本作の題材となったのは、人種差別。舞台はミシシッピー州、黒人差別が露骨に行われてるエリアです。
白人に雇われている黒人メイドたちの苦難が描写されてるのですが、随所に笑えるシーンがあり重たさが抑えられてます。そして最後には感動できる人間讃歌の傑作だと思います。
これまで人種差別をテーマにした映画は何本かは観ましたが、政治的な骨格が見え隠れすることが多かったと記憶してます。
でも本作は違います。社会のカテゴリーが小さな町に限定されてます。
特定の黒人メイドたちの心の繋がりにフォーカスしてるので、心理描写が鮮明なのが素晴らしいところです。
雇う側の白人と雇われる側の黒人メイド。この対極の立場にある関係の前提は絶対服従であります。暴力的な描写はありませんが、白人に逆らえない黒人メイドの心痛は相当なもの。しかし、白人に頼らないと生きていく糧を得られない屈辱は如何程だったのでしょうか?
そこに一石を投じるのがエマ・ストーン扮する主人公の白人女性スキーターです。
現在のアメリカで黒人の暴動が起こってますが、スキーターの行動は報復ではなく事実を明らかにすることだけ。
白人の家庭という閉ざされた空間で起きている陰湿なるイジメを暴露本で世に知らしめることを提案したのです。
そこで壁になったのが白人の報復。黒人メイドからすれば命の危険に晒されるので、容易に口を割らない。
そこに風穴を開けたのが、ミニー(オクタヴィア・スペンサー)とシーリー(ジェシカ・チャスティン)の関係。
ここに人間があるべき姿が凝縮されてました。人は誰かの役に立つために生まれてきてるんです。
差別をしたら恥ずかしくて生きていけないよというメッセージ性があり、それを笑いに昇華させてるのだからスカッとさせられました。
差別は普遍的な問題ですが、少しでも過去よりよくしたいですね。
一歩踏み出す勇気を教えてくれる良い映画です。
追伸
それにしてもチョコパイの下りは面白かったです。