『心はあなたのもとに』という村上龍の小説がまさに同じような糖尿病の若い女性を題材としていた。そしてまた自分の身内にも同じ症状の家族がある加減で、この映画のジュリア・ロバーツを他人と思えない。生きていることを当たり前と思えない。
しかし映画はそうした深刻さを感じさせず、田舎町の美容院を中心に展開する群像劇だ。『パーマネント野ばら』の世界。その町の中心に話題が集まる。
それにしてもすごい女優がそろったものだ。この豪華女優陣を束ねるハーバート・ロスは1970年代後半から80年代に活躍した、いわゆりアメリカンコメディの中心。彼の映画には嫌味がない。だから見ていて不愉快にならない。敢えて言うとこの映画のシャーリー・マクレーンが嫌味な役ではあるが、最後にそれにも意味があることが示される。
どの俳優にも思い入れがある。それが結実した素晴らしい映画だった。