劇場で観て以来の鑑賞になりました。前回も思いました。本作の登場人物たちは、どの角度から見ても犯罪者である。だが彼らには彼らなりに、大義名分があるように見えてしまいました。
赤ん坊の里親を見つけるだけなら、違法ではない。でも里親から見返りとして金銭を受けとるのは人身売買に相当にする。立派な犯罪であり、重罪である。
しかしながら、人身売買のブローカーであるサンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)の存在がなかったら赤ん坊はどうなったか?そんなことを考えてしまう。
無力な赤ん坊は、一人では絶対に生きられない。ヒロインの母ソヨン(イ・ジウン)が養えないなら、誰かが手を差し伸べるしかないのである。
そう考えると、サンヒョンとドンスが必要悪であり救いの神に見えてしまう。
劇中では、ペ・ドゥナとイ・ジュヨンが演じた女性刑事が度々登場する。彼女らも赤ん坊は誰かが育てなければいけないことは分かっている。
人身売買の捜査をする刑事でありながら、サンヒョンとドンスなりの大義も理解しているようなのが妙であった。どちらかと言うと、女性刑事たちは赤ん坊を捨てた親への怒りの方が大きかったように思う。
確かに親に捨てられることは、不幸としか言えない。でも捨てられた後だけを考えると、施設に入れられるよりも裕福な里親に引き取られる方が幸せな人生を歩める確率は高くなるはずだ。
是枝裕和監督作品は、子供は大人に縋るしかないことを主張することが多い。これは万国共通であり、国が変わっても評価される映画作りをしているのだと感じた。