茲山魚譜 チャサンオボ

ちゃさんおぼ|자산어보|THE BOOK OF FISH

茲山魚譜 チャサンオボ

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レビューの数

17

平均評点

78.0(51人)

観たひと

77

観たいひと

4

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基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 伝記 / ドラマ
製作国 韓国
製作年 2021
公開年月日 2021/11/19
上映時間 126分
製作会社 Cine World
配給 ツイン
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声 5.1ch

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演ソル・ギョング チョン・ヤクチョン
ピョン・ヨハン チャンデ
イ・ジョンウン 
リュ・スンリョン 

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第57回百想芸術大賞にて大賞を受賞した、「金子文子と朴烈」のイ・ジュニク監督による全編モノクロームの韓国時代劇。島流しされた学者のヤクチョンは、海の生物たちに魅せられ、庶民のための海洋学書を書き記そうと決心。漁夫のチャンデとある取引をする。韓国の海洋生物学書『茲山魚譜(チャサンオボ)』に記された史実を基にしている。「殺人者の記憶法」のソル・ギョングと日本映画「太陽は動かない」に出演したピョン・ヨハンが、師弟関係となる天才学者と青年漁師を演じる。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1801年、朝鮮。キリスト教が迫害される中、熱心な教徒だった天才学者チョン・ヤクチョン(ソル・ギョング)は島流しにされる。しかしその最果ての島には豊かな海と自然があり、島の人々と触れ合ううちに、海の生物たちの魅力にとりつかれていった。ヤクチョンは庶民のための海洋学書を書き記そうと決心。島民の誰より海の生物に詳しい青年漁師のチャンデ(ピョン・ヨハン)と出会い、やがて二人は互いにとっての師となり友となっていくが……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2021年12月上旬号

REVIEW 日本映画&外国映画:「茲山魚譜 チャサンオボ」

2021年11月下旬号

現代韓国映画の奥行き:「茲山魚譜 チャサンオボ」 インタビュー イ・ジュニク[監督]

2024/06/25

2024/06/25

77点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


「泥をすする」の意味

しみじみと心に響いてくる1本でした。真の教養とは何か。思想信条の違いをこえてお互いを理解しようとする気持ちなどが19世紀初頭の朝鮮の離島を舞台に丁寧に紡がれます。

キリスト教を信じ「西学」を信じる故に先王の信頼が厚かったにも関わらず王の死後の政変で流刑になった男ヤクチョン(ソル・ギョング)。島で両班の父の婚外子として育ち漁師として生きる若者チャンデと出会い、魚類を図鑑にまとめることを思い立ちます。

ヤクチョンが自分の信条にストイックなだけでなくほどほどに?欲があるのがリアル。恩赦を期待したり、自分の名を書くのが精いっぱいという島のトップに管轄する道長官と懇意であることを匂わせて島での待遇を確保したり。

種と畑の関係を男女と重ね合わせどちらも大切と語るシーンがとてもいいと感じました。畑や土壌が豊かでないと種は育たない。

書を読むだけでなく人生経験を経て初めて学びに肉づけができ詩を詠むことができる、というのも納得です。

物語後半の「泥をすする」のダブルミーニングにハッとしました。税の取り立てが出鱈目で官吏たちが私服を肥やすなかで自分もその泥をすすり「うまくやる」のか。お金や出世から距離を置き地べたで魚を触ったりして暮らすこともまた泥だらけの道。

どちらの「泥だらけ」がよいのか、チャンデが最後に選択できてよかったな…

2024/04/21

2024/05/04

75点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


学者と漁師の面白い関係性

17世紀の韓国で迫害されていたキリスト教の信者だった学者が、極刑を免れて島流しとなり、その島で周辺の海の生物に興味を持ち、地元の若い漁師と共に海洋生物の学術書である「茲山魚譜」を執筆する、という実話を描いた作品で、漁師は字が読めたことから、海の生物についての知識を学者に教える代わりに、学者は本を与えて、漁師はどんどん博識になっていき、漁師はもっと外の世界を知りたいと思うようになり、勉強して科挙に合格して役人になる野心を抱くようになって、学者の元を離れていくけど、都会の役人たちの醜い現状に失望して島に帰る、というサイドストーリーは創作っぽいですけど、島に帰るという展開にしたのは、学者の死後にその漁師が「茲山魚譜」をまとめた。という説があるからだと思いますけど、この二人の関係が味わいがあり、学者が学術書を執筆して思想書には手を出さなかった理由なんかを含めて、面白い関係性だと思いましたね。

2022/01/04

2024/02/24

90点

映画館/群馬県/シネマテーク高崎 
字幕


多くの人の為に行うのが政治ならば…

政治は自分の欲の為に行うものではない。
チャンデの立身出世はそれそのものが自分の欲。
その先に世の為人の為という思いがあったとしても
集団の中では清廉ではいられない。
その辛さを感じるたびに思っただろう。
田舎の漁村でチョンと共に魚について談義した自由な日々を。
魚の書物を作る事の意味を理解できなかった彼も
朝廷での日々の中できっとわかったのではないだろうか?
人の為に行う政治がここにある、と。

多くの漁師が、漁村の人々が、魚を知ることで
より多くの人に対して日々の糧をより多く供給することが出来る。
その為の教本。
チョンとチャンデの間にもっと政治についての話し合いが行われていたら…
チョンがなぜ流罪となったのか、その理由を話していたら…
天主教だけが理由ではない事をチョンが話せていたら…
不正がまかり通る政治の場の、その現実を話せていたら…

茲山魚譜は2人で仕上げるべき書物だった。
2人の師弟愛
2人の友情の証なのだから。
あのラストはとても切なかった………

2023/07/23

2023/07/23

-点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


良い

2022/05/21

2022/06/06

80点

レンタル/大阪府/ゲオ 
字幕


1801年、朝鮮時代。罪人の学者と漁師、信仰する宗教も異なる若銓(ヤクチョン)と昌大(チャンデ)。相容れなさそうな二人だけれど、どちらも探求心が強く、学びを求める姿が子どもみたいで微笑ましい。中でも、学問の質問を重ねる昌大に対して、「次は私が学ぶ番だ!」と軽く憤る若銓が面白い。そして、新しい学びを求めるのは何歳からでも遅くはなく、年齢や貴賤を問わず友情を育めることを改めて教えてくれる。だからこそ、二人の擦れ違った人生と、少しでも疎遠になったことが悲しかった。ただ、離れている間も若銓は、ずっと昌大を気に掛け続けていたのだろうと思う。メインは若銓と昌大の師弟関係と友情ではあるものの、若銓の妻となるカゴ、昌大の妻で幼なじみのボンレも印象深い。特に前者は、笑顔に愛嬌があり、見ているだけでこちらまでニコニコしてしまう。

2022/03/11

2022/03/12

70点

映画館/大阪府/シネ・ヌーヴォX 


学問が二人を結びつけ、欲が引き裂く。

ネタバレ

朝鮮時代に、カトリック教徒であったが故に流刑にされた学者が、島の若い漁夫との出会いから海洋生物の解説書を書き上げるという史実を基にした作品。

ハングルの始まりや、朝鮮語の辞書の話などの作品はこれまでにあったが、こんなエピソードはもちろん初耳。学問への探究心が世代の異なる二人の男を結びつけるが、官吏として出世したいという若者の欲求がその仲を引き裂いていく。

世俗を捨て人生の本質に近づいた男の姿をモノクロ映像が効果的に描き出している。

ところで台詞の中に出る、南蛮渡来の鉄砲で攻め込んできた豊臣秀吉は朝鮮の人から見れば、今の世で言うロシア大統領と同じ。老いるほどに征服欲が酷くなったのか。