第二次大戦末期の1944年。連合軍は南伊を解放し、ナチの支配する北伊に迫っていた。ナチ占領下のジェノヴァ市に、グリマルディ大佐と自称する中年男がいた。本名をジョバンニ・ベルトーニ(ヴィットリオ・デ・シーカ)という彼は、バクチと女に身をもちくずし、ナチ司令部の下士官と結託して、イタリア・パルチザンを釈放してやると称して家族から金をせしめている男だった。その頃、連合軍は北伊のパルチザンと連絡をとるため、イタリア人の将軍ロベレを秘かに南伊に潜入させた。ナチ司令官ミューラー大佐(ハンネス・メッセマー)は、彼をとらえてパルチザン組織の息の根をとめようと計った。ところが、将軍はナチの一分隊により発見され射殺されてしまった。大佐は、ここでニセのロベレ将軍をしたてて、彼をオトリにパルチザン組織を探ることを思いついた。かえだまに選ばれたのはグリマルディだった。ロベレとなったグリマルディはミラノの刑務所に送りこまれた。とらわれていたパルチザン達は、彼をロベレ将軍として尊敬した。ある日、九人の捕虜が刑務所に送られてきた。その中には、ファブリッツォという名の、パルチザン指導者がいるのだが、それが誰かはよくわかっていなかった。ファブリッツォが獄中でロベレと連絡をとるだろうと考えた大佐は、グリマルディに警戒を命じた。バンケリという囚人が暗号を記した紙片をニセのロベレに渡した。大佐は返信を作ってロベレからバンケリにそれを渡させた。が、皮肉にも看守がバンケリの持つ紙片を発見してしまった。こうなってはバンケリを拷問するほかはない。苦しみに耐えかねたバンケリは自殺してしまった。ニセのロベレの心はショックで動揺した。スパイ活動に疑いをもちはじめた彼にも、大佐は拷問を加えた。実際のロベレ将軍の夫人からとどいた手紙も、グリマルディを感動させた。パルチザン達が銃殺される朝がきた。大佐は銃殺をひかえた最後の朝こそ、ファブリッツォがロベレに連絡をとるだろうと考え、グリマルディと捕虜達を同室させた。案の定ファブリッツォはロベレの前に名のりでた。しかし、翌朝グリマルディが選んだのは、口を閉じて、ロベレ将軍として刑場に立つことであった。彼はロベレ将軍として処刑された。