地獄の黙示録

じごくのもくしろく|Apocalypse Now|Apocalypse Now

地獄の黙示録

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レビューの数

79

平均評点

78.7(652人)

観たひと

1095

観たいひと

78

(C)1979 Omni Zoetrope. All Rights Reserved.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争
製作国 アメリカ
製作年 1979
公開年月日 1980/2/16
上映時間 153分
製作会社 アメリカン・ゾエトリベ・プロ作品
配給 日本ヘラルド
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比 70mmワイド(1.2.20)
上映フォーマット 70mm
メディアタイプ フィルム
音声 6chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1960年代のベトナム戦争下のジャングルを舞台に1人のアメリカ軍将校暗殺を命じられた大尉が4人の部下と共に目撃する戦争の狂気を描く。製作・監督は「ゴッドファーザーPARTII」のフランシス・フォード・コッポラ、脚本はジョン・ミリアスとフランシス・フォード・コッポラ、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽はカーマイン・コッポラとフランシス・フォード・コッポラ、音響はウォルター・マーチ、編集はリチャード・マークス、ウォルター・マーチ、ジェリー・グリーンバーグ、リサ・フラックマン、製作デザインはディーン・タヴォラリス、衣裳はデニス・M・フィル、ジョージ・リトル、ラスター・ベイレス、ノーマン・バーザが各々担当。出演はマーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、マーティン・シーン、フレデリック・フォレスト、アルバート・ホール、サム・ボトムス、ローレンス・フィッシュバーン、デニス・ホッパー、G・D・スプラドリン、ハリソン・フォード、ジェリー・ザイスマー、スコット・グレン、ボー・バイヤーズ、ジェームズ・キーン、ケリー・ロッサル、ロン・マックイーンなど。日本語版監修は戸田奈津子。イーストマンカラー、パナビジョン。1979年作品。劇場初公開は1980年2月16日(配給:日本ヘラルド)。2016年4月16日よりデジタル・リマスター版を上映(配給:boid)。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

狂うような暑さのサイゴンの夏。ブラインドの降りたホテルの一室で、ウィラード大尉(マーティン・シーン)は空ろな視線を天井に向けていた。505大隊、173空挺隊所属、特殊行動班員である彼に、それからまもなく、ナ・トランの情報指令本部への出頭命令が下った。本部では3人の男が彼を待ちうけており、そのうちの1人がウィラードに、今回の出頭目的を説明した。それは第5特殊部隊の作戦将校であるウォルター・E・カーツ(マーロン・ブランド)を殺せという命令だった。カーツはウェストポイント士官学校を主席で卒業し、空挺隊員として朝鮮戦争に参加、数々の叙勲歴を持つ軍部最高の人物であったが現地人部隊を組織するという目的でナン川上流の奥地に潜入してからは、彼の行動が軍では統制できない異常な方向へと進んでいった。情報によると彼はジャングルの奥地で原地人を支配し、軍とはまったく連絡を絶ち、自らの王国を築いている、というのだ。そのアメリカ軍の恥である錯乱者カーツを暗殺しなければならない、というのが軍の考えだった。この密命を受けた若い兵士ウィラードは、4人の部下、クリーン(ローレンス・フィッシュバーン)、ランス(サム・ボトムス)、シェフ(フレデリック・ホレスト)、チーフ(アルバート・ホール)を連れ、巡回艇PBRに乗り込んだ。まず、ウィラードは、危険区域通過の護衛を依頼すべく、空軍騎兵隊第一中隊にキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)を訪ねた。ナパーム弾の匂いの中で目覚めることに歓びさえ感じているキルゴアは、花形サーファーであるランスを見ると彼にサーフィンを強要した。ワーグナーの“ワルキューレの騎行”が鳴り響く中、キルゴアの号令で数千発のナパーム弾がベトコン村を襲った。キルゴアのもとを発った彼らは、カーツの王国へとPBRを進めた。河岸に上陸するたびにウィラードに手渡される現地部隊からの機密書には、カーツの詳細な履歴と全行動が記されており、読めば読む程ウィラードには、軍から聞いたのとは別の人物であるカーツが浮び上ってきていた。王国に近づいたころ、クリーンが死に、チーフも死んだ。そして、王国についた時、ウィラードはそこで、アメリカ人のカメラマン(デニス・ホッパー)に会い、彼から王国で、“神”と呼ばれているカーツの真の姿を聞かされる。カーツは狂人なのだろうか。それとも偉大な指導者なのだろうか。ウィラードにもわからなかった。そして遂にカーツとの対面の日がきた。テープレコーダーや本に囲まれたカーツの元にやってきたウィラードは、軍の命令に従い、“神”と呼ばれる人間カーツを殺すのだった。(日本ヘラルド映画配給*2時間33分)

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2018年7月下旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第1弾 1970年代外国映画ベスト・テン:ベスト19グラビア解説

2017年7月上旬号

MOVIE at HOME:「エマニエル夫人」「地獄の黙示録」インタビュー 坂上直行[元日本ヘラルド映画宣伝部]

2016年4月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「地獄の黙示録 劇場公開版〈デジタル・リマスター〉」

傑作は何度でも再来(リヴァイヴァル)する:地獄の黙示録 インタビュー 矢作俊彦 1980年、ふたつの“戦争” 「地獄の黙示録」『気分はもう戦争』

2011年9月上旬号

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1980年4月下旬号

外国映画批評:地獄の黙示録

1980年3月下旬号

〈現代〉と〈映画〉論考:第12回 「ディア・ハンター」と「地獄の黙示録」(下)

外国映画紹介:地獄の黙示録

1980年3月上旬号

〈現代〉と〈映画〉論考:第11回 「ディア・ハンター」と「地獄の黙示録」

1980年1月下旬号

特別カラー・グラビア:地獄の黙示録

グラビア:地獄の黙示録

巻頭大特集 「地獄の黙示録」:特集1 自説12人-話題作をめぐって

巻頭大特集 「地獄の黙示録」:特集2 そこに、ベトナムの戦場があった

巻頭大特集 「地獄の黙示録」:特集3 海外特別寄稿「地獄の黙示録」論-父性超克の寓話

巻頭大特集 「地獄の黙示録」:特集4 賛否両論の渦の中に投げこまれた話題作

巻頭大特集 「地獄の黙示録」:完成台本

1979年12月下旬号

「地獄の黙示録」リレー特集:第5回 アメリカの闇の奥

1979年12月上旬号

「地獄の黙示録」リレー特集4:「地獄の黙示録」の問題点

1979年11月下旬号 創刊60周年記念特別号

「地獄の黙示録」リレー特集3:「地獄の黙示録」を観て

1979年11月上旬号

「地獄の黙示録」リレー特集:戦争の爆音と狂気

「地獄の黙示録」リレー特集:荒涼とした哲学

「地獄の黙示録」リレー特集:偉大なる啓示

1979年10月下旬号

特別カラーグラビア:地獄の黙示録

グラビア:地獄の黙示録

「地獄の黙示録」特集:1 この映画はベトナムそのものだ

「地獄の黙示録」特集:2 アメリカで見た「地獄の黙示録」

「地獄の黙示録」特集:3 「地獄の黙示録」について

「地獄の黙示録」特集:4 〈ヴェトナム〉を突き抜ける狂気の文明論

1977年8月上旬号

〈ルポ特集〉日本とアメリカを直撃する4本の映画:2 「地獄の黙示録」のためのコッポラの戦い PART2・後篇

1977年1月下旬正月特別号

「地獄の黙示録」におけるコッポラの戦い:第2回

1976年10月上旬秋の特集号

特別カラー・グラビア:「地獄の黙示録」

グラビア:「地獄の黙示録」第一報

「地獄の黙示録」のためのコッポラの戦い:

2023/10/12

79点

選択しない 


もう少し共感できれば良いのだが。

冒頭、ウィラードの戦争中毒で禁断症状が出ているようになっている姿が既に病んでいて怖い。
 カーツ暗殺の命令を受けて最初に行った先で待ち受けていたロバート・デュバルの中佐のキャラがイカレていて最高。戦地で平気でサーフィンを楽しみ「朝嗅ぐナパームの匂いがいい。」と言うような男で指揮するヘリによる空爆作戦では「ワルキューレの騎行」を大音量で流す。この爆音と壮絶な空爆場面のシンクロは映画的興奮に充ちており、映画館で鑑賞した際は観ていてゾクゾクした。 
 この異様な興奮はプレイメイトの狂騒的コンサートまで持続するが、舟でカーツ王国でに向かうにつれ、静かで異様なムードになる。そしていよいよカーツ大佐と会うのだが、どうもそこからがあまりよろしくない。カーツは一見哲学者風で重々しく語るのだが、あまりコチラの胸にストンと入ってこない。もっと、なるほどと思わせるような事を言ってくれないと共感できない。元々、ベトナム戦争は兵士にとって大義がなく目的が良くわからないものだったようだから、カーツも目的を探すうちに自国への疑念等から独立国家を建国する夢想をしたのだろうが、力で現地人を統治したようで、それは結局アメリカが先住民から土地を奪って建国したのと変わらない。もっとカーツならでは理想国家論を語らせウィラード共々、観客にも共感させて、その上でギリギリの理性でカーツを殺すに至ればもっと傑作になったと思うのだが。

2021/02/09

2021/02/09

79点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 恵比寿ガーデンプレイス店 


静かなる狂気に凍り付く

ネタバレ

映画史上に残る名作とされている、コッポラ監督が制作会社を潰してまで(笑)完成させた逸品。撮影途中数々の不運に見舞われたことでも伝説になっている。原作はジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』。人間の心に潜む悪を追及するこの小説を、コッポラ監督はベトナム戦争を背景に鋭く描いた。

私がこの作品で感じた印象は「静」。人間の内なる狂気を描いており、爆走するヘリにあわせて鳴り響くワーグナーの『ワルキューレの騎行』や、大爆発シーンがあるにもかかわらず、全編を通し、その根底にある「静かなる狂気」に恐怖を感じる。狂気を発散させる「動」よりも、より深淵な静なる狂気。そしてその狂気は、誰もが持っているものなのだ。

一般的にこの作品は小難しい=わけがわからないと倦厭する人も多い。たしかにわけがわからない。しかし理性では理解できずとも、私の中にもある密かな狂気が共鳴するのだ。その共鳴に重なる映像の美しさに涙が出る。亜熱帯のジャングルの中を縫う川を静かに流れゆく船。狂気に駆り立てられた乗組員たちの、化粧(『気狂いピエロ』のジャン=ポール・ベルモンドを彷彿とさせる)の原色がシュールだ。

ラストシーンで、捜し求めたカーツ大佐を、共感しながらも殺した主人公が、ただ一人生き残った仲間を連れて去るシーンにとても感動した。それは、狂気に理性が打ち勝った瞬間だからかもしれない・・・。

2020/10/12

2020/07/16

80点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
字幕


ベトナム戦争の狂気

ネタバレ

ベトナム戦争を描いた作品は多い。反戦運動も含めて、メディアがこぞって報道したから、記録映像をカラーで見た初めての戦争である。狂気に染まっていく大佐。無理もない。
そして、戦争であるが映像に美しさを感じた。不謹慎ではあるが、戦争とは、命をかけたアートのように見える。こういう事も含めて文化なのかも思った。文明である。

2019/06/12

2020/06/21

80点

映画館/愛知県/ミッドランドシネマ名古屋空港 
字幕


この映画何が言いたい?

反戦映画・・・ではない? この映画何が言いたい? 某評論家氏が言っていた「前半最高、後半グズグズ」ってその通りです。前半、戦争の壮大なバカさ、ヒドさ、理不尽さは、ど迫力の音響・映像もありさすがハリウッドの大作という感じだが、後半、カーツ大佐のところへたどり着いてからは、何がなんだかさっぱり。神が、カーツからウィラードに変わった意味、流れ、必然性が全然理解できず。ホントに不思議な後半。でも全く寝なかったので引き込まれて観てたということかなー。

2020/03/07

2020/03/07

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


理性と相容れない狂気

カーツ大佐というはぐれものの暗殺を命じられたウィラード大尉はベトナムの奥地へと向かう。カーツ大佐は軍から殺人の容疑で追われているという。しかしカーツ大佐の経歴や殺人と見なされる4人の兵士の暗殺はどれも理にかなったものであった。
「ワルキューレの騎行」を大音量で流しながらヘリコプターで爆撃し、かつ戦死者もいるような状況でもサーフィンをしようという狂気の指揮官や、ベトナム人たちを安易に殺してしまう兵士たちなど戦場の狂気を描いている。
果たしてカーツ大佐は悪人なのか神なのか。
ヘリによる戦闘場面は圧巻。また川をさかのぼっていくとヘリやジェット機などの残骸、殺戮のあとが見られ戦場のすごさが描かれている。当時のベトナム戦争の実態を垣間見せてくれる。

2020/03/03

80点

レンタル 
字幕


究極のベトナム戦争映画

狂うような暑さのサイゴンの夏。ブラインドの降りたホテルの一室で、ウィラード大尉(マーティン・シーン)は空ろな視線を天井に向けていた。505大隊、173空挺隊所属、特殊行動班員である彼に、それからまもなく、ナ・トランの情報指令本部への出頭命令が下った。本部では3人の男が彼を待ちうけており、そのうちの1人がウィラードに、今回の出頭目的を説明した。それは第5特殊部隊の作戦将校であるウォルター・E・カーツ(マーロン・ブランド)を殺せという命令だった。カーツはウェストポイント士官学校を主席で卒業し、空挺隊員として朝鮮戦争に参加、数々の叙勲歴を持つ軍部最高の人物であったが現地人部隊を組織するという目的でナン川上流の奥地に潜入してからは、彼の行動が軍では統制できない異常な方向へと進んでいった。情報によると彼はジャングルの奥地で原地人を支配し、軍とはまったく連絡を絶ち、自らの王国を築いている、というのだ。そのアメリカ軍の恥である錯乱者カーツを暗殺しなければならない、というのが軍の考えだった。この密命を受けた若い兵士ウィラードは、4人の部下、クリーン(ローレンス・フィッシュバーン)、ランス(サム・ボトムス)、シェフ(フレデリック・ホレスト)、チーフ(アルバート・ホール)を連れ、巡回艇PBRに乗り込んだ。まず、ウィラードは、危険区域通過の護衛を依頼すべく、空軍騎兵隊第一中隊にキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)を訪ねた。ナパーム弾の匂いの中で目覚めることに歓びさえ感じているキルゴアは、花形サーファーであるランスを見ると彼にサーフィンを強要した。ワーグナーの“ワルキューレの騎行”が鳴り響く中、キルゴアの号令で数千発のナパーム弾がベトコン村を襲った。キルゴアのもとを発った彼らは、カーツの王国へとPBRを進めた。河岸に上陸するたびにウィラードに手渡される現地部隊からの機密書には、カーツの詳細な履歴と全行動が記されており、読めば読む程ウィラードには、軍から聞いたのとは別の人物であるカーツが浮び上ってきていた。王国に近づいたころ、クリーンが死に、チーフも死んだ。そして、王国についた時、ウィラードはそこで、アメリカ人のカメラマン(デニス・ホッパー)に会い、彼から王国で、“神”と呼ばれているカーツの真の姿を聞かされる。カーツは狂人なのだろうか。それとも偉大な指導者なのだろうか。ウィラードにもわからなかった。そして遂にカーツとの対面の日がきた。テープレコーダーや本に囲まれたカーツの元にやってきたウィラードは、軍の命令に従い、“神”と呼ばれる人間カーツを殺すのだった。
ジョン・ミリアスは、ジョセフ・コンラッドの小説「闇の奥」とベトナム戦争でラオスに潜入しモン族をゲリラに鍛え上げベトコンの武器補給路を断つという武勲を成し遂げたトニー・ポーの伝説を元に脚本を仕上げた。ミリアスの脚本は完成した映画版より、好戦的な内容だった。だがフランシス・コッポラ監督は、ベトナム戦争そのままを再現する大作として完成させようとした。セットが台風で壊れたり、コッポラ監督が思いつきでどんどん脚本を変えたり、挙げ句の果てはマーロン・ブランドが肥え太った状態で来たので大半のアクションは撮影出来ず、別なラストを用意するために「フィッシャー・キング」やT.S.エリオットの詩から引用したセリフをカンペに写してマーロン・ブランドに読ませて撮影した。そんな現場のゴタゴタを反映するように、エピソードがリンクして繋がらずとっちらかっている。ウィラードが、カーツの王国に行く中でベトナム戦争という地獄をめぐる地獄めぐりの旅としたら面白い。サーフィンと戦いが好きなキルゴア中将、デニス・ホッパー演じるヒッピー崩れのカメラマンなど面白いし、戦争の中で目覚める獣性と理性の相克がテーマらしいけどちゃんとストーリーの中で描かれていない。だが莫大な費用を費やした戦闘ヘリがベトコンの村を空爆するシーンは、迫力と臨場感がある。カルト化した戦争映画として一見の価値あり。