街の灯(1931)

まちのひ|City Lights|City Lights

街の灯(1931)

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レビューの数

103

平均評点

84.0(547人)

観たひと

887

観たいひと

61

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1931
公開年月日 1934/1/20
上映時間 87分
製作会社 ユナイテッド・アーチスト映画
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダ-ド
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演チャールズ・チャップリン The_Vagab_nd
ヴァージニア・チェリル The_Blind_Girl
フローレンス・リー Her_Grandmother
ハリー・マイヤース The_Excentric_Gentleman
アラン・ガルシア The_Butler
ハンク・マン The_Prize_Fighter

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「サーカス」に次ぐチャールズ・チャップリン作品で、例によって自ら原作脚色監督主演したもの。カメラはチャップリン映画専属のローランド・トセローがゴードン・ポロック及びマーク・マークラットを助手としてクランクしている。助演者はこの映画でデビューしたヴァージニア・チェリル、ハリー・マイヤース、「進めオリンピック」のハンク・マン、アラン・ガルシア等である。チャップリンは発声映画反対主義であるから、台白は用いず擬音と伴奏楽のみを付してある。なお本邦上映の分には日本字幕が挿入されている。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ある都で盛大な銅像除幕式があった。紳士貴女こもごも立って祝辞を述べた後に、いざ像を覆っていた幕が引き下されると、驚くベし、この像の上には一人のみすぼらしい小男が眠っていた。で、人々の驚駭と叱声の中に、この小男は狼狽して逃げ出したのであるが、こうして宿をも失われたこの浮浪者にとっては身投げでもするより外にすることがない様に思われた。ところが、この浮浪者が、計らずも、街角で花を売る娘を見て胸を踊らせたのである。しかも、この盲目の娘は彼女に大金を恵んだ紳士が彼であると思い込んで彼の手を握っては感謝の言葉を述べるのであった。そうなっては、彼も男であった。彼は初恋に胸をときめかせ、そして働いて金を儲け彼女と交際しようと考えた。そして、まず街の清掃作業員になった。で、金が入ると、彼女の家へ堂々として紳士らしく訪問していき、いじらしい盲目の娘が、つつましく彼と話をしたり、やさしく微笑んだりするのを眺めては、思慕の情を高じていた。が、恋というものは、仲々成らぬものである。彼は職を失った。その上に娘は病気になった。大切な恋人の病を癒す大金がいる。そこで彼は賞金目当てにボクシングに飛入りした。が、所詮は素人の小男の彼だった。リング上を修羅の如くに暴れ廻りはしたが、遂には彼は手痛く叩きのめされてしまった。絶望だった。暗い夜だった。彼はトボトボと街を歩いた。すると、その彼の目の前に現われたのは、酔っ払いの百万長者だった。この金持ちは酔うと、やア親友と、叫んでは浮浪者たる彼の首っ玉にも跳びつく癖のある男で、彼も幾度かその邸宅に引っ張られて夜を明かしたことがある、が、ただ残念なことには、酔いがさめると、もう全然酔中のことは忘れているということであった。で、金の探索に困り抜いていた彼は金持ちにこの由を相談すると、そこは大金持ちでその上に酔っていたので、金持ちは大いに気前よく彼を我家に招じたうえに金1千ドル也をポンと投げ与えた。が、間の悪い時には悪いもので、ここへ強盗が押し込んで来て、そこに活劇となり金持ちは叩きのめされた。で、正気に返ると金持ちはもう先刻の親友を認識してはいない。こいつは強盗の仲間だ、というので彼は弁解も聞き入れられず、罪もないのに捕まえられてしまった。が、でも、彼は、一寸した隙に1000ドル娘に届けることだけはできた。それから年は過ぎて、無実の刑に服した彼が、また町に出て来たとき、裟婆の風は冷たく彼を吹いた。むごく、わびしい人生だった。が、その彼はふと、ある花屋の前に立つと、その店内に、いそいそと立ち働くかつての盲目の恋人を見つけた。あの1000ドルで彼女は目も見えるようになったらしい。だが、それとは知らぬ娘は、いつまでも店の前に立っている彼を見て、これはお乞食さんだと思った。だが、気立てのいい彼女は、なにがしかの金を彼に恵んでやろうと、店から出てきた。そして金を彼の手中に押し入れた。が、そうして手に触ったとき、かつての記憶が呼びかえった。あなたでしたか.....。この言葉が娘の口から漏れたときは彼も娘も、もう千万無量の思い出、じっと顔と顔とを見合わせて突っ立っていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年10月号

巻頭特集 恋愛以上の恋愛映画:Chapter02 あまりに特別な恋愛映画10本 「街の灯」

2023/05/05

2024/06/27

75点

映画館/群馬県/高崎電気館 
字幕


その手のぬくもりを覚えてる

その人の優しさを、その手のぬくもりで覚えてる。
調子のよいだけの男がただ何となく買った花一輪。
ただの通りすがりの一度きりの出会いのはずだったのに
いろんなことを知ってしまったがゆえに
何かをしなくてはならないという使命感に囚われてしまう。
そんなすごい人じゃないのに…
ただのお調子者だと自分でもわかっているのに…

でもその真摯さを、その優しさを
目で見る事の出来ない彼女は手のぬくもりで感じてた。
いつかどこかで御礼を…
叶わない微かな願いを、触れることで感じ取れたラストシーン。

ただただ温かい。

2024/06/20

2024/06/20

90点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


珠玉のラスト

馬が走り、象も歩く街で、あるモニュメントの除幕式が行われています。祝いのスピーチには、言葉にならない言葉が使われています。トーキーに対する反発です。さらに、幕が外れると、白い像の上に黒い服のチャップリンが、今目を覚ましたと登場します。冒頭から、この作品も徹底的にサイレントであると宣言しているのです。

 盲目の花売り娘との出会いがあります。ほんの短いシーンですが、彼女がチャップリンを金持ちと思うアイデア(車のドアの閉まる音)が上手くいくまで何度も取り直しています。

 また、酔うとチャップリンを友だちと思う富裕層の男が出てきて、「巴里の女性」のように彼の家やパーティ会場に迫力があります。チャップリン自身が金持ちだからです。しかし、彼の偉大なところは生涯弱い立場の者のことを忘れなかった。

 ドラマは、彼がこの娘のために働くまではもたついている感じがします。しかし、ボクシングのシーンで精度が上がってきます。審判といっしょに、戦うリズムを刻むのが愉快です。
 そこで失敗して、富裕層から金をもらうのですが、泥棒が入り、あらぬ容疑をかけられてしまいます。この場面の光と影も見ものです。
 彼女にお金を渡し、再び出会うことになる街角で警察に捕まります。

 ラストシーンもテイクの繰り返しですが、なんと女優までが一回変わってしまいます。「黄金狂時代」のヒロインでOKまで出ます。しかし、再びこの女優に戻って完成するのです。
 出会いのシーン以上に、できうる限りの全ての努力の果てにこのシーンができています。本当にすごいです。

2024/05/17

2024/05/17

76点

VOD/U-NEXT 


チャップリン作品と向き合う④

ネタバレ

・見事な作品 映画史に残る作品であることが今見ても実感できる
・王道のコミカルなコントが完全に完成 最初の除幕式、盲目な彼女とのやり取り、酔っぱらうと友達とみなす金持ち、ボクシングや仕事場で石鹸を食べさせるシーン どこをとっても無声ながらコミカルな内容と展開が伝わる
・盲目な彼女に感情移入し恋するチャップリン 家賃が払えない中で何とか仕事をし工面するチャップリン 不器用なチャップリンの言動と結果、お金は酔っ払い金持ちから工面したものの泥棒に間違われることで盲目彼女と会えなくなる流れ 最後の差異化のはかなくも美しいハッピーエンドへの伏線の積み重ねが素晴らしい
・無声映画でありながら、少ない字幕と表情手振りで伝わる演出 盲目の彼女の視線を外した演技と目が治った後の対比、正体が分かった場面のチャップリンの哀愁の表情 豊かな演技が垣間見れる
 

2024/04/28

2024/05/04

79点

VOD/U-NEXT 
字幕


チャップリンをちゃんと見よう④

随所に笑いを散りばめながら、作品全体に漂う雰囲気はどこか物悲しい。
過去作は少々一本調子なストーリーが多かったが、本作は酔った時だけチャップリンの記憶が鮮明な富豪との掛け合いが、話のアクセントになっているのが面白い。

感動的な大団円のラストは、チャップリンの作品の中では最も綺麗な完結だと思います。人間の本質は体温に宿るということでしょうか。

2024/04/28

2024/04/29

85点

レンタル 
字幕


良心の原点

チャップリンの一連の作品をアメリカのみならず、日本を初めとした世界中の人が見て、感動し、涙する。映画って素晴らしいものだという基礎を作った一作なのかなと想像する。

2023/10/04

2023/10/05

80点

テレビ/無料放送/TOKYO MX 


サイレントからの過渡期

ネタバレ

1920年代後半に始まったトーキー映画に反発していたチャップリンは、反面時代のトレンドに対し不安もあったようで本来サイレント映画の本作に音楽と音響を加えている。
その音楽もチャップリンの作曲で以後彼の作品ほとんどの音楽も担当し名曲を世に出している。
彼がトーキーに対して反発していたのは彼のパントマイムや誰にでもわかるアクションの単純な面白さに対する絶対的な自信から来たのだろうが、後の作品を見ると結果として音声も彼のテーマを伝えることに成功している。
ただアクションの映像の単純な面白さは同様だが音声によって彼の政治的メッセージがより明確になったことはその後の映画人生を大きく変えたことは明らかだ。
その過渡期の本作は、いつもの浮浪者チャーリーが格差の大きい大都会で浮いた存在として登場し、貧しい目の見えない花売り娘と自殺しようとした富豪の男との出会い、物語の骨格となる。
目の見えない花売り娘への恋心と彼女のお金持ちとしてのチャーリーに対する思慕はよく語られるところだが、自殺しようとした富豪の男との関係は余り語られない。
しかし本作の舞台である大都会での富豪の自殺願望(酔うとそうなる)が1929年に怒った大恐慌に関連していることは明らかで、命を助けられた(このシーンのギャグは教科書のようだ。)富豪がチャーリーに感謝し親友扱いをする。
ところが酔いがさめるとチャーリーのことを忘れ浮浪者扱いとする。
ここに富豪の2面性(表面的な理性と隠された親しみある感情、並びに資本家と裸の人間)が描かれ、チャーリーを翻弄する。
このタイプをアルコールを通じた関係として戯画化し、皮肉る。
一方で目の見えない花売り娘が目が見えるようになって、若く素敵な紳士が花を注文した後で、チャーリーが新聞売りの少年たちにいたずらされた後でみすぼらしい姿で再会する。
彼女はその浮浪者姿のチャーリーを恩人とはわかっていない。
ただ彼女を見つめ、好意が伝わる中で胸ポケットに挿していた花が散ってしまった様子を哀れんだ花屋の彼女が花を渡したとき手の感触と彼の「目が治ったんだね」というセリフで恩人だと気ずくのだ。
その時のチャーリーの喜ばしくも恥ずかし気な複雑な表情は、永遠にチャップリン映画のアイコンとなった。
ただそれは驚きと戸惑う娘の表情の後のシーンのため、今後二人はどうなるのだろうといらない予想もしてしまう、本作の微妙なエンデイングの印象となった。