本作の主人公シンシアは娘を一人持つシングルマザー。とにかくよく泣く。暇さえあれば泣く。
女手一つで子供を育てた苦労からなのか、泣くことが習慣になってるようだった。
シンシアには弟がいる、名はモーリス。結婚はしているが子供はいない。妻モニカとは子供がいないことで、関係はギクシャクしている。モニカは子供が欲しい様子なのは序盤でわかる。
更に黒人女性ホーテンスも登場する。養子として幸せに暮らしていたそうだ。しかし養父母が亡くなり、実の親を探すことを始めた。
その実母がなんとシンシア。
肌の色の違う子供とは…、シンシアの言う通りになんかの間違いだと、私も思った。
しかし出生証明書がある。血縁関係なのは間違いない。
成り行きでシンシアとホーテンスは会うことになった。
シンシアの娘マリアンヌと違い、ホーテンスには育ちの良さを感じた。実の娘ロクサンヌら荒れているのに対して、ホーテンスは真逆の性格。これを見ると、ホーテンスは養子に出されて良かったのではないかと考えてしまう。
大人になってからの人格はやはり育ちである。優しい人は、間違いなく親からの愛を十分に与えられている。躾もされている。
逆に躾をされていない人は、他人に対して我を通す。
万人がそうなのだが、一番最初に生活の仕方や、勉強を教えてくれたのは育ててくれた親である。
育ちは大人になってから、行動に出るものである。
本作の見せ場はラストのバーベキューパーティーでの秘密の告白に集約されている。
140分超えの長い上映時間は、このパーティーのための前フリであった。
それ故に中盤はかなり退屈であった。でもラストは高波があるので、チャラにはなりましたが…。
そのラストは痛々しかった。望まれず生まれた子供の悲しみ、望んでも子供が生まれない夫婦の悲しみ。
家族だからこそ、言えない秘密がそこにはあった。
そしてその秘密がばれても、家族だから許すこともできる。本作は「血は水よりも濃し」を言いたかったのだと思います。