不満はあるのですが、初鑑賞時よりも面白く観れました
札幌から療養のため北海道東部湿地帯の叔母の家に滞在することになった杏奈。
ほどなくして、もう何十年も空き家の「湿っ地屋敷」で金髪の少女マーニーと出逢う・・・
といったところから始まる物語で、初鑑賞時のレビューでは、「愛されていないと思い込んでいる少女・杏奈が、実際に愛されていない少女・マーニーと出遭って、実は自分は愛されていることに気づく」物語、と書いています
そこのところは変わりません。
が、マーニーが杏奈の祖母で・・・というのはすっかり忘れてしまっており、今回、途中で思い出しました。
あれ、この設定、最近、別の外国映画でもあったような・・・
さて、米林監督の微妙さは今回観ても変わらず、少女ふたりのアップになった際のアニメートに繊細さは感じられるものの、引きの画が動いていなくて、やはり残念。
杏奈がひとりボートで「湿っ地屋敷」に引き寄せられるシーンも、引きの画が足りず、簡単に引き寄せられるあたりは演出力不足を感じました。
また、屋敷での描写も、色調に変化が乏しく、ぬめり感が不足しているように感じました。
このシーンは、怪奇譚として描かないと観ていてもワクワク感に欠けるので、マリオ・バーヴァ映画のような妖しい雰囲気が欲しかったですね。
その他、時代設定が観ていてすぐにわからないのも難点。
2014年に製作されているけれども、杏奈が生きている時代は60年代後半、昭和40年代の前半あたり。
世間では、東京オリンピックも終わって、次は大阪万博だ、という時代。
もしくは、もう少し時代が下がって、まもなく札幌オリンピックだ、というあたり。
マーニーが少女として生きていた時代は戦前なので、なおさらバーヴァ的な濃い陰影が欲しかったです。
ま、演出意図として、時代や場所は特定しないという方針があったのでしょうが、それがいい方向には働かなかったかな。
場所的には、北海道東部釧路湿原の南側の海に面したあたりでしょうか。
厚岸を東に過ぎたあたりが、この映画の風景に似ているように思いました。
といろいろ不満はあるのですが、初鑑賞時よりも今回の方が面白く感じました。
10年ほどの間に、こちらもいろいろと知ったこともあるからでしょうね。