1907年。イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム・カーター)は、年上の従姉シャーロット(マギー・スミス)に付き添われ、イタリアのフィレンツェを訪れる。イギリス人観光客がよく利用するペンション“ベルトリーニ”についた二人は、部屋が美しいアルノ河に面した側でないことにがっかりする。シャーロットが苦情を言いたてるのを聞いたエマソン(デンホルム・エリオット)は息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)と共に泊っていた眺めのいい部屋と交換してもいいと申し出てくれるのだった。イギリスの階級意識に束縛されない自由な考えの持ち主であるこの親子に奇異な眼を向けるイギリス人観光客たち。一度はためらったシャーロットであったが、偶然に同宿していたハニーチャーチ家の教区のビーブ牧師(サイモン・カラウ)に説得され、申し出を受ける決心をする。翌朝一人で町を見物していたルーシーは、サンタ・クローチェ寺院でエマソンとばったり出会い、一緒に礼拝堂の壁画を見て回った。シニョーリ広場を通りかかったルーシーは喧嘩で胸を刺された男が血だらけになっている場面を目撃しその場で失神した。そんな彼女を介抱したのは、通り合わせたジョージであった。二人の心に、この時から特別な感情が芽生えはじめた。ある日ピクニックに出かけたルーシーは、同行したジョージと、青い麦畑の中で情熱的なキスを交わした。二人の仲に気づいたシャーロットは、急遽、ルーシーをイギリスに連れ帰ってしまう。数ヵ月後、ルーシーは、高い教養の持ち主であるシシル・ヴァイス(ダニエル・デイ・ルイス)と婚約する。そんな矢先、偶然にもロンドンの美術館でエマソン父子と会ったシシルは、ルーシーの家に近い貸家の世話をする。やがてルーシーはジョージと再会。ルーシー家の人々とテニスに興じるジョージ。傍でラヴィッシュ女史(ジュディ・デンチ)の書いた小説を読み上げるシシル。再びジョージから熱いキスを受けたルーシーは、シシルとの婚約解消を決意する。秋、フィレンツェ。ペンション“ベルトリーニ”の眺めのいい部屋に、ルーシーとジョージは再びやって来た。窓をあけると、美しい風景が広がるのだった。