「復讐のためだなんてつまらんよ」
「ではなぜ?」
「楽しいからだ」
1936年9月、シカゴの隣町ジョリエット。恐慌の余波は未だ根強く景気はどん底。ペテン師フッカー(演:ロバート・レッドフォード)は仕事仲間ルーサー(演:ロバート・アール・ジョーンズ)やエリーと組んで大金をくすねる。しかしそれは元々大物ギャング・ロネガン(演:ロバート・ショウ)の取り分であり、報復としてルーサーは彼の手下に殺害される。ルーサーの生前の忠告に従い、フッカーはシカゴまで天才イカサマ師ゴンドーフ(演:ポール・ニューマン)の許を訪ねる。相手は抜け目のない大物ギャング、カネに目がない悪徳刑事スナイダーに追われながら、亡き友のためペテン師の誇りをかけた弔い合戦が幕を開けた!
「明日に向って撃て!」(1969)以来のニューマン×レッドフォード×ジョージ・ロイ・ヒル監督が実現し、第46回アカデミー作品賞を受賞。一時忘れられていたスコット・ジョプリンにの一連のラグタイム作品は、本作の劇伴としてマーヴィン・ハムリッシュの手によって甦ることとなった。
いや、爽快痛快愉快!恥ずかしながら本作をちゃんと観るのは僕にとっては今回が初めてである。今から14年前、大学の講義で本作を観る機会はあったが、4〜5限という1日の中で大学生の脳細胞が最も死滅している時間帯に観せられたため、あえなく睡魔の餌食となって肝心な部分を観損ねたのである。だが自分可愛さに自己弁護させてもらうならば、僕は当時の自分に「いい仕事をした」と言ってやりたい。当時、自称"清廉潔白な"大学生だった僕は麻雀もパチンコも競馬もしたことがなかった。もちろん当時観ても作品そのものは面白かっただろう。しかし社会人になって、生計を自分で立てるようになり、社会勉強として多少なりとも(もちろん合法の範囲内で)競馬を多少なりとも理解するようになってから観たことで最終盤の爽快感は格別なものとなったのではないか。つまりこれは古典ではなく「自分で金を稼ぐことが出来るようになって初めて観ることが許される作品」なのである。
予想が二転三転する怒涛の展開に思わず声を上げながら、それでいて軽快なラグタイムによって一切の嫌味がなくさっぱりとした爽快感に終始包まれる。「ジ・エンターテイナー」が最も有名だが、個人的には決戦前夜の「ソラス」の哀愁を推したい。メインどころを除いて双方取り巻きが皆似たような顔つきで途中誰が誰だか見失いかけたが、それもあって終盤の驚きが更に増した。練りに練り上げられた脚本の妙、堪能しました。
ところでさ、今日の馬券はどうよ?え、複勝?はぁ?いやお前さっき「単勝」って言ったじゃんか?おいそこ、鼻を擦るな!