メゾン・ド・ヒミコ

めぞんどひみこ|----|----

メゾン・ド・ヒミコ

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レビューの数

52

平均評点

73.8(516人)

観たひと

966

観たいひと

98

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2005
公開年月日 2005/8/27
上映時間 131分
製作会社 『メゾン・ド・ヒミコ』製作委員会
配給 アスミック・エース
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督犬童一心 
脚本渡辺あや 
製作総指揮椎名保 
三木裕明 
プロデューサー久保田修 
小川真司 
撮影葛井孝洋 
美術磯田典宏 
音楽細野晴臣 
照明疋田ヨシタケ 
編集阿部亙英 
衣装デザイン北村道子 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演オダギリ ジョー 岸本春彦
柴咲コウ 吉田沙織
西島秀俊 細川専務
歌澤寅右衛門 ルビイ
青山吉良 山崎
柳澤愼一 政木
井上博一 高尾
森山潤久 木嶋
洋ちゃん キクエ
田中泯 卑弥呼

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ファンタジックな世界観と普遍的でリアルな恋愛を描き、絶賛された「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督×渡辺あや脚本コンビの第2弾。癌に冒されている父親とその恋人である若い男、そしてゲイである父を嫌う娘が織り成す交流を描く。出演は、舞踏家・田中泯、人気俳優のオダギリ ジョーと柴咲コウ。音楽を細野晴臣が担当する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

塗装会社の事務員として働く吉田沙織(柴咲コウ)、24歳。ある事情で借金を抱え、夜はコンビニでバイトをしているが、いっそ風俗で働こうかと思い悩んでいる。専務の細川(西島秀俊)が気になっているが、彼は同僚のエリナと不倫中だった。ある雨の日、沙織のもとに若く美しい男が訪ねてくる。名前は岸本春彦(オダギリ ジョー)。彼は、幼い沙織と母を捨てて出て行った父親の恋人だった。沙織の父・吉田照雄(田中泯)は妻子の元を離れた後、ゲイバー「卑弥呼」の二代目を継いだが、今は神奈川県大浦海岸の近くにゲイのための老人ホームを創設。その館長を務めているらしい。春彦は、その父が癌で余命いくばくもないと告げ、ホームを手伝わないかと沙織を誘う。父を嫌い、その存在を否定して生きてきた沙織だったが、破格の日給と遺産をちらつかされてその申し出を承諾する。西欧のリゾート風プチ・ホテルを改装したホーム“メゾン・ド・ヒミコ”には、個性的な住人ばかりがいた。生まれ変わったらバレリーナと相撲部屋の女将になることを夢見る陽気なニューハーフ・ルビイ、洋裁が上手く女性的で心優しい山崎、元・小学校の教員で今は将棋が趣味の政木、ホームのパトロンの元・部下で、家庭菜園に精を出す木嶋、ギターがうまく背中には鮮やかな刺青を入れている高尾、ゲイバー「卑弥呼」の元・従業員でTVドラマに夢中なキクエ、春彦と一緒に老人たちの面倒をみているいつも元気なチャービー。みんな明るく沙織を迎え入れてくれるが、実の父・卑弥呼は娘との予期せぬ再会に戸惑い、沙織はその場所すべてに嫌悪感を抱く。日曜日ごとに沙織はホームに出向き、最初は奇妙な住人たちと距離を保っていたが、彼らの底抜けに明るい日常とその裏側に隠された孤独や悩みを知るようになる。少しずつ心を開いてゆく沙織だが、平穏な日々に陰りが見え始める。ホームに資金を提供していた半田社長が脱税容疑で逮捕されて援助が絶たれ、ルビイが脳卒中で倒れる。介護費用を割こうものなら、ホームは閉鎖に追い込まれる。愛する人が作ったホームの存続を願う春彦に対し、卑弥呼は冷ややかに閉館を口にする。その無責任な父の態度に、沙織は怒りを爆発させる。沙織の借金は、3年前に癌で死んだ母の入院費用と手術費で背負ったものだったのだ。母と自分を捨てたように、父は今度は老人たちを捨てようとしている。父への不信感を強めた沙織だったが、ラウンジである写真を見つける。それは、最盛期のバー「卑弥呼」にいる母の写真だった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2005年9月上旬号

特集 「メゾン・ド・ヒミコ」:オダギリジョー インタビュー

特集 「メゾン・ド・ヒミコ」:柴咲コウ インタビュー

特集 「メゾン・ド・ヒミコ」:田中泯 インタビュー

特集 「メゾン・ド・ヒミコ」:監督 犬童一心研究

特集 「メゾン・ド・ヒミコ」:作品評

2005年7月上旬号

HOT SHOTS:「メゾン・ド・ヒミコ」

2024/11/23

2024/11/23

50点

VOD/U-NEXT 

向け老人ホームでの出来事を淡々と。

年老いたゲイたちの共同生活ってわりとあちこちでありそうな気がする。
ただでさえ寂しがり屋が多いオカマが年取ったら自然とこうなるよな。

オダギリジョーが美しい。
そして中学生を一人目覚めさせるw

2024/08/06

2024/08/06

66点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


フィーバー!

ディスコでのダンスの振り付けが面白かったな。全体的には可もなく不可もなしってとこ。

2024/06/23

2024/06/23

60点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 
字幕


夏の海辺の表情

神奈川県の大浦海岸にあるゲイのホームが主な舞台となる.海面はさまざまな表情を見せており,その上方に広がる空も曇り空,朝焼けなど色や模様を変えていく.ホームの人々の表情はどうだろうか.離合集散の中で消えていく人物,集まってくる人物もいて,「ホーム」の存続とともに,そのあり方が問われようとしている.
吉田照男という名を持つが,卑弥呼とも呼ばれる男(田中泯)がその家の中心にある.資金的にも,半田(高橋昌也)らからの提供を受け,人脈としての彼の交友がこの家の出入りの基軸にもなっている.美しい男と呼ばれるキシモトハルヒコ(オダギリジョー)が,番頭のような役割を果たして,家計を切り盛りしているようでもある.彼が見つけてきた,卑弥呼の娘の吉田沙織(柴咲コウ)が加入することで,そこに波紋が生じていくようにも見える.ギターを弾き,将棋を指し,PEACEを吸い,そこではゲイたちの静かな集団生活あるいは余生が営まれている.スイカ,サクランボ,ナスビやキュウリの夏野菜が潤いを与えていくかに見える.チャービー(村上大樹)やルビィ(歌澤寅右衛門)と行った男たちははしゃぎ,山崎(青山吉良)はコスプレを願望しつつ,刺繍の手仕事をしている. 
同性愛者への差別は,地元の中学生四人組のこのホームに接する態度にも現れている.ゴミが出され,洗濯がされ,掃除され,このホームは保たれている.時には大学のゲイサークルが呼ばれ,プールサイドでは流しそうめんなどの催しが行われている..  
沙織は細川塗装の事務をしており,社長の細川さん(西島秀俊)も怪人のように現れている.ピキピキピッキーというキャラクター,バニーガールなどのコスプレの流れで,みなとみらいのクラブで「また逢う日まで」で踊り出す沙織やゲイたちがいる.ステージでは道化が無言劇を披露している.お盆に歌を歌い,おはぎが用意され,写真と蝋燭が飾られると,夏が終わろうとしている.この家にも冬がやってくる.

2024/05/16

2024/05/20

65点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


世間の塩辛い風、老いての潮風。

ネタバレ

物事を隠蔽することの巧みさも優秀な日本民族。ホモとかゲイとか、オーソドックスな性向から外れる
人たちを、見てみないふり。存在しないような空気感を共有する。そこに風穴を開けたのが夜の世界。
ゲイバーの出現だ。発信力のある銀座でカリスマ的な人気を博したのが卑弥呼。唯一無二の個性を
発揮したが、吉田照男(田中泯)が二代目卑弥呼に収まり、店は繁盛を続けた。しかし突然の休業。
二代目卑弥呼は財産を処分して、老いたゲイのために海の見える地に老人ホームを開園させた。

映画はその二代目卑弥呼の娘吉田沙織(柴咲コウ)を中心に動く。父親が早くから家を出たため、シン
グルマザーの手で育ち、その母親が亡くなってからは、その医療費の借金を抱える。その分、父親に
対する恨みを持ち続けホモ嫌いになった。しかしその父は末期ガン。若い愛人で現在の館長岸本春彦
(オダギリジョー)が気を利かせて、高いアルバイト賃で沙織をホームに呼んだ。

リゾート・ホテルを改装したメゾン・ド・ヒミコの外観はお洒落。住人は多難なゲイ人生を強く生き抜いた
猛者ばかり。女装のルビイは口の悪いニューハーフ。洋裁が上手く、数々のドレスを自作する山崎。元
小学校の教員で将棋が趣味の政木、等々個性的な住人が紹介される。肝心の沙織はゲイ嫌いを表に
出すのだが、住人の方が数段上、何かとイジられてオシマイ。
徐々に心を開く沙織は住人たちの素顔を知るようになる。そして離婚したはずの母親がゲイバーの
父親と一緒の仲の良さそうな写真を発見する…。

長らく時代の底辺に押し込められてき歴戦のゲイ戦士のレクイエムかな、と思ったが、沙織視点で物語
は終始した。それはそれで等身大のドラマになり、親しみやすかったのだが、劇中、ディスコで女装した
山崎が、元部下に見つかり、散々やり込められるシーンなどの差別の根源になる部分はもっと必要な
気がした。着想は良かったのだが、柴咲コウとオダギリジョーのドラマという易きに流れた感がある。
ゲイバーのマスターという激闘記という深部はスルーされた。残念な気持ちが残る。

2024/05/12

2024/05/12

-点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


ゲイのアパート

オダギリジョー、柴咲コウ

2005/09/23

2024/05/10

80点

映画館 


もう、こうなると「人類愛」です

 同性愛をテーマにしたちょっと変わった映画、しかも美形なオダギリジョー君出演となれば、好奇心もウズウズ・・・そんな不純な動機で見に行ったのが申しわけないくらい、美しさに溢れた映画でした。いやはや、不意打ちの感動作、とはこのことです。

 物語の主人公は、小さな塗装会社で働くしがないOL沙織。演じているのは強烈な個性を持つ今が旬の柴咲コウですが、今回は長い髪をひっつめ、いつも眉間にシワを寄せている陰気な女の子の役です。ある日沙織の職場にハンサムな青年・春彦が訪ねて来て、彼女の父・照雄が末期がんに冒され余命いくばくもないと言うのです。彼は照雄の若い愛人で、愛する人のために何とか一人娘との対面を実現させようとしていたのでした。

 それにしても、あのオダギリジョー君が「大切な人」と呼ぶ照雄って、一体どんな人物なのでしょう? かつてゲイバー「卑弥呼」のママとして銀座に君臨し、今は店をたたんで海辺にゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」を構えひっそりと暮らす年老いたゲイ、しかも若い頃に幼い沙織と妻を捨てたという、暗い過去を背負った人物・・・田中泯はそんな難しいキャラクターに見事にハマっています。病人の役なのでほとんど動きがないのに、その存在感とカリスマ性は圧倒的。優れた舞踏家というのは、じっとしていても肉体の美しさがにじみ出てくるものなのかなぁ? 彼ならオダギリジョー君のような若くて美しい愛人がいてもおかしくないよな~と、ひとり納得してしまいました。それにしてもオダギリ君の立ち姿はなんて奇麗なんでしょう! 自らを流れにまかせるしかない晴彦を切なく、それでいてどこかあっけらかんと演じていて好感度はますますアップです(^_^)。

 さて、沙織は幼い自分と母を捨てた父を許せずにいましたが、亡くなった母の治療費返済のためと割り切って、渋々メゾン・ド・ヒミコを訪ねることを決心します。そこには世間から受け入れられないまま、年老いてしまったおじさんたちが肩を寄せ合って生活していました。最初、ゲイと父を嫌悪していた沙織ですが、心優しく愛に溢れたおじさんたちの心根に触れ、頑なな心が次第に解きほぐされてゆくのでした。

 というわけでこの映画は、同性愛という特殊なモチーフを取り上げてはいるものの、それらは物語のシチュエーションに過ぎず、まずは「老いと死」「愛と赦し」を描いていて秀逸です。特に沙織が病床の父親をなじった時、彼が返した言葉に思わず涙。人と人の間にはどうしても理解し合えなかったり、受け入れられないことがあるけれど、そんな壁さえも越えてしまうほど強靭で絶対的な愛が存在することを、この映画は見せてくれたような気がします。

 また、この映画はロケが素晴らしいんですね。撮影は静岡県御前崎市にあるカフェで行われたそうですが、そのロマンチックな外観はもちろんのこと、乙女チックな内装やアンティークな家具も素敵! 海の見えるテラスに干された洗濯物とか、窓からプールの見えるダイニングでのブランチとか、お盆の提灯の仄かな灯りとか、ちょっとした情景が「これぞ地上の天国?」と思うほどに美しく撮影されています。うーん、こんな老人ホームなら私も入所したいなぁ!

(2005/9/23 記)