あの日、あの時、固く握り合った手は引き離されてしまったけれど
あの時に感じた手の痛み、体温の温かさは2人にしかわからない確かな絆。
ちゃんと説明できたとしても理解してもらえるわけじゃない。
今はそれがわかる。
運命が悪戯をして、私たちを再び引き合わせたのなら…
あの日、あの時、固く握り合った手を今度こそ離さずに
一緒に観たかった月を眺めよう。
安住の地なんてなくてもいい。
2人が一緒ならそこが安住の地。
何処に行ってもあの日の月は私たちを見ていてくれる………
物事の一面しか見ていないという事を教えてくれる作品が最近多くなってきているような気がします。SNSを通じて簡単に誹謗中傷が蔓延してしまうからでしょうか?
2人の出会いは確かに誘拐事案だったのかもしれない。
でもお互いの事(環境)をしっかり聞き取り調査できていたら
少なくても更紗にとってはシェルター的場所だったとわかるはず。
もちろん、文が完全なる正義の人だったわけじゃないかもしれないが
少女が加えられる性被害からの逃避という意味では充分に役割を果たしたのだから何も罰する必要はなかったはず。
その一件でついてしまったレッテルが2人に重くのしかかる。
再び出会ってしまったことで運命の歯車が回り始める。
回り始めた物語は2人がその手を固く握りしめるまでの時間がとてもつらいけれど
握れてしまえばそれで全て報われるのだろう。
幸せはその手の中にあるのだから。
もう………松坂桃李さんと横浜流星さんの演技に圧倒されっぱなし。
他の作品と全く雰囲気から違う2人。
松坂さんの生気のない、まるで幽霊のような雰囲気と
心の傷に由来するからか、女性に対しての支配欲と依存欲の塊のような流星さんの狂気が本当に凄かった。
この2人を観るだけでも価値のある作品だけれど
文と更紗の、2人だけしかいない世界という辛さと温かさを感じてほしい作品です。
とても素敵な作品でした。