デビッド・フィンチャー監督のスタイリッシュな映像表現が、北欧のダークなミステリーにマッチして格好いい。
スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)を、「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督がハリウッドリメイクしたミステリーサスペンス。
スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながら名誉毀損裁判で敗訴した経済誌「ミレニアム」の発行責任者で経済ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)は意気消沈の日々を送っていた。
ある日、彼のもとにスウェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人から家族史編纂の依頼が舞い込む。
しかし、実はヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。
ヘンリックはハリエットが一族の誰かに殺害されたと信じていた。40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さず消えた16歳の少女。
成功の陰に隠された一族の血塗られた過去に気づくものの手がかりを掴めないミカエルは、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主であるとして、ある人物を紹介される。
リスベット(23)という名の、拒食症患者のようにがりがりに痩せた女(ルーニー・マーラ)…。この小柄な女の肩口から背中にかけて彫られた「龍の刺青(ドラゴン・タトゥー)」が異彩を放っていた。
意外なことにリスベットはこの事件に異様な関心を示す。そして彼女はハリエットの日記に記された聖書にまつわる数字がロシアの国境付近で未解決のままとなっている連続猟奇殺人事件と関連があることを突き止めるのだった…。
極寒の北欧を舞台に、謎めいたストーリーが展開する傑作シリーズですが、作品の要はむしろ「ドラゴン・タトゥーの女」リスベットでしょう。
ルーニー・マーラが捨て身の演技でリスベットになりきっています。その怪演だけでも、本作は半ば成功といえるのではないでしょうか。
思い切り暗い画作りといい、背筋が凍るような静謐、残酷な描写の連続といい、終始エッジの利いた映像体験でした。