ロストケア

ろすとけあ|----|----

ロストケア

レビューの数

100

平均評点

76.0(454人)

観たひと

622

観たいひと

32

(C)2023「ロストケア」製作委員会

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 社会派 / サスペンス・ミステリー / ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2023
公開年月日 2023/3/24
上映時間 114分
製作会社 日活=東京テアトル=東映ビデオ=東宝芸能=光文社(製作幹事:日活=東京テアトル/制作プロダクション:日活=ドラゴンフライ)
配給 日活=東京テアトル
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督前田哲 
脚本前田哲 
龍居由佳里 
原作葉真中顕
(「ロスト・ケア」光文社文庫 刊)
エグゼクティブプロデューサー福家康孝 
新井勝晴 
製作鳥羽乾二郎 
太田和宏 
與田尚志 
池田篤郎 
武田真士男 
プロデューサー有重陽一 
撮影板倉陽子 
美術後藤レイコ 
装飾稲場裕輔 
音楽原摩利彦 
主題歌森山直太朗
(「さもありなん」(ユニバーサル ミュージック))
音響統括白取貢 
録音小清水建治 
音響効果赤澤勇二 
照明緑川雅範 
編集高橋幸一 
衣裳荒木里江 
ヘアメイク本田真理子 
キャスティング山下葉子 
アソシエイトプロデューサー松岡周作 
渡久地翔 
ラインプロデューサー鈴木嘉弘 
制作担当村上俊輔 
松村隆司 
助監督土岐洋介 
VFXスーパーバイザー佐藤正晃 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演松山ケンイチ 斯波宗典
長澤まさみ 大友秀美
鈴鹿央士 椎名幸太
坂井真紀 羽村洋子
戸田菜穂 梅田美絵
峯村リエ 猪口真理子
加藤菜津 足立由紀
やす(ずん)春山登
岩谷健司 柊誠一郎
井上肇 団元晴
綾戸智恵 川内タエ
梶原善 沢登保志
藤田弓子 大友加代
柄本明 斯波正作

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

42人もの老人の命を奪い、その殺人を“救い”あるいは“介護”であると主張する連続殺人犯と、彼の罪を強く非難する検事の対決を描き、なぜ犯人は殺人を犯したのか、その真相に迫る社会派エンターテイメント。主人公の心優しい介護士・斯波宗典を松山ケンイチ、懸命に事件を解き明かそうとする検事・大友秀美を長澤まさみが演じ、初共演を果たした。監督は「そして、バトンは渡された」「老後の資金がありません!」の前田哲。現在の日本が抱える社会と家族の問題に正面から切り込み、ひとりひとりの心の中にある《正義感》を大きく揺さぶる問題作。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

早朝の民家で老人と介護センター所長の死体が発見された。犯人として捜査線上に浮かんだのは、亡き所長の訪問介護センターに勤める斯波宗典(松山ケンイチ)。彼は献身的な介護士として介護家族に慕われる心優しい青年だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は斯波が務める訪問介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。この介護センターでいったい何が起きているのか? 大友は真実を明らかにするべく取り調べ室で斯波と対峙する。「私は救いました」。斯波は犯行を認めたものの、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」だと主張する。斯波の言う「救い」とは一体何を意味するのか。なぜ、心優しい青年が未曽有の連続殺人犯となったのか。斯波の揺るぎない信念に向き合い、事件の真相に迫る時、大友の心は激しく揺さぶられる。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年6月下旬号

読者の映画評:「聖地には蜘蛛が巣を張る」渡辺綾/「愛しのタチアナ」松本淳/「ロストケア」日吉一郎

2023年4月下旬特別号

REVIEW 日本映画&外国映画:「ロストケア」

2023年4月上旬号

巻頭特集 「ロストケア」:インタビュー 松山ケンイチ、長澤まさみ

巻頭特集 「ロストケア」:インタビュー 前田哲[監督]

巻頭特集 「ロストケア」:作品評

UPCOMING 新作紹介:「ロストケア」

2024/09/19

2024/09/19

95点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/スマホ 


家族に溺れる

介護は家族を溺れさせる。

たまに息をついても、
すぐに苦しみに呑み込まれる。

終わりのない闇の中で、
体と心をすり減らし、
孤独に向き合い続ける。

親を大切にする。
自分を大切にする。

どちらも立てる事ができない毎日。

この毎日を逃れるために。
それぞれの人がそれぞれの答えを見つけていく。

自分は何ができるだろう。

2024/09/13

2024/09/13

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 


人間には見えるものと見えないものがあるんではなくて見たいものと見たくないものがある

2024/09/11

2024/09/11

81点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


家族外は非?家族なら是?

出廷シーン辺りからはバタバタ感と逃げのブレ感があり、当初描いてきた通りの芯を貫いて欲しかったと感じました

この映画は自分が介護の経験や現場を見ているかの有無で評価に差が生まれるであろう作品のように思います

他の人のレビューを拝見しましたがやはりその差で捉える重さや視点が違うように感じました

他の方のレビューにケチをつけるのは最初で最後にしますが重度の介護者を持つ立場として言わせて下さい
脚本や構成、映像に関してを評価するのはいいですが、このような重いテーマの作品に限っては例えそう思っても役者の演技がとうとか、テーマや演出と全然違う箇所をとやかく言って評価するものではないと思いますよ
当事者側から見ると折角のあなたのレビューが薄っぺらななんの価値も無い低俗なものに見えてしまいます
適材適所のレビューを期待しています

2024/08/08

2024/08/31

80点

選択しない 


塀の上に立って

 介護が介護される側、介護する側双方にとって、人生の重圧になることを身をもって経験している最中なので身につまされる。でも、かつて一時期、福祉行政の一端に関わったこともある。生活保護と介護保険の担当だった。映画のように、行政は何のあてにもならないとばかりに、躊躇なく切って捨てられるとミスリードではないかと疑う気持ちになる。
 貧しい家庭が家族だけで介護保険の最低限のサービスを使って老人介護をするときに起きる悲劇を物語の前提に置いているので、こんな設定になるのだろう。

 この映画を見て面白かったのは、介護疲れから父殺しをする息子(後の介護士)と音信不通だったわけではない娘(検事)の父親見殺しの対比に虚を突かれたところだ。
 ラストで介護士に接見した検事が告白するこの場面を見て、黒澤明の「天国と地獄」のラストを思い出した。告発する検事が後悔と罪悪感に苛まされていると告白しているのは、主客転倒してどちらが塀の中にいるのかわからないほどだ。直接手をかけていないが、介護士を告発する検事は十分罪に値すると言っているに等しい。いいところを突いている。

2024/08/31

2024/08/31

60点

VOD 


問題提起的ではない

長澤まさみと松山ケンイチの共演で、介護士による殺人事件を描いたサスペンス映画。

テーマとしては非常に重く、同時に現代的で喫緊の課題となっているもので、非常に見応えがある。しかし、映画としてはやや情緒に訴えすぎていて、あまり問題提起的ではないな、とも感じる。長澤まさみ演じる検事が、少なくとも殺人という方法でなくとも家族を救う方法があった、と具体的に反論せず、まるで犯人に巻き取られるようであることが怖い。これではまるでこの行為を正当化しているかのようだ、という批判は当然あるだろう。やはり主人公がこの行為に至った原因の出来事と実際の行為がねじれて繋がっていて、そのねじれを説明できていないところに違和感を感じるような気がする。そこに、聖書からの引用、みたいないかにも安っぽい設定を用いているところがインチキ臭い。

テーマはよいが、エモいだけで大した内容はない、というのが正直な感想。作品のイメージとは違い全体的な演出のテイストは軽めで、重厚さを感じるようなタイプの映画ではない。キャスト陣のセリフや演技も何となくクサい。原作はより社会福祉制度・介護福祉制度の問題点を追及するような作品であるとのことで、その方がよかったのでは? という気がする。

2023/06/24

2024/08/11

85点

映画館/群馬県/シネマまえばし 


怖かった

作品を観ながら、改めて自分の事をふり返った時に何を感じていたのかを考えてみると『怖かった』の一言だった。

母が認知症になり、その生活は長く続くことはなかったのだけれど
認知症と付き合わなければならなくなった時に父のガンがわかった。
手術をするか否か?の選択となった時に
私は『手術をしてほしい』とお願いした。
後期高齢者の父に手術という負担を背負ってもらった。
結果として手術は成功したし、1週間余りの入院生活で退院できた。
その間、仕事を休んで認知症の母と一緒に居たのだけれど
結局自分が感じていた『怖かった』というのは
万が一父が倒れてしまった時、母の面倒を看る事をどうしたら良いのかわからなかったから。
仕事を休職する事は出来たのかもしれないけれど
面倒を看る期間というものがどれだけ長期間に及ぶのかが見当もつかなかった。
老人ホームに入れるというのが現実的な選択だったのだろうけれど
どんな場所があるのかを調べる事すら
当時の自分には思考が追い付かなかった。

介護を自分で行うのが当たり前だと思っていたのかもしれない。
だから斯波の苦闘の時間を、大友が向き合わなかった時間を
両方理解できるかもしれない。
理解できると言ったって、斯波の苦闘のような時間を体験していたわけでもない。映画ではある1シーンでしかないものが毎日のように繰り返されるし
それこそ毎時間のように繰り返されるのだから………
身体が元気で歩ける人を介護しようとしたら、突然家の外に出てしまっていきなり行方不明になってしまう事もある。
それが毎日、毎日、毎日、24時間繰り返されていく。
どれだけ精神を消耗するかわからない。

だから、斯波の行為に『救われた』と言う人がいても決しておかしくはないと理解できる。

斯波自身は自分が苦闘した時間の中で考え抜いて自分で答えを出している。
その答えを単純に他人の家族に押し付けた形。
だから『人殺し』とも言われるし『救われた』とも言われる。
そんな彼を追求しようとする大友検事の鋭い言葉が
私には斯波の言葉よりも軽く感じられていた。

大友検事は『穴にはまらなかった、逃げていた』からこそ
その身から発する言葉ではなく、事件を法律で裁こうとする言葉の為
言葉に重みを感じさせることが出来なかった。
それ以前に斯波の穏やか過ぎる存在感が
どんな鋭い言葉でも柔らかく受け止めて吸収してしまうようで
大友の言葉を斯波が吸音材のように吸収してしまっているように感じられた。

だから最後のシーンでみせた大友検事の言葉が一番
斯波の心を揺さぶったのだろう。

そんな対比を魅せつけた松山ケンイチさんと長澤まさみさんの熱演の競演。
これは本当に熱量が凄くて観ているこちらが圧倒されるほど。
そして言葉の重みがあるので、同じ空間で書記をする椎名くんにも
『自分はどうなんだろう?』と考えさせてしまう。
あれは本当に凄かった。

そして柄本明さん。
介護される父親の姿の熱演に
『ファーザー』でのアンソニー・ホプキンスさんを思い起こさせた。
アンソニー・ホプキンスさんの熱演に勝るとも劣らない演技に
ただただ魅了されるばかり。

今この瞬間にも斯波のような苦闘を、あるいは彼が勤務していたケアセンターの方々が看ていた個々の家庭のような状況に直面している多くの方々が数多くいらっしゃると思います。
団塊の世代が高齢者となり、団塊ジュニア(第二次ベビーブーム)世代がその世話に苦闘しているだろうから、きっと今の時代が一番この問題に直面している人が多くて、その人たちが作品を観た時にどんな風に感じるのか?
きっと物凄く多くを語り合える作品のはずです。

まだそういう段階に直面していない世代の方々にとっては
この作品はシミュレーションの一つになるのではないでしょうか?
実感を伴う事は難しいかもしれませんが、だからこそ作品を観て考えておくことは『心の準備』に繋がると思います。