女の争いが描かれるが政治劇が薄いのが少々物足りない
原題"The Favourite"で、お気に入りの意。
18世紀初頭アン王女治世下のイギリス宮廷が舞台の史劇。
没落貴族の娘アビゲイル(エマ・ストーン)がアン女王(オリヴィア・コールマン)側近で従姉のマールバラ公爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)を頼って宮廷の女中となり、野心と才覚によってのし上がっていくという物語。
この3人の関係を中心に物語は進行していくが、流産・死産を含め17人の子全員を失い情緒不安定な女王を同性愛で操るサラの秘密を知ったアビゲイルが、それを武器に女王に接近。女王を性的に満足させ、女王が17人の子の代わりに飼う17匹のウサギを可愛がり、女王の寵愛を獲得して寝室付女官となる。
さらに薬草の知識に詳しいアビゲイルはサラに毒を盛って遠ざけ、マールバラ公の戦費横領を申し立て夫婦を国外に追放する。
サラに代って女王側近となるが、アビゲイルの傲慢さに気づいた女王との関係が冷えるまで。
女の争いだけでなく、スペイン継承戦争を巡ってサラが主戦派、アビゲイルが非戦派という政治要素の絡むのが面白いが、こちらの描写は薄いのが少々物足りない。
アカデミー主演女優賞のオリヴィア・コールマンが圧巻の演技。