理想こそが現実を変えるby三木清
最新版「ミツバチのささやき」
ネタバレ
いろんなお伽話、童話から引用する。
「不思議の国のアリス」
「千と千尋の神隠し」も元ネタの一つ?
戦争の残虐性を炙り出す。
繰り返されるファシズム。
残酷な出来事が繰り返される歴史に鉄槌を喰らわす。
ヨーロッパに世界恐慌の嵐が吹き荒れる。スペイン内戦が起こる前は4%の富裕層が国土の75%を保有していた。超格差社会を変えようとした政府と既得権益を守りたいファシズム政権が戦い、独裁者が勝利する。第二次世界大戦のファシズム独裁から民主主義の勝利となるなかで中立を守ったスペインには連合軍が手を出さなかった。政治的な難しさと道徳的矛盾の世界。フランシス・フランコが没する1975年まで続く。
「ミツバチのささやき」は1973年製作。
映画は1944年の時代設定
ノルマンディ上陸作戦の年
スペイン政府も希望を持った。
もしかしたら英米連合軍が助けてくれる?
演出
現実世界は寒色系
お伽話の世界は暖色系
交錯する世界は緑色
繰り返し効果でサスペンスを盛り上げる。
選択と不服従
絶対服従の母は死する。
(映像特典より)
デル・トロの音声解説は熱く、具体的で理解しやすい内容です。
ビダル大尉
魅力ある悪役の人物造形。
残忍で几帳面、冷徹、父親に劣等感がある。
跡取り息子が欲しい。
髭を剃る、靴を磨く、コーヒーの味にうるさい、自分自身で顔の怪我を縫う、それでも酒を飲む。
俳優の方は企画が上がってから約束して何年も待った。
ペイルマン
初見の時はその視覚的造形に驚いた。僕には想像もできないほどのアイデア。
完全にノックアウトされた。
デル・トロが痩せた時、腹の皮がベロンとなったのがヒントになった。
ノロノロ追い詰める、当代随一の名シーンとなる。
テーブルに置かれている食べ物は血の色の赤。
オフェリア役にこだわる。
アナ・トレントの眼差しを探すデル・トロ。
この作品のキモだ!
イバナ・バケロを発見して8歳から11歳の少女に設定を変える。
「デビルズ・バックボーン」1939年設定の姉妹編と言われている。
⚫️9・11アメリカ同時多発テロ⚫️
続編にしようと決意する。
バカな男どもに対抗する少女が主人公。
ゲリラ軍の協力者メルセデスも女性。
子守唄が絶品。
「デビルズ・バックボーン」の時、「クロノス」の大ファン、ペドロ・アルモドバルから声をかけられたデル・トロ。
メキシコからスペインへと舞台設定を変更する。
メキシコはスペイン内戦(フランコ独裁政権)の難民を受け入れた数少ない国のひとつ。
当時最新の特殊メイク、CGを駆使するも予算の関係から若い無名のスタジオに協力を要請、低予算の中、素晴らしい成果をあげる。
美術セット
のちに美術監督は「ROME/ローマ」も手掛ける。
ラスト「マッチ売りの少女」のように眠りにつく。
子供の頃の切ない気持ちが蘇るような作風。
水上勉の胸が締め付けられるような切ないさを思い出す。
よく見るとラストシーンの王国では妖精は3匹いる(映像特典より)