アメリカン・ビューティー

あめりかんびゅーてぃー|American Beauty|American Beauty

アメリカン・ビューティー

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レビューの数

100

平均評点

75.1(907人)

観たひと

1467

観たいひと

77

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1999
公開年月日 2000/4/29
上映時間 122分
製作会社 ジンクス=コーエン・カンパニー作品(ドリームワークス映画提供)
配給 UIP
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/ドルビーSR/DTS/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

アメリカ郊外の平凡なサラリーマン家庭の崩壊をシニカルに描いたドラマ。監督は英国の演劇界で活躍した俊英サム・メンデスで、本作で映画デビュー。脚本はTVのコメディドラマで活躍するアラン・ポール。撮影は「めぐり逢い」のコンラッド・L・ホール。音楽は「グリーンマイル」のトーマス・ニューマン。出演は「交渉人」のケヴィン・スペイシー、「マーシャル・ロー」のアネット・ベニング、「今そこにある危機」のソーラ・バーチ、「コレクター」のミーナ・スバーリ、「遠い空の向こうに」のクリス・クーパーほか。第72回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞(スペイシー)、撮影賞の主要5部門を受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

郊外の新興住宅地に住む広告マンのレスター(ケヴィン・スペイシー)は不動産ブローカーの妻キャロリン(アネット・ベニング)と高校生の娘ジェーン(ソーラ・バーチ)の3人暮らし。見栄っ張りな妻と反抗期にある娘とは話もできず、死んだような毎日を送るレスターにある日変化が。会社からリストラ宣告を受け、さらにチアガールであるジェーンの友人の美少女アンジェラ(ミーナ・スバーリ)に恋をしたのだ。そんな折り、隣家に元海兵大佐のフィッツ(クリス・クーパー)一家が越してきた。彼の息子リッキー(ウェス・ベントレー)はいつもビデオを手放さない陰のある青年。ジェーンはそんな彼に興味をひかれて交際を始めた。レスターも隠れて麻薬の売人稼業をしている彼からマリファナを仕入れた。その晩、ジェーンの部屋に泊まりに来ていたアンジェラが、「筋肉がついたらレスターと寝たい」と言っているのを盗み聞くレスター。彼女を思ってベッドで自慰にふけっていると、横で寝ていたキャロリンは気づいて騒ぎ立てる。ここに至ってついにキレたレスターは、会社に辞表を提出するや上司を逆に脅して多額の退職金をぶんどり、ハンバーガーショップでアルバイトを始めるなど暴走開始。キャロリンはうっぷん晴らしに仕事上のライバルの不動山王バディ(ピーター・ギャラガー)と急接近、モーテルで情事にふけって欲求不満を解消。ジェーンもそんな親たちを尻目にリッキーと初体験を済ませた。キャロリンはバディとの浮気の最中、レスターに出くわして動揺、夫を憎むように。ところが、フィッツがレスターとリッキーがホモ関係にあると誤解したことから事態は暗転。大雨の夜、父に折檻されたリッキーはジェーンに駆け落ちをすすめるために彼女の部屋へ。ちょうど泊まりに来ていたアンジェラはジェーンを引き留めるが、彼女は耳を貸さない。ショックを受けたアンジェラは階下にいたレスターの元へ行き、ついにふたりはベッドイン。だが、レスターは彼女が実は処女だったのを知り、抱くのをあきらめた。憑きものが落ちたように心洗われた気分のレスター。だが、そんな彼の脳天を一発の銃弾が撃ち抜いた。撃ったのはフィッツだった。死にゆくレスターの脳裏を“アメリカの美”の光景がよぎった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2000年6月下旬号

劇場公開映画批評:アメリカン・ビューティー

劇場公開映画批評:アメリカン・ビューティー

2000年6月上旬号

外国映画紹介:アメリカン・ビューティー

2000年5月上旬号

新作紹介:アメリカン・ビューティー

2000年4月下旬号

作品特集 アメリカン・ビューティー:サム・メンデス インタビュー

作品特集 アメリカン・ビューティー:ケヴィン・スペイシー インタビュー

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作品特集 アメリカン・ビューティー:亀裂が生じたアメリカン・ファミリー映画

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ゴールデン・ウィーク新作紹介:アメリカン・ビューティー

2000年3月上旬号

SPECIAL SELECTION:アメリカン・ビューティー

2024/03/14

2024/03/15

83点

購入/DVD 
字幕


粘質な男性陣

当時はシニカルで尖ったホームドラマとして楽しんだが、世の中年親父どもの願望を体現したケビン・スペイシー演じる父親が42歳設定だったことを再認識し、共感せずにはいられない年齢となってしまった。バーチやスバーリもいいが、アネットも絶妙にハマっている。
コンラッド・L・ホールの幻想的で空間の使い方が見事な撮影。やはり初監督作には名カメラマンが必須要素と思うが、ホール亡き後もロジャー・ディーキンスと組んで素晴らしい映像を生み出している辺り、その重要性をメンデスは理解している。一聴してトーマス・ニューマンと分かる瑞々しいスコアが映画と一体化し寓意性を高めている。

2024/01/19

2024/01/19

83点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


薄っぺらい大人達

ネタバレ

備忘メモ:
「あなたは幸せ?」「そんなこと聞かれたのは何年振りだろう?」、、、こういうシンプルな情の交換・会話が心をほぐす。
本編内の会話は殆どが薄っぺらい、言葉数は多いのだが(う~ん、これがアメリカ社会だ、と言い切っていいのかな)。
自分の何かを満足させる為だけに一生懸命な大人達の物語。その結果、周囲を不幸にしてしまう。一番まともなのは、娘のジェーン。隣のリッキーを、芯がある奴だと見抜いた。
お父さんレスターは、アンジェラが処女だと知った瞬間、今まで彼に憑りついていた何かが吹っ飛んで行った。これに代表される様に、我々は常に虚像を追いかけている様なもんだ(本物だと思い込みたくて、、、)。妻キョロラインのひたすら成功を追い求める姿(才能がないくせに)はアメリカ社会が人々をそうさせちゃっているのかな(日本もそうかな、経済面ばかり重視しちゃうと、こうなっちゃう)。
隣人の海軍大佐のゲイ嫌いだ。実は自分もゲイだが、それを認めたくないので(それとは正反対の)極端なゲイ排除の姿勢に出てしまう、素直になれない弱さ、これも社会が創り出している成功モデルから外れそうになる恐怖を描いているのだろう。大人の中で一番まともなのはゲイのカップルだったなぁ、考えてみれば。だって、自分たちに正直なんだもの。大佐に、パートナーの意味を感違いされても、すぐに、その場を繕っていたし、あんな撓やかさが当作品内では良く見えた。
赤が、とにかく印象的。

2023/02/10

2023/02/10

81点

購入/DVD 
字幕


PG12指定かなあ

黒澤明「生きる」の最低版。

ある家族がおって、家族構成が夫婦とひとりの娘。
隣人には軍隊出身の父親とその妻、そして息子がいる。
娘には親友がいるが、美少女だ。
人生を生きる意味を見失った夫は、この美少女と出会って眼が覚める。いよいよ助平になっていく。下心が湧いてくる。そして何かを始めた。
しかし、彼らに家族崩壊の危機が迫る。これも黒澤明「乱」ではないか。

少なくとも「美」を見つけたのはこの男たちかもしれない。夫の美少女に対する「美」、隣人の息子の見つけた「美」。この対比、最低なのと最高なのと二つあるが2人とも、人には分からぬ不理解さが伴われている。そうして最後は一気に家族崩壊へと向かうところにスリルがある。否、スリルを感じられるのは全編だった。この映画の完成度は実に高く、実に良く出来ている。

2023/01/27

2023/01/27

70点

テレビ/有料放送/ザ・シネマ 


孤独な男

家族という絆が崩壊しかけた二組の家族のドラマ。
レスター(ケヴィン・スペイシー)は広告会社の社員で、妻キャロリン(アネット・ベニング)は不動産ブローカー。娘ジェーン(ソーラ・バーチ)は高校生だが、夫婦の仲は冷めているし、娘は反抗期。
お隣に越してきたフィッツ(クリス・クーパー)は海兵大佐で息子リッキー(ウェス・ベントレー)はジェーンの高校に通っている。リッキーは親に隠れて大麻などの密売をし、それで得た金で、ビデオを買って撮影三昧。リッキーはジェーンの撮影を通してだんだん仲良くなっていく。
レスターはジェーンの友達のアンジェラに懸想し、キャロリンは他の不動産会社の社長と不倫。
近くにゲイの夫婦がいるが、フィッツは大のゲイ嫌い。しかしリッキーがレスターにヤクを売るところを盗み見てゲイと勘違いしてリッキーを追い出す。そのあとレスターの所に行き、キスをする。フィッツは隠れゲイだったのだ。
レスターはアンジェラと理解し合った後で、フィッツによって撃ち殺されてしまう。
なんとも陰惨な家庭の崩壊劇であるが、レスターはそれで満足して亡くなった。見ている方も展開が読めずハラハラし通しだったが、もう少し早く家庭の崩壊を食い止めることはできなかったのだろうか。あるいは崩壊は必然だったのかも知れない。そんな映画である。

2023/01/13

2023/01/13

78点

その他/録画BSプレミアム 
字幕


ブチ切れるレスター

 42歳のレスター(ケヴィン・スぺイシー)が、充実した人生だったと思ったとたんに殺される。どのようにして、そうなって行ったかを語っていく。観るのは何回か目。

 高校生の娘の友達にぞっこんになるレスターも、不動産を売る為にライバルと寝てしまう妻のキャロラインも、サイコで売人のリッキーを好きになってしまう娘のジェーンも皆どこか変な人物だった。

 それが、崩壊しているアメリカの家族を象徴していたのだろうか。キャロラインにおもねて虚無だったバーナムが、ブチ切れていく所が、死んだとしても満足だったんだと思った。

2022/09/20

90点

選択しない 


ケビン・スペイシーの怪演がスゴイ!

何回観てもインパクトある映画です。
自分の心に偽りを持って生きてる中年たちの末路を、実に丹念な映像、脚本で描写してます。
本作は冒頭シーンで結末を明らかにしてます。意味するのは結末に至るまでのプロセスに重きを置いてるとも言えます。

ケビン・スペイシー扮するレクターを女子高生の娘の友達に恋するロリコン親父みたいに見せていましたが、これは閉塞感のある家庭でレスターが見つけた生き甲斐と解釈すると何となくだが腑に落ちます。
中年になると、大体の方が自分の人生がこんなものかと思ってしまいがちです。
レクターは先が見えた自分の人生で、もう一花咲かせようとしたのではないでしょうか?
その象徴であるのが、娘の友達のことを妄想する赤いバラのシーンの映像だったと思います。
レクターの家庭は他人から見れば幸せそうに感じるはずです。良い家に住み、良い車を持ち、子供もいて、何不自由なく生活してる。
でも本人たちが幸せを感じてるかは別の話である。
アメリカにおける現代人の孤独や見栄という虚無感は今ある幸せに不満をもたらす。それが本来なら味方であるはずの家族や友人を疎ましい存在に変えてしまう。
そうした不満を本作では随所に描写している。
レクターと妻キャロリン(アネット・ベニング)との性交渉のない夫婦生活。レクターが娘に嫌われる辛さ。家庭のために仕事を頑張ってきたが、自分の居場所がないのは、身につまされる。
キャロリンは幼少期、学生時代とアパート暮らしの貧乏だったことをトラウマにして、上流家庭への憧れを消せない。
娘は友達の恋愛の自慢話を散々聞かされて辟易している。
普通の家族が欲求不満からバラバラになっていくのはあまりに痛々しい。その欲求不満から逃れるように、家族3人が新たに心の拠り所とするパートナーを見つける。
レクターは娘の友達に好かれようと、逞しい身体にするためにトレーニングする毎日。
キャロリンは同じ不動産業の成功者にゾッコン。
娘は隣に引っ越してきた男子学生と付き合い始める。
隣の家も壊滅的でした。威張り散らすナチス好きの親父(クリス・クーパー)、その親父の異常さから精神が病んだ妻など、救いがない人だらけである。

それでもレクターとナチス親父は自分の子供を愛していた。子供から見てダメ親父でも、子供は可愛いのである。だからラストは切なくなる。子供に愛想を尽かされるのは、親にとって一番辛いことなのだから…。

追伸
内容は確かに暗いのですが、映像の完成度はピカ一の作品だと思います。怪奇的な作品であるが、孤独や見栄に縛られた人生に一条の光を見出そうとする人間描写は見応えありました。