ビデオ店には銀行員のカール(ジム・キャリー)がいる.彼は言葉は多く弄されており,嘘ばかりついており,言い訳めいている.幻視や口パクといったトリックが施されたかと思えば,現実には悪夢のような事故が,例えば勤めるオフィスのガラスが知り合いの投石によって割られるような事故が発生している.
セミナー会場にはカリスマのような裸足の人物テレンス(テレンス・スタンプ)がいる.彼はカールに顔を近づけ,イエスを強制し,ノーを否定する.カールは,悪夢のような現実により山の上の公園に住むホームレスを送り届けることになる.ホームレスは藪に潜り込み,巣に帰るようにして戻っていく.そのせいか,漫画のような両眼がプリントされたヘルメットを被る女性アリソン(ゾーイ・デシャネル)に出会う,彼女はカールに顔を寄せて迫り,キスをする.
アリソンは,不思議な歌を歌い,ジョギングフォトという不思議なイベントを主宰している.彼女の不思議性もどこかで悪夢と響きあっている.ノーム(リス・ダービー)というカールと同じ会社に勤める男もコスプレ集会などを楽しむ変わり者であり,カールの隣人のティリー(フィオヌラ・フラナガン)も孤独と性的な魅力を発揮し,カールの背中の後ろから背後霊のように現れる.「融資ハイ」によってカールの周りには様々な人材が集まり始める.カリスマをなぞるかのようにカールのイエスは人々を何かに向かわせる.野外劇場やアドリブ旅行のネブラスカ行では,電話博物館,射撃場,精肉場などマイナーな観光が楽しまれ,空港に現れる対テロリストのFBI捜査官ですら,何かのアトラクションのようでもある.
現実と悪夢の差はどこまでも曖昧である.病院ではカリスマとカールのベッドは隣り合い,何人か登場するアジア系のうち,一人のナース男性は,バイクのキーをカールに手渡す.カールは飛び降り自殺を図ろうとする男性の横でギターで弾き語り,自殺願望の男と聴衆には歌が伝染している.こうした光景は現実だろうか,バイクを曲乗りのようにして,カールは公園のアリソンの元へと向かう.二人のコミュニケーションやキスの姿は,ジョギングフォトによって撮影される画として,戯画化されていく.