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婉という女

  • えんというおんな
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  • 平均評点

    70.9点(42人)

  • 観たひと

    68

  • 観たいひと

    10

  • レビューの数

    12

基本情報

ジャンル 文芸 / 時代劇
製作国 日本
製作年 1971
公開年月日 1971/5/29
上映時間 123分
製作会社 ほるぷ
配給 その他
レイティング 一般映画
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
カラー/サイズ カラー/シネスコ
メディアタイプ フィルム
音声
上映フォーマット 35mm

スタッフ

監督今井正 
脚本鈴木尚之 
原作大原富枝 
企画本田延三郎 
高島幸夫 
鈴木尚之 
今井正 
製作内山義重 
撮影中尾駿一郎 
美術川島泰三 
平川透徹 
音楽間宮芳生 
録音安恵重遠 
照明平田光治 
編集丹治睦夫 
助監督長井博 
スチル木庭鴻志 

キャスト

出演岩下志麻 野中婉
江原真二郎 野中清七
河原崎長一郎 野中欽六
緒形拳 野中希四郎
中村賀津雄 野中貞四郎
田代美恵子 野中米
楠侑子 野中寛
長山藍子 野中将
北林谷栄 きさ
佐々木すみ江 かち
伊藤牧子 のぶ
山本学 谷秦山
北大路欣也 岡本弾七
加藤嘉 井口九郎兵衛
織本順吉 井口長左衛門
岸田今日子 みつ
金井大 老番士
陶隆 番士長
岡野耕作 赦免状の使者
南祐輔 高知城の使者
蔵一彦 供侍
針生真一 幼年時代の清七
長張卓実 幼年時代の欽六
桜田洋之助 幼年時代の希四郎
三田隆一 幼年時代の貞四郎
吉野恒正 幼年時代の貞四郎
桐ケ谷かおり 幼年時代の寛
おかのあゆみ 幼年時代の婉
鬼沢京子 幼年時代の将
佐藤健太 幼年時代のみつの子

解説

原作は「一九六〇年度毎日出版文化賞」「第一三回野間文芸賞」を受賞した大原富枝の同名小説。脚本は「飢餓海峡」の鈴木尚之。監督は「橋のない川 第二部(1970)」の今井正。撮影も同作の中尾俊一郎がそれぞれ担当。

あらすじ

土佐藩家老野中兼山が失脚して死ぬと、藩政を握った政敵たちは、当時わずか四歳であった婉たち兼山の遺族を宿毛へ閉じ込めた。外界と完全に接触を断たれた婉は、せまい獄舎をそれ程苦しいとは思わなかったが、娘として成熟するにつれ、獄舎はせまくなり、自由ではなくなってきた。異腹の兄弟とはいえ、せまい一つの世界での男であり女である。「他人に会いたい!」くずれるような婉を学問が支えた。婉が二六歳になった時、奇蹟が訪れた。亡き父兼山を敬慕する青年学者谷秦山が幽居を訪ねてきたのである。獄吏に遮られ対面こそできなかったが、許された年に一、二度のそれも学問上の質疑に限られた秦山との文通は、婉の中の女の生命の炎を烈しく燃やした。そして四〇年ぶりに触れる新しい世界、岩石をくだき、白い飛沫をあげる川の流れ……。互の存在を知りあって実に二〇年ぶりの初対面。別れしな、婉の手をつつむように握った秦山の手のぬくもりは、いつまでも消えることはなかった。だが外界も婉ののぞんだような自由な世界ではなかった。世間の好奇な眼があり、妻子ある秦山と会う事は思うにまかせず、いぜんとして文通でしか心は通じあえなかった。世間という漠としてとらえがたい障害、しかも秦山はその力に抗じがたいものを見、婉から遠ざかろうとしている。秦山に想いを寄せる婉の気持とは逆に、秦山は婉に婚姻をすすめた。やがて思いがけぬ悲運が婉を見舞った。土佐藩の継続問題がもとで、秦山が幽居を命ぜられたのである。婉と秦山の立場が逆転した。「幽居にはじめて訪れたただ一人の人。こんどは私が会わずば気がすまぬ」。婉は駕篭を駆った。途中城代、山内主馬の行列とぶつかった。婉は侍たちをキッと見上げた。「元家老、兼山の娘、婉、邪魔だちは許しませぬぞ!」。婉の体内に政治へのすさまじい抵抗がみなぎっていた。

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