ウルトラマンはM78星雲からやってきて、科学捜索隊の隊員に憑依した
自分の人生をリセットして生きるには誰かの人生に乗り移らなければならない。設定がややこしい話である。そうまでしなければ生きていけない人生に思いが及ばない。
本作のキャラクターのような生い立ちや試練に見舞われたとしても、果たして戸籍を交換したり書き換えたりすればリセットできたと思えるものなのか、おおいに疑問だ。
それで新しく生まれ変わった人間として生きられるものなのか。人の名前を騙って得た幸福な家族団欒に差し込む影を意識しないはずはない。それでも幸せと言うのだろうか。
原作小説があるということだ。読んではいない。しかし、見ている最中に、原作のあらすじをなぞるかのような描き方が見えた。原作を映画化しても原作を描きつくすことは不可能だから、どうしても表面をなぞることがあるのも仕方ないかもしれない。あるいは省略することも理解できる。
しかし、小説と映画は違う。映画は映画で原作に依拠していても、映画として独立したものであってほしい。映画(監督)が自分の言葉で語っていないような気がしてならない。小説に引きずられ過ぎていないか。そんな思いをしながら見た。