レナードの朝

れなーどのあさ|Awakening|Awakening

レナードの朝

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レビューの数

91

平均評点

80.5(818人)

観たひと

1416

観たいひと

117

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1990
公開年月日 1991/4/5
上映時間 121分
製作会社 ラスカー&バークス・プロ作品
配給 コロムビア・トライスター映画
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

30年にわたる昏睡から目覚めた患者と、彼を何とか救おうとする医師の必死の闘病生活を、自らも精神科医のオリヴァー・サックスの実体験による著作を基に描いたヒューマン・ドラマ。「ビッグ」のペニー・マーシャルがアーン・シュミット、エリオット・アボットと共同でエグゼクティブ・プロデューサlも兼ね、製作はウォルター・F・パークスとローレンス・ラスカー、脚本はスティーヴン・ザイリアン、撮影は「ガープの世界」のミロスラフ・オンドリチェク、音楽はランディ・ニューマンが担当。出演はロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1969年、ブロンクス。慢性神経病患者専門のベインブリッジ病院に赴任してきたマルコム・セイヤー(ロビン・ウィリアムズ)は無口で風変わりな男だったが、患者に対する態度は真剣で、彼らが話すことも動くこともできないものの、まだ反射神経だけは残っていることを発見すると、訓練によって患者たちに生気を取り戻すことに成功し、その熱意は治療をあきらめかけていた看護婦のエレノア(ジュリー・カブナー)の心をさえ動かしていった。そんなセイヤーの患者の中でも最も重症なのがレナード・ロウ(ロバート・デ・ニーロ)だった。彼は11歳の時発病し、30年前にこの病院に入院して以来、意識だけはあるものの半昏睡状態で寝たきりの生活なのである。何とか彼を救おうとしたセイヤーはまだ公式に認められていないパーキンソン氏病患者用のLドーパを使ってレナードの機能回復を試みる。そしてある朝、ついにレナードはめざめを迎えた。ベッドから起き上がり、セイヤーに連れられて30年ぶりに街に出たレナードにとって見るものすべてが驚きだった。その効果に意を強くしたセイヤーは上司に他の患者にも新薬を使うことを申し出て、病院のスタッフの協力によって投薬が始まョった。そしてある夜のこと、セイヤーはベッドから次々と起き上がる患者たちの姿を見るのだった。一方、完全に機能を回復したレナードだったが、彼が病院に見舞いにきたポーラ(ペネロープ・アン・ミラー)に生まれて初めての恋をしたことから問題が起こる。1人だけで外出したいというレナードに医師団は反対し、それに反発したレナードは怒りからか、再び病状の悪化が始まってしまう。しだいに狂暴になるレナードをセイヤーですら押さえ切れなくなる。そして、ついにレナードを始め、目覚めた患者たちは、すべて元の状態に戻ってしまう。自分のしたことは間違いだったのだろうかと悩むセイヤーにエレノアは優しい言葉を投げかけるのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1991年5月上旬号

外国映画批評:レナードの朝

外国映画紹介:レナードの朝

1991年4月上旬号

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):レナードの朝

特集 レナードの朝:

2024/07/14

89点

VOD/NETFLIX 
字幕


幸せの一瞬

ネタバレ

11歳の時に突然手の麻痺が起こり、そこから硬直が全身に広がり、以来30年もの月日を寝たきりで過ごしてきたレナード。
そのレナードが入院する慢性神経症患者専門の病院に、いかにも人付き合いが苦手そうなおどおどとした様子のセイヤー医師が赴任してくる。
今まで研究に時間を費やしてばかりで、臨床の経験がほぼないセイヤー。
最初は予想外の反応を示す患者にビクついたり、接し方が分からずに戸惑うセイヤーだが、ふとしたきっかけで彼はまったく反応のないルーシーという患者に反射神経が残っていることを発見する。
そしてそれは他の反応のない患者も同じであることに気付く。
一度何かに熱中するととことん突き止めたくなるタチなのだろう、セイヤーは勢い込んでこの事実を他の医師たちとも共有しようとする。
が、もともと患者を治療出来るとは思っていない彼らはセイヤーの言葉に真剣に取り合おうとしない。
ただ看護師のエレノアだけは彼の言葉に感銘を受ける。
セイヤーが様々な実験によって患者たちから様々な反応を引き出す姿は興味深かった。
そして彼はまだ実験段階のパーキンソン病治療のたの新薬を使うことを上司のカウフマンに申し出る。
カウフマンは莫大な費用がかかるために一人の患者に使用する場合においてのみ許可をする。
セイヤーはその新薬をレナードに使用する。
そしてある日突然、レナードは30年ぶりに目を覚ます。
この映画も見せ方が上手だと感じたが、テーブルに向かい文字を書くレナードをセイヤーが見つけるシーンはとても感動的だ。
そしてレナードが自分の姿を鏡で見た時の戸惑いの表情も印象的だった。
彼の中ではすっぽりと30年分の記憶が抜け落ちていた。
今までの時間を取り戻すようにセイヤーは回復したレナードを連れて町に繰り出す。
やがて二人は医師と患者の関係を超えた友情を育んでいく。
レナードに続き、他の反応のない患者たちにも新薬の投薬が認められる。
彼らがレナードと同じように突然目を覚まし、生きている喜びを噛みしめる奇跡のようなシーンはやはり感動的だ。
これが映画のクライマックスでも良いぐらいなのだが、目が覚めた彼らの人生はここからまた始まるのだ。

この彼らの長い眠りからの目覚めが感動的であるだけに、ここからの展開はとても辛く残酷だ。
この作品を観て、改めて幸せとは何かを深く考えさせられた。
目覚めた瞬間は幸福に包まれた患者たちだが、やがて現実に直面するにつれて不満を口にするようになる。
本当は朝目が覚めて自由に体を動かすことが出来る。
それだけでもとても幸運で幸せなことなのだ。
それなのに人はすぐその幸せに慣れてしまい、それを当たり前のことだと捉えてしまう。
レナードはその事実をもっと人々に伝えるべきだと主張する。
しかしそんなレナードもやがてポーラという女性に恋をすると、自分が病院に閉じ込められた不自由な存在であることに不満を抱くようになる。
本当はまだ新薬は実験段階であり、治療を続けなければどんな症状が起こるか分からないのだが、不満の限界に達したレナードは強硬的に病院を出ようとしてしまう。
そしてそれを阻止されたレナードは他の患者たちも扇動しながら、セイヤーを含めた医師たちに敵意を表すようになる。
しかしその怒りが引き金になったのか、レナードの身体には再び麻痺の症状が現れてしまう。
セイヤーは投薬の量を増やすが効果も虚しく、新薬の副作用によりレナードの症状は悪化してしまう。
そして他の患者たちもいずれ自分たちも同じ運命を辿るのかと不安にかられるようになる。

一度は人生に絶望し、破壊衝動を抑えられなくなったレナードだが、彼は後世の人々のために自分の姿をカメラに写して残すことを切望するようになる。
また意識のない深い眠りに戻ってしまう、その恐怖は計り知れないものだと思う。
それでも人のために生きることを選んだレナードの選択はとても尊いものだと感じた。
レナードにとっては試練だらけの人生だったろう。
と同時にレナードの人生に携わることはセイヤーにとっても大きな試練だった。
レナードは再び深い眠りに戻れば、もう人生の苦しみを感じることはないのだろう。
しかしセイヤーはずっと彼を救えなかった無念の思いと罪悪感を抱えて生きていくことになる。
彼は善良で親切だが、再び希望を失っていく人々の心に寄り添えるだけの心の強さは持ち合わせていなかった。
彼は与えたものを再び奪ってしまったと後悔の念を口にする。
しかし、それは実は傲慢な考えなのかもしれない。

この映画を観て人の尊厳についても深く考えさせられた。
本来、人はそれぞれに自立した存在であり、代替不可能なかけがえのない存在である。
しかし人はついつい他人を自分にとって都合の良い道具として見てしまう。
レナードの母親が彼に接する態度がとても印象的だった。
彼女は30年間も献身的にレナードを支え続けてきた。
しかし彼が目を覚ました後も、自分が寄り添っていなければ彼は生きていけないと過剰に心配をし続けてしまう。
彼女の中ではレナードは常に庇護すべき対象であり、彼女は彼にそのような役割を求め続けてしまっているのだ。
そしてそれはセイヤーや他の医師たちも同じなのだと思う。
自分たちは彼らを目覚めさせてあげた。
その思いが患者たちを縛り付けてしまっている。
もっとも最終的には患者たちは再び長い眠りに戻ってしまうのだが、目を覚ました短いひと時だけは彼らは自分の意志で行動できる自立した存在だったのだ。

とても重い気持ちになる作品ではあったが、セイヤーが勇気を出してエレノアにアプローチをするラストシーンに少しだけ心が救われた。
症状が悪化してしまったレナードとポーラのダンスシーンも胸が熱くなった。
あの一瞬だけ彼は麻痺から開放された。
そしてもちろんレナードを演じたロバート・デ・ニーロは素晴らしかったのだが、セイヤー役のロビン・ウィリアムズも本当にそういう人だとしか思えないほど役の人生を生きていて感動させられた。

2024/06/19

2024/06/19

74点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


役者が上手い!

いやぁ、これも実話が基になった作品なんだね。一時的な回復、ホント奇跡としか言い様がないなぁ。結局、その奇跡は何だったんだろう・・・?作品としては、とにかく役者が上手い。ロバート・デ・ニーロにロビン・ウィリアムズの二人は、ホント素晴らしい演技だったと思う。

2024/04/03

2024/04/04

85点

映画館 


わずかな時間かもしれないけれど確かに暗闇から抜け出した朝だった。素晴らしい朝
原因不明の病で一切の反応を示さないまま30年。そこに現れた新任の医師が新薬を投与したことから目を覚ますことに……

デニーロの不随意の繰り返し動作の本物感、彼女と過ごす時間の喜びとその後の悲しみ。
何よりロビン・ウィリアムズの目の奥に宿る優しさ。この人がいないのが改めて悲しい。素晴らしい俳優だった

どこまで実際の話なんだろうか。なぜ一時的に回復し、その後ああなってしまったのか。ドキュメンタリーバージョンも見たい

新文芸坐にて

2023/03/11

2023/03/11

68点

選択しない 
字幕


気ままに散歩できることのありがたさに感謝。

実話に基づく、難病患者に対峙する医師の物語。治療薬の投与量を増やしていき、眠っていた患者が目覚め、人間らしさを取り戻すかに見えた矢先、副作用によって容体は悪化、再び眠りに落ちているまでの、見ていて辛くなる話でした。

患者役のデ・ニーロの演技は鬼気迫っていて凄かったです(^^;;

2023/02/23

2023/03/01

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


医者と患者が交替したらどんな仕上がりに?

ロビン•ウィリアムズはロバート・デ•ニーロの役を演じたかったとの記事を読んだことが有ります。一体どんな仕上がりになっていただろう?興味が有ります!

2023/02/28

2023/02/28

82点

映画館/静岡県/TOHOシネマズ浜松 
字幕


いまさら鑑賞シリーズ。
午前十時の映画祭にて。

劇場での鑑賞は初めてでした。
デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの細やかな演技をスクリーンで観られて感動でした。
研究ばかりしてきたセイヤーが、初めて臨床医として対峙したのは、嗜眠性脳症で、意識が違う次元に行ってしまっている患者たちだった。
しかし、研究をしてきた彼は、今までの医者とは違う視点で患者の状態を見ていた。
そして、彼らに目覚めの朝と笑顔を取り戻したのだが・・・。
実話に基づくストーリーと知って衝撃を受けました。
セイヤーの患者を真摯に見つめる視線、症状の変化を見たときの微笑み、人間を愛しているのだなとわかるロビンの演技。
そして、30年の眠りから目覚め、笑顔を取り戻し、恋を知るが、再び… というレナードの劇的な人生を演じきるデ・ニーロ。
二人の素晴らしい演技によって、この奇跡が人々に伝えられたのですね。
決してハッピーエンドとは言えないけれど、輝きを取り戻した一瞬は、彼らにとってかけがえのない時間だったに違いない。
そして、わたしたちは何気ない毎日を生きていることに感謝しなければならないと気づくのです。゚(゚´Д`゚)゚。