ケイコ 目を澄ませて

けいこめをすませて|----|----

ケイコ 目を澄ませて

レビューの数

151

平均評点

78.2(666人)

観たひと

886

観たいひと

41

(C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 青春 / ヒューマン / ドラマ
製作国 日本
製作年 2022
公開年月日 2022/12/16
上映時間 99分
製作会社 「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会(メ~テレ=朝日新聞社=ハピネットファントム・スタジオ=ザフール)(制作プロダクション:ザフール)
配給 ハピネットファントム・スタジオ
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ
音声 5.1ch

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督三宅唱 
脚本三宅唱 
酒井雅秋 
原案小笠原恵子
(「負けないで!」(創出版))
エグゼクティブプロデューサー松岡雄浩 
飯田雅裕 
栗原忠慶 
企画・プロデュース長谷川晴彦 
製作狩野隆也 
五老剛 
小西啓介 
古賀俊輔 
チーフプロデューサー福嶋更一郎 
プロデューサー加藤優 
神保友香 
杉本雄介 
城内政芳 
撮影月永雄太 
美術井上心平 
装飾渡辺大智 
録音川井崇満 
音響効果大塚智子 
照明藤井勇 
編集大川景子 
衣裳篠塚奈美 
ヘアメイク望月志穂美 
遠山直美 
制作担当大川哲史 
助監督松尾崇 
ボクシング指導松浦慎一郎 
手話指導堀康子 
南瑠霞 
手話監修越智大輔 
French CoproducerMasa Sawada 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演岸井ゆきの 小河ケイコ
三浦誠己 林誠
松浦慎一郎 松本進太郎
佐藤緋美 小河聖司
中原ナナ 
足立智充 
清水優 
丈太郎 
安光隆太郎 
渡辺真起子 五島ジム・オーナー
中村優子 医師
中島ひろ子 小河喜代実
仙道敦子 会長の妻
三浦友和 会長

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て生まれたケイコを、「きみの鳥はうたえる」の三宅唱監督が16mmフィルムに焼き付けた青春物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえないなか、じっと<目を澄ませて>闘うケイコを、才能にあふれた主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや恐怖など様々な感情の間で揺れ動き、それでも拳を突き出す一人の女性として描く。ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開いた。ケイコの実直さを認めて見守るジムの会長に三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派俳優が脇を固める。第72回ベルリン国際映画祭正式出品作品。2022年第96回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、主演女優賞(岸井ゆきの)、助演男優賞(三浦友和)、読者選出日本映画監督賞(三宅唱)受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。「一度、お休みしたいです」と書き留めた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年10月号

MOVIE at HOME:「ケイコ 目を澄ませて」

2023年3月下旬映画業界決算特別号

読者の映画評:「ケイコ 目を澄ませて」関論/「ディア・ハンター」久保坂涼/「シャドウプレイ」吉田伴内

2023年2月下旬 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号

日本映画ベスト・テン:

2023年1月上・下旬合併号

REVIEW 日本映画&外国映画:「ケイコ 目を澄ませて」

2022年12月下旬号

「ケイコ 目を澄ませて」:インタビュー 三宅唱[監督]

「ケイコ 目を澄ませて」:作品評

「ケイコ 目を澄ませて」:エッセイ

UPCOMING 新作紹介:「ケイコ 目を澄ませて」

2024/10/17

70点

その他 


音はなくても人情ある世界

本作は実在の聴覚障害の女性ボクサーの本を原作にしたそうで、主役を演じる岸井ゆきのの熱演もあってリアル感ははんぱでない。
ヒロインの誰かを殴りたいという衝動ともう休みたいという感情が話せない彼女の心に交差する模様がビビッドに伝わる。
彼女の居場所としてのジムが閉鎖される淋しさもよく伝わる。
それは会長やトレーナーとの練習を通じて交わされる積み重ねが背景として大きい。
本作で最後に描かれる試合で、足を踏まれ抗議しようとするがレフリーに伝わらず、冷静さを失って優勢だった試合でカウンターを喰らって初めて負ける。
スポーツとしてのボクシングの試合で感情的になることで冷静さを失い、防御がおろそかになり相手の攻撃を喰らう。
このことは会長らがヒロインに以前から伝えていたことだ。
しかし身をもって彼女は知ることになる。
ただエンデイングで試合相手に偶然出会い、お互いのファイトに感謝の気持ちを投げかけられたことで彼女の気持ちが融解する表情が清々しい。
余計な音楽が流れることなく、黙々と生活感を感じさせながらもヒロインの情熱と人生に対する前向きさが心を打った。

2024/09/29

2024/09/29

70点

その他 


殴り合うことの手話

物語は,女性ボクサーが通うジムが閉鎖されるというだけでもある.ショットは400ほどが費やされ,時折,10ショットにも満たないが,手話に対応した字幕が入る.いたってシンプルであり,ミニマルであり,何も起きないと言ってしまえば,舞台となる現代の日本の大都会の変転ぶり,そこに暮らす人々の波乱に比べれば,何も起きない.
「荒川」を冠したボクシングジムのリングの脇で,トレーナーである松本(松浦慎一郎)か林(三浦誠己)の「ゆっくり」という指導が聞こえている.ボクシングというスポーツあるいは「戦い」にとって,この「ゆっくり」は逆説的にも聞こえる.しかし,主人公のケイコ(岸井ゆきの)には,「ゆっくり」という声は聞こえていない.彼女は,聴覚障害者であり,音によるコミュニケーションをとることができない,マスクをすることが求められる社会にあって読唇や,まだ誰もが使えるわけではない社会にあって手話により,健常者との会話をすることができる.彼女が声を発する場面もあり,そのエモーションに揺さぶられる.また,彼女は,ホワイトボードを使った筆談や,日記あるいは手紙,スマホを使ったラインや動画で他者や自己とやりとりすることもできる.
それでも,無情にもといってよいだろう,彼女には聞こえない音が,画面の方から聞こえてくる.ミットを叩く音,縄跳びで跳んだ足が着地する音,電車が走る音,蛇口から水が噴き出す音,カメラに焚かれるフラッシュの音などである.同居している彼女の弟(佐藤緋美)がギターを弾いているのは,そしてヘッドフォンをしているのは,逆に姉に気を遣っているのだろうか.こうした小さい音,小さくもない音がリズムを刻みつつ,何も起こらないように見えて,「着実に変化」をもたらしている.小さな雨粒が石を穿つように.しかし,その音たちはケイコには響いていない.彼女の耳には,ジムが閉鎖する噂も聞こえてこない.リングでも孤独に,審判の声も聞こえず,審判に声を伝えることもできず,孤独に対戦相手と殴り合う.その拳は,手話するあの手でもあり,手話よりも力強く,直接的に,人間に触れようとしている.

2024/08/20

2024/08/20

70点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/購入/テレビ 


評価が難しい作品

耳の聞こえないボクサーの実話をベースにしたお話。ボクサーとしてハンデを背負って試合をよくできていたなと思います。
ボクサー役として演じた、岸井ゆきのさんは素晴らしかった。
ストーリーは淡々と進んでいくだけなので、ストーリー的には退屈しました。
見る人が心情をどう読み取るのかによって評価が変わるのかなと思いました。
とくにラストは多くを語られませんが、私的に前向きに捉えておりいい終わりかただと思いました。

また、エンドロールは音楽なしの町の日常音のみといのが印象的でした。

2024/08/03

2024/08/03

83点

選択しない 


静かに胸に沁みる

聴覚障害や子どもの頃受けたいじめから、心を閉ざし最低限の人としか係わろうとしなかったヒロインがボクシングジムの会長夫婦やトレーナーらとの交流を通して徐々に人との繋がりに気がついていく。ラスト、仕事中だった対戦相手だった女性が、偶然気がつき挨拶を交わす場面が良く、拳を交わしたからこその連帯感、繋がりを感じ孤独ではないと実感する。エンドクレジットの後、縄跳びの音だけが響き、新たなジムで練習を開始した事を示唆する。
 地味な作品だが、静かに胸に沁みる。16ミリ撮影による映像も作品世界にハマっていた。
 ヒロインを演じた岸井ゆきのが素晴らしくジムの会長役の三浦友和も好演だった。

2024/08/02

2024/08/02

82点

その他/録画WOWOW 


生きている

  ラスト、相手の選手が挨拶してくれて、すべてが洗い流されたような気がした。それで、ケイコはまた続けようと思ったのでは。

  岸ゆきののケイコが、ボクシングはあんまり強そうには見えなかった。でも、仕事をしながらもボクシングにひたむきに打ち込む姿が、生きているということなのだと思えた。

  ボクシング映画という形ではあるけれど、むしろ、生きているといろいろある、ということなのだろう。

2024/05/31

2024/05/31

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


すごいね

耳が聞こえなくてボクシングとは。恐るべしど根性。