リンカーン

りんかーん|LINCOLN|LINCOLN

リンカーン

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レビューの数

177

平均評点

70.5(999人)

観たひと

1523

観たいひと

230

(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION and DREAMWORKS II DISTRIBUTION CO., LLC

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / 歴史劇
製作国 アメリカ
製作年 2012
公開年月日 2013/4/19
上映時間 150分
製作会社 DreamWorks Pictures=Twentieth Century Fox Film Corporation=Reliance Entertainment =Participant Media= Amblin Entertainment= Kennedy/Marshall Company, The=Imagine Entertainment= Office Seekers Productions= Parkes/MacDonald Productions
配給 20世紀フォックス映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/DTS/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が、奴隷解放に尽力し今でも敬愛されている第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンを描いた人間ドラマ。「マイ・レフト・フット」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で2度アカデミー賞主演男優賞を獲得したダニエル・デイ=ルイスが、苦難の道をたどる偉大なる大統領を熱演し、第70回ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を受賞している。ほか、「メン・イン・ブラック」のトミー・リー・ジョーンズ、「アメイジング・スパイダーマン」のサリー・フィールド、「LOOPER/ルーパー」のジョゼフ・ゴードン=レヴィットらが出演。本作は第85回アカデミー賞に作品賞、監督賞をはじめ12部門にノミネートされた。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

貧しい家に生まれ、学校にもろくに通えない中、苦学を重ねてアメリカ合衆国第16代大統領となったエイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)。当時アメリカ南部ではまだ奴隷制が認められていたが、リンカーンはこれに反対していた。リンカーンの大統領当選を受けて、奴隷制存続を訴える南部の複数の州が合衆国から離脱しアメリカは分裂、さらに南北戦争へと発展する。自らの理想のために戦火が広がり若い命が散っていくことに苦悩するリンカーン。しかしついに彼は、合衆国大統領として、そして一人の父親として、ある決断をくだす……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年5月上旬号

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「リンカーン」

2013年4月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「リンカーン」

巻頭特集「リンカーン」:インタビュー スティーヴン・スピルバーグ(監督)

巻頭特集「リンカーン」:インタビュー ダニエル・デイ=ルイス

巻頭特集「リンカーン」:コラム スピルバーグはアメリカでどう評価されてきたか

巻頭特集「リンカーン」:作品評

巻頭特集「リンカーン」:エッセー 猿と野人と吸血鬼 リンカーンの物語、物語のリンカーン

巻頭特集「リンカーン」:作品評

2023/09/02

2023/09/02

80点

購入/DVD 


アメリカの原点

本作はリンカーンという伝説的な政治家の自らの奴隷解放という信念の制度的実現と南北戦争という内戦の終結のための最高司令官としての職責の遂行をリアルな政治家としての妥協や猟官利用といった交渉術を駆使した姿を描く。
同時に息子をの1人を失った妻の悲嘆(精神的不安定)や戦場に志願する長男との葛藤など家族人としての喜怒哀楽を描く。
奴隷解放が達成されなければ戦争は終わらないという信念がどこに由来するのか描かれていないが、その執念は彼の政治家としての責務とする執念はよく描かれている。
利害の対立と考えの違いを多数派工作のために妥協と権謀術数を駆使する政治の現実を丹念に地道に描くことは決して派手なものではなく映画としては退屈に見えることは否定できない。
それでも奴隷解放の制度的保障としての憲法修正13条の議会の議決は描かれたことはアメリカの法の下の平等、奴隷的拘束の禁止という理想を確立し、後の歴史で我が国の憲法にも生きてくることになる。
その意義の大きさはスピルバーグがDVDの日本語版の冒頭で日本人向けに特にメッセージを発していることからも伝わる。
またスピルバーグがアミスタッドやカラーパープルで奴隷解放に関連する映画を描き続けた執念からもよくわかる。
恐らくこの理念は他の人種や民族にも等しく適用されるために重要な政治的プロセスであったことを本作で描かれなければならない宿命だったのだろう。
主役のDDルイスや妻役のSフィールドの姿も実際の人物像に見まがうほどのレベルで熱演が素晴らしい。
アメリカの原点を知る上で見ておくべき作品だ。

2021/07/13

52点

選択しない 


全く記憶に残ってない(点数は当時のもの)

ストーリー 8
映像 8
演技 18
また見たい度 3
その他 15

計52

2021/04/24

50点

選択しない 


公職を餌に野党議員を一本釣りする手法が凄い

 原題"Lincoln"。ドリス・カーンズ・グッドウィンの伝記小説"Team of Rivals"が原作。
 アメリカ大統領リンカーンの最後の4か月を描いたもので、奴隷解放宣言を恒久化するための憲法修正第13条を下院で可決するために、野党の民主党議員たちの多数派工作に奔走する様子を描く。
 4年間続いた南北戦争に疲弊した南部が和平交渉に乗り出す前夜、その前に修正第13条を可決しなければ奴隷解放令が反故にされると危ぶむリンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、閣僚と共に奴隷解放急進派タデウス・スティーブン(トミー・リー・ジョーンズ)に妥協を促し、民主党の一部議員を寝返らせて可決に持ち込むが、下院選に落選して任期終了間近の民主党議員に公職を餌に釣るという手法が、今なら買収で凄い。
 目的のためには手段を択ばずという民主主義に非ざる独裁政治だが、結果オーライでヒューマニストな大統領として名を遺すのも、正義の通用しない前時代だからということになる。
 奴隷解放をめぐる経緯やリンカーンの妻メアリー(サリー・フィールド)が精神病だったりといったことが興味深いが、歴史上の事物としてアメリカ人ほどには身近に感じられず、偉人の生臭さ以外には特に感じ入るものはない。
 むしろ奴隷解放急進派のタデウス・スティーブンの方が興味深く、「人種の平等」でなく「法の前での平等」を目指すと詭弁で妥協するが、黒人女性が内縁の妻だったという描写がスピルバーグらしくて胸を打つ。
 南北戦争終結後、軍紀違反者の処刑について、戦争が終わってなぜ人が死ななければならないのかとリンカーンに言わせるのもスピルバーグらしい。
 ダニエル・デイ=ルイスが、理知的で人格者の理想的なリンカーンの偉人像を演じてアカデミー主演男優賞。

2021/01/14

2021/01/15

65点

購入/DVD 
吹替


二大政党は今も、利害絡みの泥沼状態。

スティーブン・スピルバーグ監督による、憲法修正13条・伝記・感動エンターテインメント。
🎩・・・🧤・・・🧭🌎・・・👨‍⚖️・・・🐎💀・・・🧔🔫
1865年1月、南北戦争は終わりが見えかけていた。その中、アメリカ大統領リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)は憲法修正13条の可決を急いでいた・・・。

(民主主義の指針、奴隷解放で有名なリンカーンの歴史に残る1か月を描いている。憲法修正13条(奴隷制度廃止)を通すために奔走した話。)
(スピルバーグの映画にしては地味に見えました。実話であるから仕方がないのか、リンカーンの自伝として切り取ったところは、下院での票集めであった・・・。)
(存在する悪(奴隷制度)を否定する、見て見ぬふりをしないリンカーンの哲学には尊敬の念を覚えます。)

2020/09/21

2020/09/21

100点

購入/ブルーレイ 
吹替


民主主義の姿

映画は、ゲティスバのーグ演説の再現で始まり、第二次大統領就任演説で終わります。

時代は古く、日本では幕末の時期に当たります。
幕末の日本では、少数の人々が密室で決定し、戦争で決着させました。
幕末の頃のことは、正確にはわからないので、教科書でさえ恣意的に記述されている状態です。
現在の日本は、少数の人々が首相を密室で決定し、形だけの総裁選挙を行うだけで、なぜ首相に選ばれたのかについては推測にすぎず、どのようなことが行われていたのかを知ることさえできません。
現在の日本は、法律について会議で議論せず、記録に残らず、強硬採決しているので、どのような議会工作をしているのかさえ分かりません。
日本は、幕末の頃と現在とで違いはなく、進歩も、進化もありません。

米国の政治と戦争に関する映画です。
日本とは違う米国の政治についての知識と、日本ではない米国の地理に関する知識が必要です。
リンカーンが置かれている政治状況と戦争状況を理解し、リンカーンが行ったことが理解できないと楽しめない映画です。
米国では、会議で議論し、記録し、採決しているので、正確に当時のことがわかります。
ジョリー夫人は、リンカーン大統領に、自分の意見を、空気を読まず、忖度することなしに、率直に自分の意見を述べています。
政策に対して自分の意見を持っている日本人はいるのか、首相に対して言えるのか、日本の首相は、有権者の政策に対する意見を聞き出すことができるのかと考えさせられるシーンです。
議会工作は、理解できれば、楽しく鑑賞できます。

リンカーンの有名なゲティスバーグ演説と第二次大統領就任演説を知らないと何も感じることはできないです。
高木八尺・斉藤光訳『リンカーン演説集』を購入し、読んでみることをお勧めします。
映画を鑑賞するだけでは、理解できないので、分からないことは、分かるまで自分で調べる必要があります。
色々なことが理解できるようになると、リンカーンの何気ない一言一句が、名セリフになり、心に響きます。

複雑な時代だからこそ、「我々は、始まりは等しい、それが原点だろ。差がない、それが公平さだ。それが正義だ」という原点に回帰するべき「今」観るべき映画です。

2020/07/20

2020/07/20

78点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


ダニエル・デイ=ルイスの演技につきる

感情を抑制し、直接返答したくない時には逸話ではぐらかす、信頼している腹心にさえ内緒で事を進めたり、ここぞと言う時には声高に主張し、思わず妻に本音を言ってしまう、息子に平手打ちしてしまう等々、作品全編を通じてリンカーンを創り上げた彼の演技に脱帽です。
作品的には、前半は、リンカーンの二重三重?の裏工作が重なり、時々ストーリーに追いつけませんでしたが。後半のトミー・リー・ジョーンズの現実的な議会スピーチから一気にテンションが上がってきました。
リンカーンの高潔さが奴隷を解放したのではなく、裏工作によって達成された事を知ることにより、より一層彼の苦悩が理解出来た作品でした。
作品全体として、議会内、ホワイトハウス内、家庭内等の室内が多く、暗めのなので、前半はスリリングさに乏しかったです。同じ政治家ものでも『チャーチル』の場合には性格が真逆なので、その暗さが逆にチャーチルの陽を引き立てた感があります。本作は、リンカーンの心の内の葛藤を表現していた様に思えます。
前半、もう少し観客を惹きつける工夫が欲しかった気がします。強烈な個性を対立させるとか。トミー・リー・ジョーンズがその役だったのですが、彼もダニエル・デイ=ルイスに負けないリアルな演技だったので、エンターテイメント的な要素が薄れました感もあります。『ペンタゴンペーパー』は、メリル・ストリープとトム・ハンクスの陰と陽が高いレベルでバランス良かったし、時に逆転するのが爽快でした。その分、当作品は徹底したリアリズムだったのですが。