い合っているのだが、不器用なポルコは彼女の気持ちに応えられない。
そしてジーナもそんな飛行艇乗りとしてのポルコの不器用さに惚れているのだろう。
そのジーナに恋をするのがアメリカ人のパイロット、ドナルド・カーチス。
悪い人間ではないのだが、自信過剰の勘違い野郎で色々と空気が読めない。
ポルコに戦いを挑んだカーチスは見事に勝利を収める。
が、実は彼の勝因はポルコの飛行機の故障にあった。
飛行機を失ったポルコは修理工のピッコロのもとを訪ね、彼の孫娘であるフィオと共に再び大空を飛ぶ夢を追いかける。

これはジーナとポルコの恋物語でもあり、フィオがポルコに恋をする物語でもある。
派手な展開があまりないのと、かなり男のロマンに傾いた物語であるため、刺さる人と刺さらない人に大きく分かれる作品だと感じた。

第一次世界大戦時にポルコが襲撃を受け、仲間を失うエピソードがかなり印象的だ。
飛行機雲に見えたのは黄泉の国へと旅立つ無数の戦闘機である。
このシーンが一番印象的で美しかった。

クライマックスのポルコとカーチスの決闘シーンも見応えがあるが、やはり緊張感に欠けるのが面白い。

そして彼は最後までジーナとフィオの想いには答えないままだ。
「飛ばねえ豚はただの豚だ」は劇中の名台詞だが、彼は人間であることからリタイアした存在なのだと思った。
なので、どこか彼の飄々とした姿には物悲しさを感じる部分があった。

2024/05/02

2024/05/03

80点

選択しない 


カッコいい大人のアニメ

宮崎駿の趣味が色濃く出た作品だと思う。大空と風、上空からみる青い海の描写が美しく、飛行機乗り達キャラクターが皆、好感を持てる大人なのが良い。
 主人公のロッソはもちろんのこと、ライバルのカーチスや空賊のボスら飛行機乗りの漢気と心意気がカッコ良く、飛行機設計に情熱を燃やすピッコロの孫娘フィオも観ていて心地よい。そして自立した大人の女性ジーナの魅力。そういう大人の織りなすドラマであるから、子ども向けではないのだが、自分も子どものの頃、背伸びしてカッコいい大人の映画を観て学んだ事が色々あった。だからこういう矜持を持った大人のアニメを観てほしいと思う。

2024/02/13

2024/02/13

99点

映画館/東京都/イオンシネマ シアタス調布 


カッコイイとは、こういうことさ。

映画館で上映をすると聞いたので観てきました。
中学生の頃にこの作品に出会って“映画”というものを好きになりました。
私の原点と言っても過言ではありません。
飛行艇乗りの心を 海と空が洗ってくれるように、キラキラした気持ちにさせてくれる大切な作品です。

2024/02/12

2024/02/12

-点

映画館/東京都/イオンシネマ シアタス調布 


時には昔の話を

「飛ばねぇ豚はタダの豚だ」

この映画は、飛行艇時代の誇りと金と女をかけて空中海賊と戦い、紅の豚と呼ばれた一匹の豚の物語である。

僕がスタジオジブリ歴代作品の中で最も愛し、テープが擦り切れるほど観た作品。
何を今更であるが、劇場鑑賞をしたことがなく、今回調布映画まつり2024で上映するとのことで劇場初体験を済ませてきた。
それまで「アニメは子どもたちのためのもの」という考えで作品を送り出してきた宮さんが、日本航空の機内上映用のアニメーションとしてオファーされたものの、だんだん宮さんの欲が抑えきれなくなり、結局劇場上映することになった本作はジブリの王道から外れた異色の存在と言っていいだろう。
だが、この作品があったから僕は今日までジブリが好きでいられたし、僕にとっては大人の世界を見せてくれた最初期の作品だったと思う。
ポルコ・ロッソのかっこよさは言うまでもなく、登場する面々がとにかく清々しい。空賊連中ですら「空を飛びたい」という自分の気持ちに嘘がつけず、能がないと知りながら食うために仕方なく賊に成り下がったような奴らばかりで嫌いになんて到底なれない。元々が機内上映用のショートフィルムだったからテンポも小気味よく何の心配もなく観ていられる。しかしヒコーキ野郎となった僕は後年、ニッチな界隈でこんな忠告を受けた。「イタリアのメカニックにハマったら二度と後戻りできないと思え」…つまり、自動車はともかく、飛行機やら軍艦やら戦車やら、イタリア製のものにハマってしまったら乗り物オタクとしてはもうまともな人間には戻れないというのである。宮さんよ、どうしてくれる?後戻りどころか、入り口がイタリア製ではないか!まあ、全く後悔はしていないがね。
第一次世界大戦の名目上は戦勝国でありながら、その恩恵には全くあずかれなかったイタリア。人々は戦争の傷をそれぞれに背負い、恐慌が追い討ちをかけ、世間ではファシズムなる不穏な動きが頭をもたげていた。そんな決して幸せとはいえない時代に、風呂には入らないが海と空の両方で心を洗い、日々を生きた飛行艇乗りは本当にバカだ。そんな愛すべきバカの夢を僕は今日も見る。

2010/05/08

2023/08/12

90点

選択しない 


高揚感溢れる航空活劇

 「魔女の宅急便」から三年、豚のパイロットが活躍する「紅の豚」が公開されました。舞台は1920年代のイタリア・アドリア海。空賊どもが我が物顔で跋扈してをります。マンマユート団もそのひとつで、幼児15人を攫ふなどのワルですが、ボスの考へで、仲間外れを出すと可哀想だと云ふ理由で、全員を誘拐する中途半端なヒューマニスト。子供たちも「小父さんたち、悪人?」「わたしたち人質なのよね」などと能天気であります。

 マンマユート団の対応を依頼されたのが、賞金稼ぎのポルコ・ロッソ。現在は豚の姿をしてゐますが、嘗ては普通の人間で空軍のエースパイロットと云ふ経歴。何故豚になつたのかは詳しい説明が有りません。豚ながらサングラスをかけ、森山周一郎さんの渋い声で中中カッコイイ。

 あつさりマンマユート団を片付け、馴染みの女性ジーナが営む店へ行くと、メリケン野郎のカーチスと云ふ同業者と知り合ひます。カーチスは伝説のパイロット・ポルコに勝つて、ナムバアワンになりたいらしいが、ポルコは愛機サボイアがオーバーホールが必要なので、それどころではありません。

 で、整備のためミラノの昔馴染み整備工・ピッコロを訪れます。ところがピッコロおやぢは、17歳の孫娘フィオに任せると云ふ。不安を覚えながらも彼女に任せるポルコでした。実際の作業もピッコロの親戚の女性ばかりで、男は一人もゐません。お祖母ちやんたちさへ孫に小遣ひやりたさに参加しました。

 修理の終つた艇で、フィオを連れてアドリア海に戻るポルコ。そこでは、思想犯扱ひで逮捕しやうとする秘密警察、復帰を求める空軍、そしてマンマユート団ら空賊連合が待ち構へてゐます。自分が整備した艇を破壊せんとする空賊たちにフィオが怒り、その様子を見てゐたカーチスが彼女に一目惚れ、フィオを賭けてポルコと一騎打ちする事になりました......

 やはり航空活劇は面白い。宮崎駿監督特有の「飛翔」の表現が心地良く、特に試運転なしでイキナリ発信するサボイアの動きが良い。川から離水する瞬間の爽快感は最高であります。唐突な感想ですが、同じヒコーキ野郎である円谷英二が、若し宮崎駿作品に接したら屹度気に入つたのではないかと思ひました。本作の中で「ハワイ・マレー沖海戦」を意識したカットがあつたと思ふのですが、気のせいですかな。

 ストオリイも明快単純で、後年のやうな難解なものではないので、割と万人向けではないかと存じます。秘かにポルコを愛する謎めいたジーン、駿ヒロインの系譜を継ぐフィオ、「ラピュタ」のドーラ一家を思はせるマンマユート団のボス、孫娘に「手を出すなよ」と云ひながら放任するピッコロおやぢ、ドナルド・レーガンみたいに映画スタアと大統領を目指すライヷル・カーチスなど、サブキャラクタアも性格付けが丁寧。皆良い奴です。

 ラストが色色と想像できるやうな、思はせぶりで終るのは、監督自身が続篇に意欲を燃やしてゐたからださうです。今となつては難しいでせうなあ。
 序でに云ふと、わたくしが好きなジブリ作品は、「①ナウシカ②ラピュタ③豚(次点)もののけ」で、本作は可也のお気に入りでございます。

2022/08/25

80点

映画館 


飛ばねえ豚は、ただの豚だ

イタリア空軍のエース・パイロットだったが、戦場で戦友を救えなかった自責の念から一匹狼の賞金稼ぎとなったハードボイルドな賞金稼ぎ紅の豚ポルコ・ルッソの男の美学を貫く生き方やセリフの数々(飛ばねえ豚は、ただの豚だ、俺たちは戦争やっているんじゃねぇ)、空中海賊とのフェアプレーな対決、マダムジーナの大人の魅力、ポルコとマダムジーナとフィオとカーチスの四角関係、空に生きる男たちの誇り高い生き方がかっこいい痛快な航空活劇です。