かなり、コメディ色の強い、でも、ちゃんとした映画だった。
アン王女(オードリー・ヘップバーン)が、王宮を抜け出し、新聞記者のジョー(グレゴリー・ペック)達と一日だけローマの街を自由に楽しむ、という夢のような話。
新聞記者は、身分を隠してゴシップを記事に載せようかと思っていたし、アン王女も自分の身分を隠して自由を味わおうとしてた。でも、新聞記者はゴシップを載せることはせず、王女も新聞記者とのロマンスを終わりにして仕事に戻る。
この映画は、そういう、人間の尊厳とは何か、と問いかけた話だろう。脚本は、赤狩りで、自分の名前を出せなくなっていたダルトン・トランボ。赤狩りによって、左翼系の人間は仕事が奪われ、仲間を密告しないと彼のように投獄されていた。
そういう彼だからこそ、人の信頼とは何かを問いかけたのでは。スキャンダルを売り物にするのか、または、それを胸に秘めておくのかという選択によって。
また、この映画の中で、“真実の口”によって、アン王女もジョーも自分の身分を隠していることを意識して、緊迫する。ダルトン・トランボが、本当のことや、仲間の名を言わされそうになり、それを拒否して、投獄された。この脚本は、真実を言うことが危険な状況になっていた当時のことと重なっているのではないかと思った。
なかなか凄い作品だったと思う。