昭和初期、大森あたりの花街。芸者置屋の息子・正太郎は、家が狭いために、旦那が来た夜などは芸者たちと同じ部屋に寝かされた。正太郎は子供のくせにひどく早熟で、隣りに寝ている小ふく、小八重たちとたわむれる仕末。すっかり頭を痛めたおかみの花清は、旦那である映画館主・小宮山に相談して、子供のいない映写技師夫婦・俊介と美也子に正太郎を預けた。ところが、正太郎はその夫婦の性生活にまで立ち入り、大人のセックスを子供がリードするようになってしまった。そんなある日、小ふくが妊娠してしまったので大騒ぎとなった。正太郎はまだ子供で精子が出るはずがないと一同思っていたのだが、一人前の男のように精子が出ていたのだ。小ふくは正太郎の子供を生む決心をして、小宮山の世話になることになった。翌年の春、突然、正太郎の生みの親だという芸者・染八が訪ねて来た。実は、関東大震災直前のころ--。一人の旦那、横井をめぐって染八と花清が張り合っていたが、染八に子供ができたので、本妻に納まることになった。捨てられた花清は、その腹いせに子供を盗んでしまった。その子供が正太郎で、その時、突然大震災が勃発し、以来生みの親と正太郎は離れ離れになってしまったのだった。一方、美也子も身ごもってしまった。どうやら父親は正太郎らしい。数日後、正太郎がたいこもちにされると知った染八は、花清の元へ押しかけた。だが正太郎は染八の目の前で、花清へ甘えかかり、彼女の胸をひろげて押し倒した。染八はすっかり正太郎のことを諦めてしまった。やがて、正太郎は満州へ旅立って行った。たいこもちになるために……。