Cloud クラウド

くらうど|----|----

Cloud クラウド

レビューの数

45

平均評点

72.9(239人)

観たひと

324

観たいひと

23

(C)2024 「Cloud」 製作委員会

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー / スリラー
製作国 日本
製作年 2024
公開年月日 2024/9/27
上映時間 123分
製作会社 日活=東京テアトル=USシネマ=読売テレビ放送=ムービーウォーカー(製作幹事:日活=東京テアトル/制作プロダクション:日活=ジャンゴフィルム)
配給 東京テアトル=日活
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 ヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒沢清 
脚本黒沢清 
エグゼクティブプロデューサー福家康孝 
新井勝晴 
企画協力石田雄治 
製作永山雅也 
太田和宏 
臼井正人 
松本拓也 
五十嵐淳之 
プロデューサー荒川優美 
西宮由貴 
飯塚信弘 
撮影佐々木靖之 
美術安宅紀史 
装飾松井今日子 
音楽渡邊琢磨 
インスパイアソング[Alexandros]
(「Boy Fearless」)
録音渡辺真司 
音響効果柴崎憲治 
照明永田ひでのり 
編集高橋幸一 
衣裳纐纈春樹 
ヘアメイク梅原さとこ 
制作担当相良晶 
助監督海野敦 
スクリプター柳沼由加里 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演菅田将暉 吉井良介
古川琴音 秋子
奥平大兼 佐野
岡山天音 三宅
荒川良々 滝本
窪田正孝 村岡
赤堀雅秋 殿山宗一
吉岡睦雄 矢部
三河悠冴 井上
山田真歩 殿山千鶴
矢柴俊博 北条
森下能幸 室田
千葉哲也 猟師
松重豊 

場面 ▼ もっと見る▲ 閉じる

予告編 ▲ 閉じる▼ もっと見る

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

黒沢清が菅田将暉の主演で贈るサスペンス・スリラー。“転売ヤー”の吉井良介が知らないうちにバラまいた憎悪の粒は、ネット社会の闇を吸って成長し、誹謗中傷やフェイクニュースを経て、どす黒い集団狂気にエスカレート。やがて、“狩りゲーム”の標的となった吉井は……。共演は「お母さんが一緒」の古川琴音、「PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~」の奥平大兼。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

“転売ヤー”として真面目に働く吉井良介(菅田将暉)が、知らぬ間にバラまいた憎悪の粒はネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い“集団狂気”へとエスカレート。誹謗中傷、フェイクニュース……。悪意のスパイラルによってネット社会に拡がった憎悪は、実体を持った不特定多数の集団に姿を変え、暴走を始める。やがて彼らが始めた“狩りゲーム”の標的となった吉井の日常は、急速に破壊されていく……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年10月号

REVIEW 日本映画&外国映画:「Cloud クラウド」

UPCOMING 新作紹介:「Cloud クラウド」

キネマ旬報増刊 キネマ旬報NEXT Vol.57 藤ヶ谷太輔「傲慢と善良」

IN THE MOOD FOR CINEMA:ヘル日本をサバイブする若者たちの肖像 「Cloud クラウド」

2024/10/14

2024/10/16

75点

映画館/大阪府/テアトル梅田 


転売ヤー受難。

ネタバレ

ネットなどで安く買い付け高く売る転売屋の主人公・吉井が、他人のことなど微塵も考えない自分本位の行動を取るうちに、彼を憎む者が増え、やがて手を結び狂気の集団が出来上がる…

このところ新作ラッシュの黒沢清監督作で菅田将暉主演。吉井の視点からは見えない恐怖がじわじわ迫る展開ながら、儲け第一で危険には鈍感な彼の行動にジリジリさせられる。

ネット社会が産んだ悪習とも見える“転売ヤー”に、ネットで繋がった犯罪集団というニュースなどからも現実にもあり得るストーリーが展開されるのだが、引っ越し先の地元で雇った若者が実は謎の組織とも繋がりがあり吉井を救助するという設定は完全にフィクションの世界。

リアルな犯罪劇ではなく、拳銃を撃ちまくるアクション映画を監督は作りたかったのかと思っていて、悪女が撃たれる結末にそのことを確信。リアルでない映画を軽く見る風潮があるが、ジャンル映画好きな私は大変楽しんだ。

2024/09/29

2024/10/15

73点

映画館/神奈川県/イオンシネマ座間 


佐野クンって何者?

利益優先の転売ヤーがやがて憎悪を買って「狩りゲーム」の標的にされて命を狙われるストーリー。
転売って金に困ってる人から安く買い叩いて他人に高く売る商売だから逆恨みされることも想定されるが、それほど悪どい商売とも思えませんが・・。
それよりアルバイトで彼の助手をしている佐野クンが以前居た組織が何なのか気になった。演じた奥平大兼って「赤羽骨子のボディーガード」でもそうだったが脇役なのに主人公よりも格好イイ役なのが面白かった

2024/10/05

2024/10/14

70点

映画館/千葉県/USシネマ千葉ニュータウン(旧シネマックス千葉ニュータウン) 


じわりと地獄

転売する側も、その被害者側も、物事を深く考えていないのではないか。又は考えたつもりになっているのか。どちらが良い悪いではなく、みんな無自覚に狂っている。黒沢監督は、いつものように説明的には描かない。その訳の分からなさが怖い。じわりじわりと地獄に堕ちて行く。

2024/10/14

2024/10/14

50点

映画館/愛知県/名古屋 ミッドランドスクエアシネマ 


狙われる、囚われる、反撃する、、このパターンって、、。

設定は全く異なるが、本作の流れは黒沢清監督自身の1998年の作品、哀川翔・香川照之出演の「蛇の道」と同じように思えてしまう。大きく異なるのは「蛇の道」は狙う側の視点、本作は狙われる側の視点。ストーリー自体は全然別物だし、ネット販売、SNS社会の闇など、今の世を反映しているが、どうしてもデジャヴ感が付き纏う。前半のサスペンスへの盛り上げに緻密さが感じられず、人物描写も中途半端。後半のアクションシーンの緊張感だけ盛り上げてもどうだかと感じたのだが、、。

2024/10/10

2024/10/14

68点

選択しない 


面白さのベクトルが伝えづらい

面白い。でもアカデミー日本代表って映画ではない(笑)。それは選ぶ側がトンチンカンだと思うし、黒沢清も迷惑だろうと思う。これはアカデミーに選ばれて嬉しいというような作品ではなく、根本がVシネであり、いい意味でVシネであり、映画はアクションである、ということを現代でやる理屈をつけるための進化である。

菅田将暉は転売ヤー。PCの向こうにいるのは得体の知れない客だけではない。この導入は『回路』的でもあるが、ここで重要なのはゾンビのような有象無象の人間たちに追われるということである。むしろ空っぽな昆虫のような人間がエサにゆらゆら集まってサバイバルゲームを展開していくのを楽しむ映画で、その意味では『散歩する侵略者』に近いのか。とにかく集まった顔も知らぬ殺人者たちがおっちょこちょいで面白い。ある種『悪魔のいけにえ』的ファミリー感に西部劇が加わる面白さ。この連中の絶滅にいたる過程はもっと見ていたかった。

ということで、相変わらず痛ぶられる主人公を嬉々として描く黒沢清であった。

2024/10/13

77点

選択しない 


論理的思考を脱臼させる手法

黒沢清監督のサスペンス作品といえば、
独特の雰囲気とサスペンス要素が特徴的な【黒沢サスペンスワールド】が想起される。

しかし、本作においては、
その概念を覆すような異質(一般的にはノーマル)な世界観が展開されている。

どこが変わったのか?

従来の黒沢作品では、観客を不気味な空間に引き込み、
予測不能な展開で翻弄することが特徴であった。

しかし本作では、舞台となる主人公のアパート、
工場や警察署など、極めて現実的な空間が丁寧に描かれている。

エキストラの多さや、セット、ロケセットの緻密さなど、
リアリティを追求した作り込みは、
これまでの黒沢作品とは一線を画すものと言える。

このリアリティの追求は、
一見すると黒沢作品らしからぬアプローチのように思える。

しかし、よく考えてみると、このリアリティこそが、
本作における新たなエンターテインメント的な恐怖を生み出す要因となっているのではないだろうか。

黒沢監督のスタイルとは?

私は、黒沢監督の作品に二作品で携わる機会を得たが、
監督の最も特徴的な点は、
観客の予測を裏切る巧妙な手法にあると感じる。

シナリオ、演出、撮影、美術など、あらゆる要素を駆使して、
【論理的な世界観の中にわずかなズレ】を生み出す。

このズレは、観客の意識下で徐々に大きくなり、
最終的には強烈な恐怖感へと繋がっていく。

例えば、ある場面では、論理的に説明がつくはずの出来事が、
わずかに不自然な形で描かれる。

このわずかな違和感こそが、観客の不安を煽り、不気味な雰囲気を作り出す。
リアリティを追求した舞台設定の中に、
わずかな非現実的な要素を散りばめることで、
観客を困惑させ、不安感をあおる。

観客は何かがおかしいと気づいたときには、黒沢沼にはまっている証拠だ。

この作品における恐怖は、
単に怖い映像を見せることによって生み出されているのではない。

それは、【観客の論理的な思考と、映像によって提示される非論理的な要素との間のギャップ】から生まれる。

このギャップが、観客の不安を煽り、恐怖感を増幅させる。

まとめると、

本作は、黒沢清監督が新たな境地を開拓した作品と言えなくもない。

今までの作品のような異質な空間の設定ではなく、
リアリティを追求した舞台設定と、
わずかな非現実的な要素を組み合わせることで、
観客に異様な恐怖感を与える。

この作品は、従来の黒沢作品とは異なる魅力を持っている、
新たな黒沢エンタメワールドの始まりなのかもしれない。