オープニングから殺し屋ゴンの派手な銃撃アクションがあり圧倒される。アクション映画はこうでなければ、
と韓国映画人の思い切りの良さが伝わる。ちゃんと大量殺害前に鍵となる少女のショットを挿入。この
最初のヤマ場でゴンのつらい出発点が描かれる。誤って少女を殺害、第一級のプロを自任するゴンに
消し去ることの出来ないトラウマを植え付けた。しかも依頼されたデータの回収も出来なかった。
以上がアメリカ本土の出来事。ゴンはアメリカ生まれの韓国人二世で、アジア系マフィアの殺し屋。
ロシアン・マフィアにデータを売りに来た韓国人と娘の親子を殺したことになった。
では韓国の事情はどうか。殺された男は三人にメールを送っていた。データはこの三人に渡っている
可能性がある。アジアン・マフィアは三人の探査と殺害にヒットマンを送る。ゴンは殺した娘の母親
モギョンの担当となった。このモギョンがキャラクター設置が凝っている。投資顧問会社のやり手役員で、
アメリカ育ちのジョン・リー社長の信頼が篤い。ところがリー社長は裏社会の実力者でマネーロンダリング
が本業。中国マフィアの巨額の資金が命綱。
モギョンは殺された夫とは二年間の別居があり、愛情は薄い。娘を連れてアメリカへ行ったことがモギョン
の最大の後悔となった。最愛の娘を失い、認知症の老いた母を抱え、アクション映画の情感を担当する。
ゴンにとってもアメリカでの母の自殺を経験し、地獄を見た男、モギョンの苦しみにも共感する。ついに
モギョン暗殺は放棄、ジョン・リー社長一派、アメリカからやって来た重装備のアジアン・マフィアとゴンの
戦友だった男、中国のヒットマン、そして韓国警察と組んずほぐれつの戦いに突入。
派手な銃撃は現代韓国映画のパワーを見せつける。
ラストシーンは映画的な余韻が満ちていて、まことにカッコイイ。