映画は、ゲティスバのーグ演説の再現で始まり、第二次大統領就任演説で終わります。
時代は古く、日本では幕末の時期に当たります。
幕末の日本では、少数の人々が密室で決定し、戦争で決着させました。
幕末の頃のことは、正確にはわからないので、教科書でさえ恣意的に記述されている状態です。
現在の日本は、少数の人々が首相を密室で決定し、形だけの総裁選挙を行うだけで、なぜ首相に選ばれたのかについては推測にすぎず、どのようなことが行われていたのかを知ることさえできません。
現在の日本は、法律について会議で議論せず、記録に残らず、強硬採決しているので、どのような議会工作をしているのかさえ分かりません。
日本は、幕末の頃と現在とで違いはなく、進歩も、進化もありません。
米国の政治と戦争に関する映画です。
日本とは違う米国の政治についての知識と、日本ではない米国の地理に関する知識が必要です。
リンカーンが置かれている政治状況と戦争状況を理解し、リンカーンが行ったことが理解できないと楽しめない映画です。
米国では、会議で議論し、記録し、採決しているので、正確に当時のことがわかります。
ジョリー夫人は、リンカーン大統領に、自分の意見を、空気を読まず、忖度することなしに、率直に自分の意見を述べています。
政策に対して自分の意見を持っている日本人はいるのか、首相に対して言えるのか、日本の首相は、有権者の政策に対する意見を聞き出すことができるのかと考えさせられるシーンです。
議会工作は、理解できれば、楽しく鑑賞できます。
リンカーンの有名なゲティスバーグ演説と第二次大統領就任演説を知らないと何も感じることはできないです。
高木八尺・斉藤光訳『リンカーン演説集』を購入し、読んでみることをお勧めします。
映画を鑑賞するだけでは、理解できないので、分からないことは、分かるまで自分で調べる必要があります。
色々なことが理解できるようになると、リンカーンの何気ない一言一句が、名セリフになり、心に響きます。
複雑な時代だからこそ、「我々は、始まりは等しい、それが原点だろ。差がない、それが公平さだ。それが正義だ」という原点に回帰するべき「今」観るべき映画です。